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2010年04月20日

『めぐりあう時間たち』スティーヴン・ダルドリー

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THE HOURS

神経症な女性が3人も出てくるので自分の好みとしてはぽうんと放り出したい気分だったが物語自体が時間と舞台が交錯するという自分の好む構成でしかも非常に精密だったのでそういう意味ではなかなか楽しめた。

1920〜40年代の時間『ダロウェイ夫人』というこれもある女性の一日を描いてその中で彼女の人生と死について思いを巡らす、というものであるらしい小説の作者ヴァージニア・ウルフ、現在の時間はかつて愛した男性リチャードから「ダロウェイ夫人」とあだ名されるクラリッサ、そしてその半ばほどの時間にウルフの『ダロウェイ夫人』を愛読している主婦ローラ、まったく違う3人の女性の人生に対する苦悩を描いていくうちに3つの人生が触れ合う瞬間を感じさせる。
3人の女優の演技には見入ってしまう。特にウルフを演じたのが驚きのニコール・キッドマンで最初名前が出てるのに全然出てこないじゃないかと気づかなかった。奔放というのか、精神を病んでいるのだと言われてもそうではなくて苦しんでいるのだと言い返す。心優しい夫に恵まれていながらそれを幸せとは感じられずむしろそれが彼女を縛る鎖となっているだけなのだ。それはそのまま一見幸せそうな主婦ローラにつながっていく。自殺するヴァージニアとは違いローラは死ねず夫と子供を捨てて生きる道を選ぶ。そのローラから捨てられた子供がリチャードでありクラリッサの元恋人ということで時間はめぐり合うのだ。
計算された構成が心地よく時間の流れを扱った作品はSF好きにはたまらない設定なのであるが、主要人物がめそめそ型女性なのが腹立たしい。男のめそめそしたのはいいのだが女のめそついたのには我慢ならないのだ。
ウルフはニコールの素顔がかっこいいので見惚れてしまったしジュリアンは泣き顔が似合うとしてもメリルがめそめそするのはちょっとやだなあ。それに取り敢えずビアンな要素が入っているのになんだかしっとり愛し合う場面はないのだねえ。まだまだビアンな表現は遠慮がちなのが伝わってくる。せめてメリルがリチャードより女性の恋人への愛情を強く見せてくれればいいのだが、不満。

しかしこういった何不自由ない暮らしなのに人間としての欲求が満たされないという苛立ちを描く作品を観てると戦争やら飢饉やらの時には平和や食事さえあればいい!というくせに人間というのは何と欲深な動物なのであろうかと嘆息を禁じ得ない。『戦場のピアニスト』を観せたらどうなんだろうか、などと言ってもこの人たちからは「あなたには私の苦しみは判らないのよ」と罵られそうだ。あああ。
作品と女優たちの技量の高さは感心する。そしてこの物語の持つ苦悩と言うものを確かに私も感じている。感じているのだがしかし一緒にそうよねえと言いたくない。解脱したい。この作品もそう言ってるって?私も結局めそついた女の一人だと認めるべきか。やだやだ。
つまりこんな風に何もかも求めて悟りたいとまた求めてしまう女性の一人なのだと自覚したくないので反感を持ってしまうだけなのかもしれない。
やはり自分の情けなくも醜い欲望は隠しておきたいものなのだ。
どうせ私もあなたたちの一人でしょうよと認めさせられる作品なのかもしれない。

原作者マイケル・カニンガムの『イノセントラブ』も死と水が関係する。というか幾つもの作品でこういう人生と死を考える物語には死と水が関連してくるのである。それは日本などアジアでも同じような表現になることが多い。面白い、というか興味深い。

監督:スティーヴン・ダルドリー  出演:ニコール・キッドマン ジュリアン・ムーア メリル・ストリープ トニ・コレット クレア・デーンズ ジェフ・ダニエルズ スティーヴン・ディレイン ミランダ・リチャードソン エド・ハリス
2002年アメリカ


ラベル:女性 人生
posted by フェイユイ at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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