映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2010年03月03日

『72M』ウラディーミル・ホチネンコ

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72 metra

これは掛け値なしに面白い映画だったなあ。

冒頭から非常にとぼけた味わいのあるテンポを持っている作品でこの不思議な空気感にすぐに惹かれてしまった。なんなんだろうか、この緩い調子は。ふざけているようで何か深い含みをもっているのか、とさえ思わせてしまうのである。

ロシア潜水艦の演習直前の水兵たちの様子が何とものんびり映し出される。艦長は海に投げ込んだ帽子を水兵達に取らせたり、大尉がまだ来ないので連れてこないと全体責任だと言われ探しに行くが途中でラップを聞いてたりとどうにもぬるい。ソ連(ロシア)の軍隊は過激に恐ろしい地獄のような所だと本で読んだが、どうもここはそれほどの場所ではないようだ。

やっと潜水艦は発進する。ここから物語は大きく動き出すのだが、それでも発射される魚雷をカモメが目で追ったりしてるのがおかしいのだが。
だがここで発射した魚雷が第二次世界大戦中放置されていた機雷に触れ、爆発を起こしてしまう。潜水艦はあっという間に破損し海水が流れ込んでしまうのである。

突然の出来事に乗組員たちはどうしようもない。
眠っていたアルロフ大尉と若い水兵モロドイ、そしてただ一人兵士ではない学者チェルネンコ3人はもう少しで天井に着くほどの水の中になんとか浮かんでいた。死が迫った極限の中でアルロフは二人と共に生き延びる出口を探す。
実はあるハッチの向こう側の部屋は浸水しておらず10人の乗組員が生き残っていたのだ。

向こう側の兵士たちは自分たちが犠牲になる恐れの中で3人を救う。だがどちらにしても危険な状態に変わりはない。
しかも望みの綱の潜水服は一着を除いてすべて不良品だったのだ。
兵士たちはあえてその潜水服を兵士ではないチェルネンコに託し、助けを待つことにする。
頼りなげな中年男チェルネンコは必死に海上へと登り岩だらけの海岸を倒れそうになりながら駆けていくのだった。

ラスト、よれよれのチェルネンコが助けを呼べたかどうか、可能性は低いとしか思えない。街の明かりはまだ遥かとおいのだ。
潜水艦の中では兵士たちがただじっと助けを待っている。

うん、なんだか深読みすればロシアの今の状況を意味しているのかもしれない。というか色々な国の人がまさに自分たちだ、と思えるのかもしれない。
とんでもないおかしさと悲しみを含みつつ静かな余韻を残してくれる映画であった。

監督:ウラディーミル・ホチネンコ  出演:セルゲイ・マコヴェツキー チュルパン・ハマートヴァ マラト・バーシャーロフ アンドレイ・クラスコ ディミトリー・ユリヤノフ
2004年ロシア


posted by フェイユイ at 00:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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