映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2006年12月07日

「変態村」ファブリス・ドゥ・ヴェルツ

変態村.jpg

これから私はもうフランス映画の旅であるな(ベルギー監督作品だが)
とにかくフランス映画(最近観た人がたまたまそうなのかもしれないが)観やすくてシンプルでよい。最近のハリウッド映画に比べるととても飲み込みやすいのだ(昔のアメリカ映画ならよいが)

監督であるファブリス・ドゥ・ヴェルツはギャスパー・ノエと比較される事が多いようだ。
丁度よく最近観たとこだったのでこれも運がよかったが、確かにエロスと暴力がテーマになってるということなんだろうけど、この映画と「アレックス」「カノン」に関して言えば、そんなに似ていないように感じた。そりゃ、同じモノを作るわけにはいかないけどね。
ノエを観て大好きになったのだが、凝った作りで装飾が多いのに比べ本作は自然なあっさりした作りでより観やすい。登場人物も随分普通な感じに見える。だがしかしそんな彼らが次第に普通でない事がわかりだすとどんどん怖ろしくなっていく。恐怖、と言う点ではノエより怖かった。自分が男性だったらもっと怖かっただろう。

ライブ活動で暮らしている歌手のマルク(ローラン・リュカ)は移動途中にある村で車が故障してしまう。土砂降りの中、犬を探している男ボリスに連れられていった先の宿にはバルテルという男が一人で住んでいた。
宿とは言っても今は営業をしていないらしい。主人のバルテルは何かとマルクに親切に応対する。が、バルテルは亡くなった妻グロリアの面影をマルクに見ていたのだった。

バルテル(ジャッキー・ベロワイエ)が優しげな風貌なので騙された。ギャスパー監督作品にも出演していたフィリップ・ナオンはここではまともな男だ、と思ったら騙された。
この村には普通の人はいないのだった。とは言ってもマルクが最初歌ってた普通のはずの老人ホームでもマルクはおばあちゃんやホームの女性から「普通でない」愛情を受けていたと思うが。(別におばあちゃんが若い男に恋するのはいかんというわけではない!映画の作りとしてだね)てことは主人公マルクは最初から最後まで異常な愛を注がれてるわけで、まあモテル男は辛いよ、ということなのだろうか(違う)

94分と言う長さだし(このくらいの長さ、大好き)マルクがどうなるか息を呑んで見守った(見守るだけだが)
歌手のマルクを気に入って車を壊しちゃうのは予感したが、まさか女装させて元妻グロリアに仕立てちゃうとはなあ。しかも村人(フィリップ・ナオン他数名)までマルクをグロリアと思ってるし。
しかし村の酒場で男がいきなりピアノで怖ろしい不協和音を弾きだし、男達が(とにかく冒頭意外はおっさんしか出てこない)組んでダンスを踊り始めたのには参った。
このシーンはシュールで最高である。

何となく韓国映画「地球を守れ」のようなノリもあったが(これにしたって恐ろしさは韓国映画のほうが物凄いが)そこはヨーロッパの薫り高い森の恐怖に酔いしれる。
怖いんだかおかしいんだか入り混じった面白さはノエ監督でも感じた感触である。恐怖と滑稽が交じり合うというのは絶対欲しい要素なのだ。

スパンと終わるこの最後も大好きだ。しかし何とか感想を言わねばならないんだろうか。えー、つまりマルクはこの変態たちめ、とばかりに逃げて来たのだが、最後で人が死にそうになってるのにじーっと、見てるわけでそれも人間としておかしいんではないの、ということであろうか。

監督:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ 出演:ローラン・リュカ、ジャッキー・ベロワイエ、フィリップ・ナオン
2004年フランス・ベルギー・ルクセンブルグ

DVDで見たので特典に「ワンダフル・ラヴ」という短編映画があった。女性を主人公にしたやはりホラー映画である。
これもエロスと暴力だが主人公が女性なのでノエとは異なった感じ。但し地下道が出てきておやっと思うけど(あの地下道は怖いよね)
「変態村」映画館で好きになった方はDVDでご覧ください。


posted by フェイユイ at 22:55| Comment(4) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちわ!
DVDを借りようかどうかすごく迷っていた作品です。まず名前に目が留まり、おまけにR指定入ってるし、そんなに怖いか、クレイジーなのか…悩み見ずにいました。
フェイユイさんのレビューを読み、必ず見ようと決心いたしました。でも本当に様々な分野の映画を見られているのですごいですね…私は偏りすぎで駄目です…(>_<)
「王の男」のCMみて思わずにやけてしまって…駄目ですね(^u^)
Posted by まもう at 2006年12月09日 18:42
様々な分野なんて、とんでもない。ひたすらエロスとバイオレンスにこだわってるな、と最近気づきました(笑)
私は予備知識なしで観てしまったんですがこの映画は「愛の物語」という宣伝文句だったのですね。愛だったー。

私こそまもうさんの記事を読ませてもらって「これ観てみたい」と思っているとこです。
近々観て記事が書けたら、と思っております。

「王の男」!これは観て欲しいです!!!
でもCMには少し不満。実際はもっといいと思うのですよー。あんまり言ってはいけませんね(^^ゞ
Posted by フェイユイ at 2006年12月09日 19:07
エロスとバイオレンス…ふふ、私も好きです(笑)私はちょっとSなところがあるみたいなので務所ものとかも好きですね(笑)
私のとこの内容で興味を持っていただけるものがありましたか?嬉しいですね!!
何しろ巧く書けなくて参ってます。
記事楽しみにしてます!

「王の男」必ず見ます。
韓国映画って余り観る機会がなく、同性愛映画だと韓流ブームがやってくる前に「ロード・ムービー」「バンジージャンプする」を以前みました。
でもソン・ガンホが出ていた「殺人の追憶」が唯一好きかな…ぐらいで本当に余り観てないのです。香港映画の方が大好きなので…とにかくマフィアものが多いから好きですね…やっぱバイオレンス好きです(笑)ゲイ映画以外も一応見てるんですが最近自分のところで今更書けなくなってます(笑)
Posted by まもう at 2006年12月10日 06:32
巧く書くのは難しいです。それが自分の好きなものならなおさら!「もっといい言葉はないのかな」そればかりですね!

「バンジー」はわかるとしても「ロード・ムービー」を観てるのがさすがですよねー。「殺人の追憶」はいいですね。
韓国映画は一応表向きはゲイムービーはないことになってる(ほんとか?)みたいなのですがよくよく観るとそんな雰囲気のものはあります。
近々(こればっかですが)私が韓国映画にはまるきっかけになった「ユリョン」を観てレビュー書きたいと思っているんですが、これなんかそれっぽいと思っています(私見ですが)後、「アウトライブ」(時代劇です)にも一部そんな感じが漂ったり。その彼が「王の男」の王様なのです。もし王様がお気に召したら観てもいいかも?ほんの少しですけどね(笑)

ゲイ映画じゃなくても書いていいです!というのは自分の言い訳なんですが「アジア映画」にこだわって書いていたのにすっかりそうでなくなってしまったので(笑)
やっぱり変わっていきますしね。それに普通の映画の中になにかそういう部分を見つけるのも楽しみだったりしますよね?
Posted by フェイユイ at 2006年12月10日 23:59
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。