映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2010年04月24日

『世代』アンジェイ・ワイダ

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POKOLENIE

ほぼ映画鑑賞をDVDに頼っている自分である。が、どうしても観ておくべきと思える名作ほどDVD化されていないのは一体どういう理由なんだろう。少しずつそれらもDVDなり現在観ることができる形になってくれるのであろうか。私が生きている間にやって欲しいものだ。
それらの一つにアンジェイ・ワイダ監督作品もある。ようやく近々『カティンの森』一つがレンタルもできそうだが他にもまだまだ未見のもの観なおしたいものが数々ある。
昨夜BS2で『世代』が放送され初めて観ることができた。ワイダ監督のデビュー作品ということで確かにまだ初々しい面もちらほら見えるのであるが圧倒される迫力を持つ場面が何箇所も出てくる。
また若かりしロマン・ポランスキーがナチスと戦う警備隊の一員として登場するのが驚きだった。

本作でのナチスは昨日観た『ワルキューレ』のように中にはいい人がいる、とはとても思えない。人間性をまったく欠いた殺人鬼のようでしかない。舞台はポーランドの小さな町のようだが通りに殺されたポーランド人の遺体が高々と吊り下げられていて人々はその下を歩いて仕事場へ向かうのだ。またユダヤ人の住む建物が燃やされ黒煙が空を覆い、その下に並ぶナチス兵士たちの姿が恐ろしい。
映画の前にワイダ監督自身の説明があり彼が画学生の頃、同級生の絵に酷い衝撃を受けたという。その絵は惨殺されたポーランド人を描いたものでワイダ監督は自分もこういう作品を作らねばならないと感じたということであった。吊るされた死体はその絵から受けるような悲しみを感じさせる。
(それにしてもワイダ監督の青年時代は俳優にしたいほどのハンサムであった)

まだ何も知らない若者であった主人公スターショがドイツの石炭輸送列車から仲間と共に石炭を盗もうとする。気づいたドイツ人から仲間の一人が撃ち殺されてしまう。
やがて工場で働き始めたスターショは労働の大変さが身に沁みる。そしてナチスがポーランドをいかに圧政しているのかを知っていく。彼が行く学校もナチスの支配下にあるのだ。
そんな時、スターショはナチスと戦おうと呼びかける抵抗運動家の一員ドロタの演説を聞く。スターショは指導者であるドロタを尊敬しながら美しい女性である彼女に惹かれていく。

立派な軍服に身を包んだドイツ人と違ってスターショの冬服のみすぼらしさ。ポーランド人である彼らがいかに弱い存在なのかが伝わってくる。
やっと愛し合えるようになったドロタがゲシュタポに連行されるのを見てもスターショはどうすることもできない。
だがドロタがスターショに話していた新しい仲間が現れスターショの頬に涙が流れる。スターショの戦いが始まったのだ。

本作で描かれているポーランドの中のカソリック教徒たちとユダヤ人たちの関係の真実については自分にはよく判らないが、ここでカソリックである主人公は友好的な態度で表現されている。ユダヤ人を救う為に戦う、という台詞もある。
『カティンの森』で描かれている大虐殺など歴史は一筋縄で説明がつかない。
一つの映画がすべてを把握することはできないだろう。多くの作品を観ることが大切なことなのだ。

監督:アンジェイ・ワイダ 出演:タデウシュ・ウォムニッキ  ウルスラ・モジンスカ  ズビグニエフ・チブルスキー  ロマン・ポランスキー  タデウシュ・ヤンツァー
1954年ポーランド


ラベル:歴史
posted by フェイユイ at 00:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『世代』は観ていないので御免なさいなのですが、フェイユイさんBS観られるようで嬉しいです。先日も何十年も前から気になっていた作品『影の軍隊』を観て衝撃。リノ・バンチュラが好きで彼の出演作ということで名前だけは知っていた作品でした。これも戦時中のレジスタンスを描いた非常にハードな作品で、観られて良かった(涙)そしてその前にもBS放映でCコスタ・ガヴラス『戒厳令』にも感動。さすがNHKです。〜本当にフランス人というのが多分フランス革命以降レジスタンスということが心身に染み渡っている或いは根っこにある人々なんだな、とよく解りました。ロベール・ブレッソン『抵抗』(私の恐らく生涯のベストワンです)、ルイ・マル作品等々みなフランスですものね。他にも多々あるでしょう。フェイユイさんの最後の部分に非常に共感します。“一つの映画が全てを把握することはできないだろう。多くの作品を観る事が大切なことなのだ。”正に!その通りと思います。
アンジェイ・ワイダは私が若い頃働いていた小さな名画座でフィルムを持っていまして『灰とダイヤモンド』『世代』『地下水道』を三部作としてよく上映していました。『灰・・』だけは観ています。
Posted by フラン at 2010年04月24日 12:01
なんとか観れる、ようになったかも、です(笑)いまいち絶対じゃないんですが。
ここんとこ戦争ものばかり観てるのですが、平和でいられるって難しいのだ、と改めて思います。色んな国の映画を観るとどうしてもその国に感情移入してしまいますがどの国も敵であり味方であり、人種や宗教人間関係が複雑に絡んでいるわけで・・・。しかも前の大戦の我が国の立場を考えれば・・・。
なかなか上手く言えません。

フランス映画ってやはり独特です。『戒厳令』も『抵抗』も未見です〜。
ワイダの『灰』と『地下水道』は観たのですが、やはり昔のこと。もう一度観たいです。
Posted by フェイユイ at 2010年04月24日 19:10
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