映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2006年12月09日

「エクソシスト」ウィリアム・フリードキン

エクソシスト.jpg

ホラー映画の名作古典だ。ホラー映画ブームの走りでかつて知らない者はいないほどの話題だったと記憶する。タイトルも印象的だった。映画を観ていなくても何らかの形で強烈な場面を見た人は多いだろう。

何故今これ、というのは最近「フレンチ・コネクション」を観たからでもう一作フリードキンを観るとするならやはり「エクソシスト」だと久し振りに観る事にした。
ディレクターズカット版ということでオリジナルとは違うものを観るしかできなかった。申し訳ないがどこが違う、とまで私にはわからない。
ここで書くのは今回見た本作での感想である。

まず憑依現象の表現に驚く。まったく現実に起きたことのように思えるリアルさがある。このような「らしさ」というのはこの後のホラー映画でも演出されたことは少ないのではないか。
それはこの映画がキリスト教とカソリック神父を描いているからなのだろう。悪魔に憑依された少女リーガンを救おうとする若いカラス神父の葛藤。カラス神父は身辺のことから神を信じられなくなり信仰心が揺らいでいた。そんな時に悪魔祓いを頼まれた彼は愛する母親を見殺しにしてしまったという自責の念にもかられている。深く悩むカラス神父の前に現れたのは経験豊かなメリン神父であった。彼の強い意志はカラス神父を励ました。
彼女を救う事によってカラス神父自らの魂も救われるというラストは素晴らしい。監督によればこの最後は人それぞれに解釈して欲しいと。善が勝ったのか悪が勝利したのか。それを願う人の心次第だということらしい。
少女リーガンに憑依した悪魔、というのはこの映画の中でも示されるように父母の不仲による不安、母親に近づく男への嫌悪などから発生したものだと言うことは理解しやすい。だがそれだけでは彼女の首がぐるりと回る事や緑の液体を吐き出し空中浮遊する説明にはならないだろう。
超常現象を認められるかどうかなのだがそういう力があると観てもいいし、駄目なら観るものも一種の幻想にとりつかれたのだという説明もできる。私は不思議な力はあると思っている。

この映画を再観して気づいたのは「ホラー映画」というカテゴリにいれていいのかと思うほど物語が静かに淡々と説明されることだ。話題になった奇妙な現象ですら大写しになる事はない。こうした演出がこの映画を重厚な雰囲気に作り上げているのだ。
だがここで正直に感想を言うとこの淡々とした展開が物語をわかりにくくもしているようだ。
登場人物もエピソードも特にクローズアップした説明がないまま次々と提示されるので観るものの注意力が必要となる。私にはその辺の理解が難しかったのは事実だ。特にオリジナルに継ぎ足された部分が話を複雑にしてしまっているようだ。想像にしか過ぎないが元のままの方がわかりやすかったのかもしれない。

そして音楽が印象的だ。ホラー映画には音楽が重要な要素となるということもこの映画で証明されている。

ホラー映画というジャンルをそれほど観てはいないので思ったことだが、私が最近観た「ダーク・ウォーター」「サイレントヒル」そしてこれと3つとも母娘が主人公となっている。「サイレントヒル」の時は茶化して書いたが「エクソシスト」ではもう一つカラス神父と母親というテーマも描かれていることからどうしても恐怖には母親が絡むのか、と思う。
が、新しい「ダークウォーター」と「サイレントヒル」では母親自身が娘を助ける為に立ち上がるが「エクソシスト」では娘を治せと苛立っているだけだ。「サイレントヒル」では宗教が悪になっているし、そういった関係も考えていくと面白そうである。

監督:ウィリアム・フリードキン 出演:エレン・バースティン, リンダ・ブレア, ジェーソン・ミラー, マックス・フォン・シドー
1973年アメリカ(2000年ディレクターズカット版)


ラベル:ホラー 家族
posted by フェイユイ at 23:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
またお邪魔します。
この映画本当に好きです。ホラー、サスペンスって好きなんですが、特にこの映画は幼い時は怖いっていう気持ちしか持てなかったのですが、十年前に再度TVで夜中に放映されていて、こんなに奥が深い作品だったんだ…ってなんでしょう…感動したんです。カラス神父に目が離せず、録画して何度も見ました。人間の弱さとか苦悩とか…それを巧みに操ろうっていう悪魔の姿をみて、ただのホラーじゃないよな…と思い直したのを覚えています。
「悪魔の棲む家」とか実際に起こった話の映画とかを見ても思うのだけど超常現象ってやっぱりあるんでしょうね…
神と悪魔って対等な位置付けにあるとおもうので悪い奇跡を起こすのだと思ってしまいます。でもリーガンの首が360度回った時は骨や筋はどうなるんだ?と思ったのも事実です…(笑)

母親の存在…本当にそうですね。やっぱり母親っていうのは結構人間の基本なんでしょうか…特に子供たちにとって…そう思うと穴に入ってしまいたくなります(自分の行動を省みると…)

「サイレントヒル」が気になっていたのでこれもまた見てみます!
Posted by まもう at 2006年12月10日 06:55
母親である、ということは自分がそうなると怖いことですね。
自信なんて持てるわけないし。でも精一杯愛してやるしかないのかな、と思います。

「サイレントヒル」と「エクソシスト」続けて観るのも面白いかも(笑)
Posted by フェイユイ at 2006年12月11日 00:08
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