



INGLOURIOUS BASTERDS
ナチスとユダヤ人というコメディにはし難い題材でありながらタランティーノとしての役割を臆することなくやり遂げた勇気ある作品に仕上がっていた。
印象的に滅茶苦茶を繰り広げる馬鹿映画、みたいな受け止め方をされるんだろうけど滅茶苦茶な馬鹿はアメリカ兵だけでナチスとフランス人とユダヤ女性はあくまでもシリアスなのである。ブラピ率いるバスターズが出てくる箇所さえ切り捨ててしまえば真面目な一作となるのではないか(違うか?)
とにかくブラッド・ピットを筆頭になにこのアメリカ兵たち?この映画ではナチスはランダ大佐が威圧的に怖いだけであの映画を除けば残虐行為流行ってない。冒頭のフランス人農家でのユダヤ人狩りも床を通しての銃殺というタランティーノにしては奥床しい表現になっている。
それに比べブラピ=アルド・レイン中尉がインディアンの血を引く、という説明もあってバスターズにナチスの頭の皮を切り取らせるという観るに堪えない惨たらしさ。ナチス将校が怯え震えあがる非道な行為を任務として遂行し何らの呵責もない。どのアメリカ映画でも正義の味方として登場するアメリカ兵士がナチスも泣きだす最低最悪の殺人鬼となっているのがおかしいのだ。
そういう頭のおかしい(ブラピは頭のおかしい役をやるといつも上手い)アメリカ軍はおいといてナチスのランダ大佐の堂にいった親衛隊ぶり。4ヶ国語を駆使して冴え渡る頭脳。家族を惨殺されやっとの思いで逃げ延びたユダヤ女性ショシャナの復讐と彼女を支える黒人男性の愛情。兵卒でありながら英雄に仕立て上げられショシャナがユダヤ人だと気づかず愛するフレデリックのでもやはり彼もまたナチスの傲慢さを持っている。ドイツ人でありながら連合軍側に着く女優、ナチスに扮したがアクセントと指でのサインに気づかれてしまうイギリス人将校など滅茶苦茶ではなく緊迫したサスペンスがあり非常に面白いのだが、それをあのアメリカ語しか話せない馬鹿なアメリカ人バスターズが全部ぶち壊してくれるのである。無論これはタランティーノへの賛辞だけど。かっこよかったランダ大佐も無軌道なアメリカ人にぶっ壊されてしまうのだ。
ほんとにブラッドは狂った人がうまいんだよね。
ナチスが可哀そうに見える映画って。
それにしてもこういう酷い映画(賛辞である)にドイツ人がナチス役で多数出演しているのだから時代も移り変わったということなのか。
監督:クエンティン・タランティーノ 出演:ブラッド・ピット メラニー・ロラン クリストフ・ヴァルツ ダイアン・クルーガー ミヒャエル・ファスベンダー イーライ・ロス ダニエル・ブリュール ティル・シュヴァイガー B・J・ノヴァク
2009年アメリカ
これは劇場に2回観に行きましたよ!それ位“浸りたい感”強かった。私の場合音楽が重要です。出だしのあの西部劇のテーマ丸出しのエンリオ・モリコーネ?の曲にまずやられ、ショシャナが復讐を果たす決意を込め化粧〜突撃するときのデビッド・ボウイーの曲であるとか、ラストの曲であるとか、耳について離れない。聞けばナント全部他人の映画のサントラ盤の曲を使ったりしているそうな。タランティーノは初めてだったのですが、まんまと嵌りました(笑)〜そもそも、駅貼りポスターのブラピが気になって気になって(笑)それで観に行ってしまったのです。残酷な場面はやはり引きましたが、役者を生かす監督だな〜と。そして映画を作っているのを何より監督が一番楽しんでいるのだな!てことが伝わってきました。役者好きの私から云えばブラピも良かったし、ドイツ側役者みんな良かった〜^^ ◎ティル・シュヴァイガー!怖いけど可愛くて(笑)惚れてしまった。そしてアウグスト・ディールも最高!ダイアン・クルーガーも素晴らしい演技でした。クリストフ・ヴァルツはいわずもがな、ですね。私は途中から西村晃に見えて仕方なくて(笑)
2回劇場へ足を運ぶのは自分的にやはり特別な映画だけ。『ゼア・ウィルビー・ブラッド』以来でした。この後は『ハート・ロッカー』も2回。。バロメーターです。あ、『パリ・ジュテーム』は3回行きましたが。。^^;
私ってば確かに音楽にも惹かれているのですが、記事に音楽のことを書くのが少ないのですよねー。タランティーノは『キルビル』でも日本歌謡を実に上手く使うオタクな才能溢れる人で、本作でもフランさんが感心するほどばっちりはまる選曲だったわけですね!
ヴァルツさん、どこかで見たような、と思ってたら西村晃さんでしたか(笑)確かに。
それにしても映画館に2度行くのはやはり特別です。なのに『パリジュテ』3回!!!
スゴイ。