映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2006年09月30日

「バーディ」アラン・パーカー

バーディ.jpg

自分にとっての青春時代(の終わり頃?)の映画と言えばこれがその一つ。一番映画館に行っていた頃でもあるが、一人で小さな映画館に何度も通ったのだった。

アラン・パーカー監督と言えば社会派というレッテルが貼られているようだけど私の中ではあまりそういうイメージではなく、わけのわからない(と自分には思える)世間に混じることのできない若者が自由を求めてもがいている映画という印象が強い。それは先日観返した「ミッドナイト・エクスプレス」とこの「バーディ」においての印象なのかもしれないが。

「ミッドナイトエクスプレス」では麻薬密売によって言葉の通じない外国(トルコ)の刑務所にぶち込まれる、「バーディ」ではベトナム戦争にいったことで精神に異常をきたしたといった問題提議がなされているがそれは主人公の青年をそういった状況に置く為の「装置」なのであって本当に語りたいのは「そういった状況・そのような社会」の中の人間特に若者の「心の揺れ」を描きたいだけなのだ、と受け止めている。

特にこの「バーディ」では戦争の場面はその恐怖を伝える僅かな時間に限られており多くは鳥になることにしか興味のないバーディとその彼を見守る友人アルとの話で占められている。

とは言え、もし平和な時間の中で生きていけたならバーディはもっと緩やかに自分だけの世界に落ち込んでいったかもしれない。
彼が戦地で死の恐怖を味わう事で急激な精神破壊を受けてしまったことで友人アルは混乱してしまう。
常識的なアルは(つまり普通に女の子に興味があり、未来にも確信を持っていたはずの)常にバーディを見守っているつもりだった。
そのアルこそがバーディが自分の一部であり、なくてはならない存在だと気づいたのだ。
そこへ到る過程は胸に迫るものがある。

アルを演じるニコラス・ケイジ、まだ髪がふさふさのタレ目系ハンサムで魅力的だ。
鳥好き青年・バーディを演じるのはマシュー・モディン。筋骨隆々のケイジよりさらに大きな体だがその心は繊細だ。小さな美しい雌のカナリアに恋人にするかのようにキスをする。
彼は最初アル役でオーディションに来ていたのだが引っ込み思案な性格がバーディに向いているというので決定されたという。
セリフを言わせることもなくその表情を見るだけで充分と監督に思わせたのだ。
性格はまったく違うのに深い友情で結ばれているアルとバーディの物語を何度見直したことか。
20年たった今見返しても次に何を話すのか判るほどだった。
アルがバーディに思いを打ち明ける場面は素晴らしい。突然話出したバーディが医師には何も話さないので何故だと聞くアルに「奴に話すことはないよ」というのがいかにも内向的バーディらしい。

涙がこみ上げてくるような情感がありながらも全体の雰囲気は明るく愉快なのも好きだった。
最後の驚きはアルとバーディがこれからも親友として共に歩いて行く未来を感じさせるものであった。

監督:アラン・パーカー 出演:マシュー・モディン、ニコラス・ケイジ
1984年アメリカ


ラベル:友情
posted by フェイユイ at 00:06| Comment(4) | TrackBack(1) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お邪魔します。
このバーディを最近見たのです。…ずっと見たいと思ってきたのに、なかなか見れずにいました。髪がふさふさのニコラス・ケイジには本当に驚き!でした(笑)
青春の思い出と交差して戦争で負った傷を織り込み、シリアスだなぁ…そして最後はどうなるのか…半ばドキドキしながら見ていたのですが、最後は思わず笑ってしまいました。本当に涙がこみ上げてくるような〜フェイユイさんのコメント通りですよね〜
私も時々バーディのように鳥になりたい〜と思いながら布団を干しているので、現実あぶない!!っていうことも多々あります(大分意味はちがいますけど…)
フェイユイさんが取り上げられているのをみて本当に嬉しかったです。
Posted by まりも at 2006年10月01日 10:36
偶然同じような時期に観てしまったんですね!(笑)
まりもさんは初めて、私は20年ぶりだがもう10数回目(笑)という(いや何十回目かも)違いがありますが。
とにかく大好き以上の映画でした。
私もゲイ映画が好きなのですが、本当はこういう深い友情ものの方が好きなのかもなあと思っています。
ゲイと友情のすれすれくらいが好きなのです(勝手だあ!)
久し振りに観てもまたまた涙があふれそして笑ってしまいました。
Posted by フェイユイ at 2006年10月01日 19:37
ゲイと友情のすれすれくらい…っていうの、すごく分かります。私もやっぱりゲイ映画はストーリーものが好きなので、やっぱり男同士の友情こそ一番ドキドキしちゃいますね(笑)だから香港映画の微妙な男同士のハードボイルドには特に目がありません。すいません…話がそれました。
アルのバーディへの思いが通じた瞬間、涙が溢れましたね…でもあの医者はむかつきますがね!
また私のほうのブログにリンクさせて頂きたいので、よろしくお願いします。しかしPCがあまり得意でないのでリンク付けに悪戦苦闘中です(>_<)
Posted by まりも at 2006年10月01日 21:26
私もリンクさせていただきました。
どうぞよろしくお願いします〜。
Posted by フェイユイ at 2006年10月02日 23:19
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

偶然にもBつながりに…
Excerpt: ここ四年間ぐらい、私の映画ブームはもっぱら華流!ゲイ関連映画も様々香港映画や台湾映画を中心に見てきた。もちろん欧米には数々の映画がやっていたこともネットなどで知っていたのだが、どうにも興味が湧かなかっ..
Weblog: まもうのつぶやき…
Tracked: 2006-10-01 10:38
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。