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2010年04月22日

『ワルキューレ』ブライアン・シンガー

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VALKYRIE

実話である、ということも作用して面白い作品だった。本作の場合は何度か観なおして背景やら人物相関図やら製作の裏話なども調べたほうがより面白いのかもしれないがここでは単に観ただけの感想。
取り敢えず監督のブライアン・シンガーはアメリカ人監督とはいえユダヤ人であるにも拘らず「ドイツ人にもこういう人間がいる、ということを証明するのだ」という熱い思いを抱いたドイツ軍人たちを描いている、ということがまず興味深いかもしれない。
ブライアン・シンガー監督と言えば『ユージュアル・サスペクツ』が評判であったと思うが自分としてはスティーブン・キング原作の『ゴールデン・ボーイ』が強い印象の面白い映画だった。
これもまたナチス将校を描いた作品なのだが、「もし自分ちの近所にナチス将校が隠れ住んでたら?」というキングお得意のぞくぞくするような怖いようなとんでもない話である。
アメリカ人は表面ではナチスを悪の権化として徹底的に批判しているくせに心の奥底では密かに彼らの行為に対して強い好奇心を持っている、ということが一人の優等生的白人少年によって明らかになっていく。小説で読むだけでも人間の心理を暴露していく恐ろしい(が面白い)物語であるのにそれを映像化してしまうブライアン・シンガー監督、しかも彼自身がユダヤ人なのにユダヤ人を恐ろしい目に合わせた将校の話をぞくぞくしながら聞きだす、というのはやばくなかったのであろうか。まあ、その少年はその年老いたナチス将校を苛めぬくのではあるが。
そして今回は「中には正義の人間もいたナチス軍人」という物語である。またまたまずいことにはならなかったのであろうか、親戚関係では。
と大いに興味を抱かせる物語ではあるが、多くの人が疑問に思ったろうし私もそれが原因ですぐ観る気がしなかった「トム・クルーズが主演」という事実。やはりシンガー監督はアメリカ人、ということなんだろうか。どこかで最初この主役はドイツ人俳優トーマス・クレッチマンがやるはずだったのにクルーズに変えられた、とのこと。クレッチマンは本作でワルキューレ作戦に関わった「反逆者」を逮捕するレーマー少佐に扮している。真逆の役になったわけだ。クレッチマンは『戦場のピアニスト』でユダヤ人である主人公を救ってくれる(実際は他の幾人ものユダヤ人を救ったらしい)高潔なナチス将校を演じていてイメージ的にもぴったりであったろうに一体どういう経緯があって降板させられてしまたんだろう。確かにアメリカ映画に置いてクレッチマンが主役であるのとクルーズが主役なのでは観客動員の数は物凄い差になってしまう予感はする。どうせ英語で製作される国籍不明な映画になるのだし作りとしても明らかに娯楽性の高いアクション映画なのだから作品のテーマである「いいナチスもいた」ことが表現できてしかもより多くの人に観てもらえるクルーズの方が意味がある、となったのかもしれない。
(それにしても小柄なクルーズを小柄に見せない為にヒットラーも随分小柄、他の人たちも小さめだった。クレッチマンだったら標準でできたろうにねえ)
それにこの配役では「やはりユダヤ人監督としてはドイツ人に正義の人をやらせたくないのだ」としか思えないではないか。
そういう様々な逡巡もあったのかもしれないが。

当然ではあるがナチス軍服がきっちりかっこよく見えてくる。ナチスマニアのユダヤ人、って。かなりアブナイ人なのかもしれない、この監督。これは褒め言葉だよ。

監督:ブライアン・シンガー 出演:トム・クルーズ ケネス・ブラナー ビル・ナイ トム・ウィルキンソン カリス・ファン・ハウテン トーマス・クレッチマン テレンス・スタンプ エディ・イザード
2008年アメリカ


ラベル:戦争 歴史
posted by フェイユイ at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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