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2010年04月09日

『エイリアン3』デビッド・フィンチャー

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ALIEN3

そして何故か突然『エイリアン3』である。というか先だって『Uボート』を観てたらこれを思い出して観たくなったのだ。
ギーガーのあの恐ろしい一度観たら絶対忘れられない『エイリアン』のデザインはもとより映画作品としても秀逸だと思うが自分は特にこの3作目が好きで、好きなのだが今まできちっと観たことがなかったのでこの際観てみることにしたのだ。
まあどんな作品だってそうだろうが、この『エイリアン3』も観る人にによって駄作だったり秀作だったりするようだ。私にとってはこんなに面白いのはない、くらいなんだけどそれぞれだからしょうがない。
それにしても渋い作品である。シガニー・ウィーバーが出てなかったら物凄く陰鬱な映画になってしまいそうだ。普通、彼女と恋仲になる男くらいちょっとした色男にしてくれてもよさそうなもんなのにかなり酷い面々である(すまん)シガニーが美女である上に男前も兼ねてるみたいなもんなのでまあいいけど。一番良い役で宗教家的存在の黒人眼鏡氏くらいだろうか。アジる時の声がかっこいいっす。
シガニーは坊主頭がさらに男前ですらりとした長身に惚れ惚れ。その辺ですね。

さて舞台は牢獄惑星。住人は囚人と看守合わせてたった25人ほど。黙々と労働と宗教で毎日を過ごす平和な場所であったらしい。そこへたった一人の女であるリプリーが転がり込みとんでもない疫病神となってしまう。
彼女とともに入り込んできたエイリアンが次々と彼らを食い物にしていく。リプリーとただ一人肉体関係を持つことになった医師までが命を落とす。パニックになる囚人たち。そんな中でリプリーは体の変調を感じる。彼女の体内にエイリアンの子供が産みつけられていたのだ。

とにかく全編気持ちのいい場面が一つもないような作品である。おぞましい星の悲しい住人達。エイリアンに襲われても誰からも救助される望みもない。
大概のアメリカンストーリーならばリプリーのアイディアと皆の力でエイリアンをやっつけリプリーも手術なりを受けてめでたし、で終わりそうなもんなのに彼らがどんなに勇気を持って果敢に闘っても全員が殺されてしまう、たった一人だけを除いて。その彼もただ他の牢獄に移されるだけなんだろう。リプリーの選択した道は体内に宿った悪魔ごと灼熱の地獄に落ちること、自己を犠牲にするしかなかった。その姿は磔になるキリストのようでもあり、また我が子を抱き抱えるマリア像のように美しいのだった。
この物語のどこが面白いんだろう。未来SFでありながら舞台となる場所はまるで時代を遡ったかのような古めかしさで機械類は壊れた物ばかり。人々は松明を持ち、肉体労働を強いられている。
彼らの拠り所は宗教で禁欲を心がけていた為女性が現れても突然反応することがなかった。
リプリー達は何の武器もない状態でエイリアンと戦うことを決意する。それは松明を持ち自分たちの肉体を餌にして奴をおびき出し焼けた鉛を浴びせる、という旧時代のアイディアに頼るしかない。
迷路のような狭い地下道を走り回り叫び声で合図する。情けないほどの作戦に命を賭ける囚人たち。だがそんな彼らの切ない必死の行動も恐ろしい怪物の前には何の意味もなく無残に次々と襲われ喰われてしまう。憐れな人間でしかないのだ。美しいヒロインは自殺し、彼女を守った勇敢な男たちも怪物には惨めに喰われてしまうのだ。こんなに恐ろしい物語があるんだろうか。
そして目的を達成することができなかったユタニ(湯谷?)社はため息をついて惑星を閉鎖する。

あの通路を走り回る場面が一体どうなってるのやら判らないのだがとにかく怖いではないか。しかも全然逃げ切れないのだよ。人間がここでは追いまわされる虫けらにしか過ぎない。何の命の重さもないんだ。簡単にぐちゃって潰されて体液が飛び散ってしまって終わりなんだよ。
こんなに侘しいアメリカ映画ってそれほどないのじゃないか。
その虚しさがたまらない後味の一作だ。それがいいのだよ。

監督:デビッド・フィンチャー  出演:シガニー・ウィーバー チャールズ・ダンス チャールズ・S・ダットン ランス・ヘンリクセン ポール・マクガン ポール・マッギャン ブライアン・グローヴァー
1992年アメリカ


ラベル:SF
posted by フェイユイ at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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