映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2006年11月07日

「砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラード」サム・ペキンパー

ケーブル・ホーグ.jpgケーブル・ホーグa.jpgケーブル・ホーグb.jpg

アメリカの神話とも言えるような味わいのあるそれでいて痛快な物語であった。正直、こんなに面白い映画だとは想像もしていなかった。アメリカ映画の傑作と言ってよいと思う。
二人組の男達に水を奪われ砂漠に取り残されたケーブル・ホーグは4日間も水なしで彷徨い歩き神に悪態をつく。もうこれまでと倒れこんだ時、ホーグは水の存在を感じて掘り当てる。命を取り留めたホーグは砂漠の真ん中に水飲み場を作ろうと決心。そして自分を置き去りにした二人組みの男達が来る事を信じ復讐を狙うのだった。

小汚い初老の男と言っていいケーブル・ホーグの底なしの生存能力に見惚れる。字も読めないし、金も2ドルほどしか持っていないのに買えるだけの僅かの土地を手に入れて手作りで水飲み場を作り上げ邪魔をする奴には弾をお見舞いする。けちでデリカシーがなく(愛するヒンディーに「ただでやらせてくれるから」などと言ったのは失敗だったね。でもちゃんと気にしてたからそう悪くはないのか?)執念深い。
だが、僅かな金で買った土地で本人の人柄や根性でかなりの休憩所を作り上げてしまい儲けていく様からアメリカの開拓魂というものを見せ付けられたようだった。
恋人のヒンディーは町で売春婦をやっているのだが汚いホーグを洗い上げ金さえ出せばちゃんと相手をしてくれる。
ホーグがヒンディーに「お前はレディーだよ」というとこで思わず涙腺が弛んでしまった。
憎たらしいのは偽物牧師。でもおかしくてしょうがなく最後にホーグのために祈りを捧げるシーンはまたこれも涙モノだったのだ。

ショッキングなバイオレンス映画作家というイメージのサム・ペキンパーが作ったとは思えないほどおかしくてホロリとして暖かいきもちになるといういい映画なのである。
といってもやはりペキンパーらしい男臭さとアクションシーンの面白さはここでも充分に発揮されているのだった。

似非牧師が言うように突然砂漠に現れ水のない場所に水を湧き出させたホーグはやはり神話の中の奇跡なのだろう。
そのホーグが突如登場した自動車に轢かれあっさり死んでしまう最後は古きよきアメリカそのものを表しているのだろうな。

ケーブル・ホーグが砂漠の真ん中に水飲み場を作ったという事で「これを掲げなければいけない」といわれて渡されたのがアメリカ国旗だった。アメリカ国旗が掲揚されてこんなにじんわり胸にきてしまうとは。いい場面だ。

監督:サム・ペキンパー 出演:
ジェイソン・ロバーズ 、ステラ・スティーヴンス 、デヴィッド・ワーナー 、ストローザー・マーティン 、スリム・ピケンズ 、L・Q・ジョーンズ
1970年アメリカ


posted by フェイユイ at 18:41| Comment(1) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
僕はこの映画が大好きです。BS2で久しぶりに見ました。
笑わせながら話を進めて行くのですが、最後が悲しく切ないです。
ケーブルを裏切った男二人のうち一人を許してやった事が裏目に出たのかな?
自動車やバイクが普及するとあの水飲み場も必要がなくなってしまう。時代の変化。水飲み場を去る決心をするケーブル。ほろ苦いです。ジェイソン・ロバーズ。好演です。

ステラ・スティーヴンスが演じる娼婦は強かだけど、可愛いです。時々見せる寂しそうな表情がいいです。
デヴィッド・ワーナーが演じるインチキ牧師。なぜか言う事に説得力がある人です

太っ腹って感じの銀行頭取も良い味出してますね。
Posted by 間諜X72 at 2010年09月08日 06:57
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