映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2010年04月27日

『9000マイルの約束』ハーディ・マーティンス

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AS FAR AS MY FEET WILL CARRY ME/SO WEIT DIE FUBE TRAGEN

タイトルが示す通り恐ろしく時間も長い映画でその為やや躊躇してたのだが、観出したら面白くて(って言っていいのか。でもこれは面白いよね)ぐいぐい引き込まれて観てしまった。なんといっても私が大好きな放浪モノしかも最も憧れる(って言っていいのか)ユーラシア大陸横断ものである。この9000マイルという距離はこれまた大好きなアレクセイ・チャドフ主演の『SERKO』で彼が演じた若きコサックが白い小型馬に乗って走破した距離(アムール川流域からサンクトペテルブルグまで)と同じだがこれは乗馬であり本作はなんとほぼ歩いて行ったんだから恐れ入る。無論乗馬では200日だが本作の脱走ドイツ人は1000日以上を必要としている。脱走であるから堂々とはいけないし。
面白いのは二つの話とも途中遭難しヤクーツクの人々に助けられ若い女性に気に入られてしまう、というちょっとしたロマンスがほぼ同じパターンで入っていることである。しかもどちらも実話だというのだがこの部分もそのままなのであろうか。
なんといっても主人公はどちらも美男で遭難してたら若い女性としては放ってはおけない、ただし美形に限る、ということか。とはいえ本作の方は目的が愛する妻子の元に帰る、ということだから、この場面は観る人によっては評価を下げてしまわないか。自分としてはさすがのドイツ人ももうここに居つこうかと思ったのでは、と考えてしまう。あの恐ろしい厳寒の大地を再び歩み出すより暖かで優しい人たちとのんびり暮らしたいではないか、あそこで追っ手が迫っている知らせさえなかったらもう戻らぬ人になってたかもしれない。

ドイツ兵士がシベリア収容所で強制労働をさせられ脱走した物語、というのは彼の国のこれ以前の所業を取り沙汰されたら感動しにくいものになってしまうだろうが、本作ではそう言う部分はできるだけ隠さねばならないのはきついところかもしれない。その分ソ連将校が悪役になってしまうのである。
また彼の国境越えを援助するのがソ連に住むユダヤ人でしかも兄弟をドイツ人に殺されているのである。彼が何故恨むべきドイツ人を救ったのか、明確には答えられてはいない。だが彼の言った「何度でも助ける」という言葉に恨みを復讐で返すのではなく徹底的に助けることで思い知らせる、というような特別な感情があるとしか考えられない。彼の宗教感なのか。

想像することもできない広大なユーラシア大陸を歩み続けた男。絶望の中で観たオーロラの美しさ。彼の頭上を飛び越えていった追っ手の犬ぞりは彼の見た幻影なのか。
彼が行ったことはもっと話せないような事実もあるのかもしれない。神の前で謝らねばならないことが。
これは美談という類のものではなく一人の男がやり通した冒険譚なのに違いない。

それにしてもやはり語学は必要だ。彼がロシア語が話せなかったらこの冒険も無理だったよね」。

監督:ハーディ・マーティンス 出演:ベルンハルト・ベターマン ミハエル・メンドル アナトリー・コテニョフ ハンス・ペーター・ハルヴァクス イリス・ベーム
2001年ドイツ


ラベル:戦争 歴史 家族 冒険
posted by フェイユイ at 01:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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