

「藍空放浪記」では初めての『マット・デイモン』記事です。なにせ「藍空」では短期間(5ヶ月)ほどの間に68もマット記事を書いてるのです。アキレタ。もう一度出演作順に見直そうと「藍空」で観て来たのですが『ラウンダーズ」の次の「プライベート・ライアン」はどうしても見る気になれずパス!「ドグマ」は大好きですが、もう何回も観てしまった気がするので(笑)「リプリー」とさせていただきます。
マット・デイモンの作品で何が一番好きかというような話を前もしたのですがやはりこの作品が映画として一番魅力的ですね。イタリアが舞台なのでアメリカ人にとっての異国の街という雰囲気。貧しい青年となに不自由のない裕福な憧れの青年。いつ破綻してしまうのかと言う綱渡りの嘘の塗り重ね。最初から最期まで飽きることなくはらはらムズムズしてしまいます。
この映画の中のマットは何となく老けた感じがするのですがかなりダイエットしているからなのでしょうか。最初辺りのダサい感じから次第にこなれていく様子。マット特有の卑屈な笑い方がトム・リプリーという貧しい若者を上手く演出しています。時々急にハンサムに見えたりしてどきりとする表情もあってマットの上手さが一番よく出ている作品なのではないでしょうか。
この映画をジュード・ロウ目的で観る人は多いのでしょうね。まったくこのジュード演じるディッキーは素敵です。裕福な青年らしいわがままぶり、ほっそりした顔かたちと体つきもトムが憧れの存在として納得のキャラクターです。笑顔がなんとも可愛い印象です。
グゥイネス・パルトロウのマージ。彼女が一番好きだ(笑)トムを怪しみ憎む様子のマージはいいですねー。他の女優ではこの優美な軽やかさは出ないでしょう。
フレディ=フィリップ・シーモア・ホフマン。最高にやな奴(笑)よくもこんなむかつく態度が取れるものだ(笑)うーん、「カポーティ」を早く観たい。
どうもがいても幸せにはなれないトムの葛藤。ピアノの蓋に映し出されたトムの姿が二つに分かれていく場面、大切な人を殺し部屋の中に座り込むトムが鏡でいくつもの部屋にいるかのように見える場面などトムの心が分裂され複雑に入り組んでいってしまうのが表現されています。
イタリアの街の美しさ、ジャズという音楽を取り入れた巧みさ、同性愛的なニュアンスが感じられながらもその実自分だけしか信頼できない悲しみがあり、トリッキーな要素も織り込みながら犯罪とその心理を描いた作品でどうしても惹き込まれてしまいます。
監督: アンソニー・ミンゲラ
出演: マット・デイモン /グウィネス・パルトロウ /ジュード・ロウ /ケイト・ブランシェット /フィリップ・シーモア・ホフマン /ジャック・ダベンポート
1999年・アメリカ
以前書いた「リプリー」マット・デイモン
ラベル:犯罪