
昨日に引き続きウィィィィンと動き出す男性性器が出てくる映画なのであるが、断じてそれが目的でレンタルしたわけではないのだよ。
ネットレンタルでDVDを注文していて2枚ずつ送られてくるのであるが、そういうつもりではないのになぜか似ている箇所があったりする不思議が多い。今回、アメリカ映画「2999年異性への旅」と日本映画「鉄男」でまさか似た部分があるとは思いもしなかった。
一つはこの唸る男性性器ともう一つが「征服」向こうは全宇宙征服でこちらは(多分)地球征服だが。
1989年公開から話題になっていたのは覚えているが、何となく観ずじまいでやっと(遅すぎ)観たのだが、前回観た「六月の蛇」同様凄く面白かった。
「蛇」が2002年作品だから13年の歳月が流れている。「鉄男」はまさに若い監督が低予算だが情熱を注ぎ込んで作り上げたというエネルギーに溢れていて観ていて楽しくてたまらない。こういう映画作りなら是非参加してみたいものである。体の鉄部分がどんどん増殖していくのを作っていくのは本当に楽しそうである。若い田口トモロヲの鉄男ぶりを見ているのも面白そうだ。
「蛇」の方はぐっと成長しそしてエロさも大人っぽくなってるわけだが、人間が変化する、という意味では同じものを扱っているのだと感じる。「鉄男」が男版で「蛇」は女版ということ「鉄男」が肉体なのに「蛇」は精神ということだろうか。そしてその変化する男女それぞれに働きかけるのは(連絡経路が電話であるし)どちらも塚本監督本人の役だったりする。しかもこちらの塚本氏はヴィジュアル系の美少年でなんとなくホモセクシュアルな匂いも無きにしも非ず。且つ最後に「やつ」(塚本晋也」は「男」(田口トモロヲ)と合体し「気持ちいいなあ」と言いながら世界を鉄に変えてしまおうという野望を持つというやはりホモセクシュアルなイメージが漂ったりもする。
か、諸星大二郎的ユートピア=肉体合体の感じもある。色んなのくっついてたし。
「鉄男」と全然話は違うのだが、小松左京の「日本アパッチ族」という小説では屑鉄を食って「純度の高い鉄」を排泄し、国家と戦う羽目になるという大阪を舞台にした物凄い発想のSFをちょっと思い出す。
冒頭から足に鉄棒をねじ込んだり、例の唸ってドリル状になる鉄の男性性器で恋人を殺してしまうとか恐ろしい場面も忘れられないだろうし、ある日ほっぺにぷつんとでたニキビのような鉄片に触ると血がビュッと出て、とかいうのも何かと思い出してしまいそうなイメージである。
若くて突っ走っていく映像であるが暗くて重い雰囲気と恋人の女性がなにか不思議で狂気のある感じがやはり江戸川乱歩な幻想性も漂っている。「大概のことには驚かないわ」と言いながら男が隠れている部屋の戸を開けようとするのが怖い。
これを観てたら絶対気になる監督になってしまうはずだった。
作品中に流れるサックスの調べも不思議な感じなのだが、車にぶつかった時と男とやつが合体する時に流れるのが気になる。あのイメージカットはなんなんだろう。
そして突如現れる謎の浮浪者(石橋蓮司 )は何を表す?
監督:塚本晋也 出演:田口トモロヲ、藤原京 、叶岡伸、塚本晋也、石橋蓮司
1989年日本
やつが浮浪者に襲われたのだと思いますが、それがきっかけで鉄に魅せられるようになった?という説明ではないでしょうか。
イメージカットというのはNEW WORLDのことでしょうか。
ヴィデオドロームでビデオと融合したマックスが新世界を感じますが、それと同じような肉体の進化を意味していると解釈しています。
あと、テレビにケラケラ笑う男が映るシーンがありますが、あれは同監督の「電柱小僧の冒険」からの流用ですので深い意味はないと思います。