映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年01月15日

「スクラップ・へブン」李相日

とにかく日本映画を観ていない。「妖しの小部屋」でも書いたんだけどどうにも受け付けない気がして従って好きな役者さんなんかもいないんだよね。
しかしこの言葉はある程度観ているから言えるのであって観もしないのに文句言うわけにもいかんだろう、ということで今年は積極的に日本映画を観ていく事にした。今までも昔の映画は非常に好きなわけで現在に近いものを観ていく。とは言え、日本映画というと物凄くタルイ展開と意味不明の言動で観客を煙に巻きその二つで深遠さを出そうとしている、あるいは新しさを演出する、と思い込んでいる、という気がしてやはりそうだとすっかり嫌気がさしてしまうのだ。あの中途半端なカメラワークも閉口だし。いやいや、最初からこんな事ばかり言っていてもしょうがない。大体、最近は随分日本映画が盛り上がっているではないか。このブログで最初に書いた日本映画「メゾン・ド・ヒミコ」は巧くできてはいるけど好み的にはアウトだったんだが。いつかきっと大好きな人にめぐり合えるかもしれない。希望を持って進んでいこう。

スクラップ・ヘブン.bmp

んで、この李 相日(リ・サンイル)監督の「スクラップ・へブン」である。またオダギリである。ちょっと観てみたいと思う映画には必ず出てる気がする。同じ李相日監督に「69」があるが私は 妻夫木聡が駄目なのでどうしても観る気がしなかった。安藤政信はいいんだけど。

んで「スクラップ・へブン」である。前半、予想通りたるい展開と(私のこの文章も相当たるいが)奇天烈な言動で煙に巻かれる。
ケーキを子供が踏みつけた時やめようかと思ったがその後バス内でシンゴ(加瀬亮)がそのケーキを食べてるのを観て気を取り直す。食べ物を粗末にしてはいけません。
オダギリは相変わらず(っていうのはテレビとか出てる時とかもさ)髪形と服装がケッタイであるが人並みはずれて体が美しいので似合っているからあきれてしまう。且つ言動が常軌を逸しているのだがこれもしっくりいってるから不思議。体を激しくぐにゃぐにゃ動かして叫ぶのがチャーミング。

但しこれと言ってぱっとしない平凡な若者が世間に失望し不満をぶちまける、とかいうのを説明してみせるとか言うのが嫌いだし、それに対しての復讐のやり方がさほど面白くない。
医療ミスとか母親の児童虐待とかいかにもの社会風刺なのはまあいいとしても、ここでこそ突拍子もないやり方で笑わせて欲しかったが。
特に児童虐待の母親に対して子供の体を切断して見せても効果はないのでは?「私がやりたい!」とはいうかもしれないが。李相日監督って物凄く母親の愛を信じておられるのでは?最後、わが子が無事でいるのを見て泣いて抱きしめはしないだろうよ。他人がいたら演技するだろうけど。まあ、またいじめてやろうと喜ぶか?でも大体子供が邪魔だったからせいせいした、と言いそうだけどね。私は「生きて帰るな」と思い切り殴るのかと思ったのだった。それにあんなで反省しないよ。すぐ元通りだよ。

とここまではかなりへこんだのだが、交番を襲う場面から面白くなってきた。(つまり前半部分ってやりたくなかったんじゃ?)
警察官であるシンゴはすっかりテツ(オダギリジョー)の「想像力が足りねえんだよ」という言葉に乗せられ悪党の道を走っていく。
だが先輩刑事(柄本明)に二人がやったことがどんなに他人に対し悲惨な結果を生んだかを聞かされぼこぼこにやられてしまう。
結局は何も守れない自分を思い知るシンゴなのだ。

警察官のシンゴに対しテツが公衆便所の掃除人という設定。あらゆる人が排泄する公衆便所が彼らの事務所であるのは興味深い。

そしてバスジャックで同乗していたもう一人の女性・サキ(栗山千明)の言葉「一瞬にして世界を消してしまう方法」を依頼される。
その問いを最後テツはシンゴに解ったというんだけど映画では言ってなかった。でもこれは簡単。自分が死ねばいいってことだよね。

ラストも決着をつけないまま終わるのだがこれは別にいやじゃない。ただあのトラックいつか爆発するよね(誰か見つけて投げ捨てたりとかさ)とことん人を傷つけて生きる男シンゴなのだ。

この映画アメリカ映画の「ファイトクラブ」だよね。あれなんか想像力ばかりだ。
オダギリはそのまんまブラピだし。クレイジーでかっこいい感じは殆どそっくり。加瀬亮はエドワード・ノートン。
でも解りやすさや面白さは「ファイトクラブ」かなあ。
これはこれでまたそれなりにいいけど。

エンディングのフジファブリックの歌がよかった。

加瀬亮、情けない感じがいいですね。横顔がきれい。

結構文句言ってるがかなりいいと思った次第。

監督:李相日 出演:加瀬亮、オダギリジョー、栗山千明、柄本明


ラベル:犯罪
posted by フェイユイ at 22:40| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フェイユイさん、ご無沙汰しております。今年もよろしくお願いいたします。
さて『スクラップ・ヘヴン』で、加瀬くんを気に入って頂けたのは何よりです〜。
私、この映画は彼と栗山ちゃんのために観ましたけど、アカンかったです^^;; 児童虐待の部分、本当にフェイユイさんと同意見で、実はソコから先の展開でドンドン評価が下降して、終わる頃には不機嫌になってたくらいでした(苦笑)。たぶん、個人的に監督に対する評価は良かったから余計に、だったのかもしれません…って、人様のブログでグチって申し訳ないです。
李監督、私はキチンとメジャー映画してる『69』が割と好きです(笑)。でも妻夫木君がダメだとキツイかなあ。あとは小品ですが『Borderline』という作品がお薦めです。

私のほうは日本映画はそこそこ観てるのですが、最近中華モノを観てません;; 今年は先ずはフェイユイさんの愛するジェイくんも出演の、キンキラなチャン・イーモウ監督最新作(笑)を一番の楽しみにしたいと思ってます。
Posted by shito at 2007年01月17日 00:55
こちらこそどうぞよろしくお願いします!!

実を言うと(多分解っておられるでしょうが)加瀬くんはshitoさんのブログで紹介されてるのを見てこれを選んでみました。
映画はいまいちでしたが、彼はとてもいいと思いましたねー。
でも久し振りに日本映画を観たせいか新鮮で不機嫌にまではならず(笑)結構楽しみました。
「69」観たいんだけど妻夫木くんがなあ。でも観たら急にファンになったりして(笑)

私も中華観たいけど観てませんねー(武侠ドラマのみです)
日本映画は観ようと思えば観れるからよいけど、中国映画って全然ないし、あってもなんだか悲劇のヒロインものばかりで(って気がする。「夜宴」みたいなのは好きですが)
キンキラ・チャン・イーモウのゴールド・ジェイ!早く観たいです!!
Posted by フェイユイ at 2007年01月17日 20:44
ご無沙汰しています。・・マット映画の感想を書きたいと思いつつも、もいちど『ライアン二等兵』観たいな・・と横道にそれたらツタヤでこの二週間、誰かに借りられてて・・(T_T)★
それでまだ『シリアナ』も観てないのにまたこの作品にでしゃばり〜(笑)
一昨年、その頃JOEのナマ見物に奔走していて☆行きました;初日舞台挨拶!熱気のなか鑑賞、その時は“よかったーァ”なんて感動したのですがその後もう一度観たいとまでは思わなかった。そのことが評価を語ってます。ただ、JOEはのびのび演じててワタシ的には好ましかったですけどね・カッコイイから。
ああいう上映現場に行くと、作品内容も大切ですが“映画を作る&観る”ということに対する若い人達の熱気が感じられるコトが私はとても嬉しい。その意味でいい雰囲気&勢いを感じました。たとえ内容に未熟な部分が多くても・・^^期待感がココチイイ。。◎
李監督とJOE&加瀬くん、何やらイイ感じで(気が合うみたい)“でへへ〜”ってゆるゆるで舞台挨拶してて可愛いかった(笑)
1/20は周防監督の『それボク』の初日に行きます。フェイユイさんはあまりお好みではないかな?・・。
Posted by フラン at 2007年01月18日 00:25
こんにちはー、フランさん。
悔しいですね!早くライアン二等兵見れたらいいですね。

「スクラップ・ヘブン」の舞台挨拶見られたんですね!いいなあ。
作品の完成度は「?」なんですがキャラクターはとても好きなんですよ。きっとそういう仲のよさもあったんでしょうね。

周防監督作品って少ないんですよね。有名な「シャルウィダンス?」テレビで観てとにかく脇役が好きでした(笑)竹中さんと渡辺えり子さん。
のめりこむように好きになるわけではありませんが、とても巧くできた作品だと思いました。
今回のは裁判ものということで興味があります。どういう風に作られているのか。
主人公が加瀬くんなので観てみたいです。
Posted by フェイユイ at 2007年01月18日 10:42
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