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2006年11月05日

「ミスティック・リバー」クリント・イーストウッド

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スタッフ・キャストに有名人が勢ぞろいし、アカデミー賞。主演助演男優賞も取ったということもありこの映画への関心はかなり高いようだが、日本での評価となると思い切り分かれていて絶賛しているのもあれば「暗くて救いがない」と観た人を落ち込ませているようで面白い。総じて「なんでこんなムカつく映画を作ったのか」という評が多かったようなのだが私としては随分楽しんで観てしまって、こういう姿勢ではいけなかったのかな?と自分の道徳観を懸念してしまった。
少年時代遊び仲間だった3人のうち一人だけが小児愛好家に連れ去られ強姦されてしまう。なんとか逃げ延びはしたものの3人はそれぞれのに心の傷を負っていくことになり運命は再び巡ってくる。
という興味津々の話なのだがこの力関係を国と国との関係に置き換えて考えて見たりもできるという非常に面白みのある作品なのだ。または謎解き、心理分析、と様々な楽しみ方ができる。
とにかく物凄く大勢の人から評価をされているのであえてまた書く必要もないみたいだが大変楽しませてもらったし、余計なことをちょいと書いてみたい。

私にとってのクリントというのはマカロニ・ウェスタンやダーティ・ハリーの彼であってその削いだような容貌と長い手足のファンではあったが最近の監督としての作品はまったく観てなかったのだった。
まさしくダーティ・ハリー的に問答無用で進んでいく展開は爽快ですらあるし、実際監督としての手際は猛スピードらしく殆ど1テイクで撮ってしまうらしい。些細な失敗や事故はお構いなしで突き進むという男らしさである。例えばジミー(ショーン・ペン)が娘を殺されて遺体安置所を出てからショーン(紛らわしいな、ケビン・ベーコン)と話す場面があるがここでジミーは怒って話しながらコーヒーカップを叩いてこぼしてしまう。これは事故だったらしいのだがクリントは気にせず先へ進みそのまま採用になっている。凄くうまくこぼしたんで「名演技」と思ってたら単なる偶然だった。どおりで自然なわけである。

コメンタリーでケビン・ベーコンとティム・ロビンスが話してるのだが「70年代は大人の映画があったが最近はない」てなことを言っててまさしく「ガルシアの首」で私が感じたことではないか、と。
でもそうなのか、最近は大人の映画がないのか。ふむ。

この映画を観たくなった理由はそのままこのケビンとティムが出ていたからなんだけどケビン・ベーコンは「フットルース」から顔が大好きで(顔のことばかりだな)まったく印象が変わらないのが不思議である。その体型も。そしてここで好きになってしまったのは彼の相棒(ケビンによれば夫婦のような関係)であるローレンス・フィッシュバーン。「マトリックス」のモーフィアス役で有名だがこの方も顔と体型が素敵(笑)このコンビは凄くよくてずっと観たかった。できるならこのコンビの別映画やってください。

二人はクリント監督の手腕をおおいに褒めていたが特に力を込めていたのがそのスピードの事であった。昔は短時間で撮影を終えていたのに最近の撮影は15・6時間がざらだという。ところがクリント監督は仕事が的確ですばやいので終了後にジムへ行きディナーを楽しめるというわけだ。
ケビンとティムは役者はいい映画のためなら十何時間でも働くがいい生活の為・家族の為には町の人々と同じ時間で働きたい、と力説。あら。ハリウッドの役者は時間通りにしか働かない、と聞いていたのに。最近はアメリカを離れて費用が安く済む東欧などでの撮影が多いからこのような長時間労働になるらしい(組合が厳しくないから)ナンだか一番切ない訴えであった。

私がみた批評では触れられていなかったのが何故犯人(ブレンダンの弟・レイ)はケイティを殺したのか、ということで、原作は読んでないからそこには答えがあるのかも知れないが映画を観てる限りではブレンダンが恋人ケイティを何故殺した?と弟を責める。「俺が好きだからか。好きだからケイティを殺したのか?」そして弟を締め上げる。レイの友達が拳銃を取り上げ撃とうとする。ショーンたちが駆けつけ、彼らを取り押さえる。そしてデイブを勘違いで殺した後のジミーに犯人を捕まえたと伝える。「何故殺した?」「拳銃で遊んでたらケイティが偶然通りかかったので脅かすつもりが間違って発砲。逃げ出したので追いかけて口をふさごうとした」とショーンは説明する。
大人しい印象の弟とその友達の殺人の原因としては奇妙なものだ。むしろ兄・ブレンダンが言っているとおり嫉妬で(というかケイティが兄を連れ去ったら愛情の乏しい母親と二人きりになる生活を怖れて、と言う気持ち)といった方が納得がいく。なぜそういう無意味な原因になってしまったんだろう。ショーンが説明しているだけにそれが殺人の原因だったと思われてしまう。弟自身の説明と言うのはされていない。「どちらが」本当だったんだろう。
派手なアクションのイメージがあるクリント・イーストウッドが監督としてこのように抑えた演出で暴力というものを描いている事が興味深かった。
デイブがジミーの子分的兄弟の車に乗った時の既視感は怖かった。ミスティック・リバーというタイトルもまた色々なイメージを起こさせるが運命や嘘や暴力というものが川の流れのように続いていくようにも思われた。

監督:クリント・イーストウッド 脚本:ブライアン・ヘルゲランド 出演:ショーン・ペン 、ティム・ロビンス 、ケヴィン・ベーコン 、ローレンス・フィッシュバーン 、マーシャ・ゲイ・ハーデン 、ローラ・リニー
2003年アメリカ

脚本はブライアン・ヘルゲランドであった。ヒース・レジャーの「ロック・ユー!」と「悪霊喰」の監督・脚本、そしてマット・デイモンの「ボーン・スプレマシー」の脚本を書いている。そうか。


posted by フェイユイ at 23:18| Comment(2) | TrackBack(0) | ティム・ロビンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今のブログを書き始める前にこの映画を観たので、レビューが残ってなくて、ストーリーもあまり覚えてないんですが、私が観た時のイメージも暗くて救いがないなぁ(苦笑)、でした。
同じく「ミリオンダラー・ベイビー」も終わり方が暗かった。暗くて重い映画は好きなんですが、私はクリント・イーストウッド監督の映画とあまり相性が良くないみたいで…
「父親たちの星条旗」はまた違った映画でしたが。
撮るスピードが早い、という話は凄く印象に残ってます。それでも評価される映画をちゃんと撮れるって凄いなぁと。
Posted by hi-chan at 2006年11月06日 14:23
とにかく救いがない、というのが嫌われてる理由みたいですね。
私は面白く観てしまったので自分の道徳観を危ぶんでしまいました(笑)
この映画でクリント監督に興味が出たのは確かです。
観たい映画が多すぎて困ってるんですが、何とか「ミリオンダラー」も早く観たいものです。
Posted by フェイユイ at 2006年11月06日 15:40
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