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2010年05月04日

『ウイグルからきた少年』佐野伸寿

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yashi

これも昨日に引き続き(と言うのか)監督の説明が不可欠な作品。ドキュメンタリー風のフィクションというのが前提なのである。だが納得できた昨日の映画とは真逆に説明のせいでさらに疑問が湧いてくる本作だった。
時間が60分ほどという短めの映画である。しかもその内容が台詞や文字による説明などはごく僅かでなんとなくなイメージ映像に近いのである。遠い見知らぬ異国で肩を寄せ合って住む3人の少年少女たち。彼らはロシア人、カザフスタン人、中国から来たウイグル人と言葉も宗教も別々である。ロシア人の少女は母親の顔も声も知らず売春をして生き延びてるがその体はすでに病に冒されている。カザフスタンの少年はどうやら裕福な家の子供らしいのにも関わらず彼らと寝食を共にし彼らには優しいが、いつも何かに苛立って町の少年たちに喧嘩を吹っ掛ける。また彼に近づいてくるキリスト教徒(?)の外国の老人を罵倒して金を巻き上げる。中国に住む両親から他の国へ行って自分の未来を切り開いて、と言われたウイグル人の少年は頼るすべもなく自爆テロの組織に使われてしまう。
監督の説明によると「日本人が殆どカザフスタンという国とそこに住むウイグル人について知らないのに気付き実情を知って欲しくてこの映画を作った」というのがほぼその動機であるらしい。
しかもその後に肝心の「ウイグル人がこのような自爆テロをすると勘違いされてしまうのが懸念だった」と続く。
確かに作品の冒頭でウイグル人の男性が「ウイグル人は報復ということをしない」という説明をする。とはいえその言葉を作品の最後まで覚えていて少年の行動はウィグル人としては普通ではないのだ、と理解しながら観ることができる人は相当解釈力が高いとしか思えない。そういうウイグル人の特徴がありながらあえて少年が自爆の道を進んだ、と考えさせたいのならもう少しクドク台詞説明をした方が判りやすいのだろうが、万事この作品はそういう説明を入れずに仕上がっているのである。
DVDなら何回も観て咀嚼すべし、でいいだろうけど映画館などで観る人にはなかなか一遍ですべてを解釈するのは難しそうだ。
なにしろ監督自身が「日本人が知らないウイグル人を教えたい」と言っているのだからもう少し説明過多であってもいいのではないか、と普段は説明を嫌うくせに想うのである。
ただ主旨が「なんだこれは?と思ってもらえればよい、後は各自で調べてくれ」ということなら確かに見知らぬ土地と人があるのを知ってもっと知ってみたい、と思ったのだから成功だと思うのであるが。

ところでもう一つ気になったのは、最近やたらと「児童保護」にまつわるタブーが多いのであるが、ここで題材となっている3人の少年少女たちがかなり際どい領域に入っていると感じてしまうこと。
露骨に酷い場面があるわけではなくても最近の映画としては珍しくぎりぎりのところまでやらせて撮っているのではないか。そこをどう感じとるかでも評価が著しく変わってくるに違いない。
妄想の中での少女の水泳シーンは綺麗というだけでないエロチックなものだし。
ウイグル少年のテロ訓練がかなりハードでありすぎて可哀そうに見えるのは、そこが問題提議なのだとしても実際にやらせているのが気にかかる。
カザフスタン少年が同性愛を匂わせる初老の男から金を巻き上げるという話があるのだが、少年が売春をしているという設定なのだろうか。
少年は売春をするつもりだったのに、男が手を出さずに何度も家へ招いては少年に話ばかりしていることに少年が苛立ってしまっただけのようにも見える。「金をもらうようなことをしていない」だとか「一体何をやりたいんだ」とかいう台詞からしてもこの老人、本当に買春したいのではなく宗教活動だったのかもしれない。そして最後にクリスチャンの同性愛者(かどうかよく判らんが)の男を恫喝した少年が路上で刺殺されてしまうというのもどの事柄からの結末であるのか。
どの子供の話も児童愛好者が好んで観る為のようにも思えてくる。

あくまで冒頭に「フィクションです」という前置きがあっての映画作品。文句を言わずイメージを受けとめればいいのかもしれないがなら何故の監督の言葉。

多くの疑問を抱えてしまった。
今後観る映画や世界の出来事で少しずつ何かが判ってくるのかもしれない。
ともかくもロシアとアジアに凄く興味を惹かれている自分としては何かしらの謎かけをされたようであった。

監督:佐野伸寿  出演: ラスール・ウルミリャロフ カエサル・ドイセハノフ アナスタシア・ビルツォーバ ダレジャン・ウミルバエフ
2009年日本/ロシア/カザフスタン


ラベル:児童虐待
posted by フェイユイ at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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