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2010年04月28日

『おろしや国酔夢譚』佐藤純彌

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シベリア横断物語シリーズである(私にとって)第3話目だが製作年はこれが一番古く、物語の舞台も1782年以降のことであるから最も古い。『SERKO』は1889年。『9000マイル』は大戦後だから1945年以降ということになる。
また光大夫たちの船が難破した場所はロシアから離れたアリューシャン列島のアムチトカという島であるからそこからカムチャッカさらにイルクーツクを経てサンクトペテルブルグまで、という恐ろしい距離になる。
とは言え、なにしろ光大夫の旅は日本へ帰国までを描かなくてはならないから他の2作とは違い9年9カ月の行程を2時間の映画に収めねばならないので物凄いスピードで物語が進行していく。あっという間に季節が移り月日が流れていく。しかも波乱万丈の大冒険ものなのであっという間に観終えてしまった感がある。
佐藤純彌監督は自分的には微妙な位置の人で作品が面白いんだかどうなのか、深みがあるようでないような重厚そうで軽薄な、という感じである。本作もまさにその通りで非常に面白い題材をそつなくまとめながらものめり込むような感動がないのが特徴だ。楽しくはあるが、10年弱の大冒険のダイジェスト版を観てる気がしてしまうのもそういうことなのである。
それはそれとしても光大夫を演じた緒方拳を始め西田敏行、川谷拓三、沖田浩之という俳優陣が楽しませてくれた。
緒方拳の冒険映画(というのか)と言えば今村昌平監督の『女衒』が凄まじく面白かったので本作の光大夫は冒険そのものは目を見張るが本人のキャラクターはそれほど目立ってはいなかった。それは本人の咎ではなく物語がすっ飛んでいくので仕方ない、監督の責任だ。

とにかく日本からアリューシャン列島に流れ着いた大黒屋光大夫一行は何とか日本に帰りたいという一心で船を手作りしカムチャッカへ渡りそこではどうしようもないと言われイルクーツクへと厳寒地獄を突破する。そこで西田敏行演じる庄蔵は脚が凍傷で腐り切断することになり一人落ち込む。自暴自棄になった庄蔵だが日本人の父を持つ女性の助けでクリスチャンになりロシアに残る決意をする。また沖田浩之扮する青年も結婚し残留する。旅の途中で死んでしまった仲間もあり、やっと女帝の許可を得て日本へ戻る時は3人となり、帰国すれば外国へ行った者は死罪と言われロシア船で待つ間にまた一人死亡。無事に日本の地を踏んだのは光大夫を含め2人だった。
何だか悲しいラストだったが実際の光大夫は幕府に迎えられ外国の知識を持つ者として優遇され長生きしたようだ。
『9000マイル』の時も思ったがやはり必要なのは言語。光大夫たちはすぐに言葉を覚え、がんがん仕事をし、なんだか日本人ってマメだなあと感心。嘘ではないように思えるしね。
すぐに地元の美女と恋に落ちてしまうのも偉いものだなあと。
ラックスマンってロシア人じゃない名前、と思ってたらこの人は北欧人だった。色々国際的なのだ。
エカテリーナ2世は光大夫の歌をどう思ったのか?いまいちよくわからなかった。光大夫の態度に感動した、というより面倒くさくなった、としか見えなかったけど。
そして光大夫と残ることにした庄蔵の別れのキスシーン。そうだった。ロシアの男性同士はキスするんだった。あんまり映画で観ないけど。何故。そんなロシアの風習が身につくほど長くいたという表現であるだろうね。

それにしてもこの頃のロシア、漂流者に物凄い親切な国だ。

色々面白かったりする場面があるのだが、かなり大雑把な映画ではある。連続TVドラマの方が楽しめる内容かもしれない。

監督:佐藤純彌 出演:緒形拳 西田敏行 オレーグ・ヤンコフスキー マリナ・ヴラディ 江守徹 川谷拓三 三谷昇 沖田浩之
1992年日本


ラベル:冒険 歴史
posted by フェイユイ at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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