映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年03月27日

「やさしくキスをして」ケン・ローチ

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カソリックでアイルランド人のロシーンとイスラム教パキスタン人(と言っても生まれ育ったのはスコットランド)のカシム、二人が愛し合うのがどんなに困難なことか最初からわかってはいることなのだが、それによって家族や周囲との関係がどんどん壊れていく様が丹念に描かれていて胸が痛くなるものであった。

問題は次々と投げかけられ結局はどれ一つとして解決はせず多分この後も増え続けるばかりなのだ。

それでなくても結婚ないし他人である二人が共同生活していくことには互いや家族の考え・価値観の違いで困惑することばかりでそれは減ることはなく増加していくのも確かだ。
はっきりとわかる宗教の違いというものではなく家族間のすれ違いで苦しむことは誰しも経験するのではないか。

カシムは何度もロシーンに対し不信感を持たせるような台詞を投げつけその度に反省しているが今後も何度も同じことを繰り返すに違いない(苦しみの発端となったのはカシムが自分の婚約や宗教による決まりごとを教えなかったからで好きな女を目の前にした男としては当然のことだろうが最悪だった)
ロシーンもまたカソリックであるために何度も苦しむ事だろうし、それだけでなく仕事も不安定な彼らは経済的にも苦労が絶えないはずなのだ。

「日本ではないことだから」「自分は無宗教だから」という考えもあるだろう。でも決して違う世界の事ではない(イスラム教とカソリックではないにしても)はずだ。
事柄が違え自分がいつも迷い恐れ苦悩することが違う形であるだけだと思う。皆思いついていないだけなのではないか。

結局二人が幸せになれるのか、なれないのか。宗教のせいなのか、同じ宗教なら幸せになれるのか。ずっと愛し合えるのか、憎しみあうのか、誰も判りはしないのだ。
ただ二人で歩いていこう、と決めるしかない。
それは自分自身も同じだ。
伴侶とはいつも絶えず争いごとがある。考えの違いに茫然とすることもある。
困ったね。
ぶつかりあいながら道を進むしかないんだよ。

「やさしくキスをして」日本人夫婦ではあまり言わない台詞じゃない?私は言えません!!

ケン・ローチ監督、初めてだがこのような問題を凄く面白く観せてもらった。
主人公の二人が魅力的なのも確か。カシムが言い過ぎて留守電で「君は僕を苦しめるのに成功したよ」というのでロシーンがひひひと笑ってるのが可愛くて好きだった。ほんといい気味。

監督・ケン・ローチ 出演:アッタ・ヤクブ 、エヴァ・バーシッスル 、アーマッド・リアス 、シャムシャド・アクタール 、シャバナ・バクーシ
2004年 英=伊=独=西


posted by フェイユイ at 23:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フェイユイさんの他も感想を多々拾い読んでみましたが様々です。それだけ観客に己へ引き付け考えさせる力を持った映画のようです。
私はとっても気に入りました。^^既見のケン・ローチ監督作(『麦・穂』『SWEET・』『明日への・』)のうち一番好きかもです。
宗教と国家、歴史というものが個人間の恋愛に入り込んできたら・・でも普通の人間ならバックボーン色々あるもの同士が恋愛するのですから障害は出てきて当たり前。この映画の二人の場合はよりハードな“個人間の愛情よりも家族や宗教体を優先”という考えと“何モノにも囚われない個人の自由な意志”とのぶつかり合い、というものがテーマであったと私は思いました。
ケン・ローチ監督に色っぽさはないと勝手に決めていたのですがハゲシク反省(笑)。・・ラブシーンの陶酔感&リアルな情感がスゴクよかった!!深く愛し合う幸福感に満ちていて。表面的でない、いいラブシーンでした。
ケン監督作は『SWEET・』でも感じましたがドキュメント撮っている?かと思うシーンがあります。居間で姉の婚約者を待つ時にごしょごしょ(笑)話ながら皆が居るシーンとか。リアムや男の子達が小さなリビングで楽しそうに集っているシーンを思い出しました。そういえば、湖の畔に建つリアムの家が燃やされそれにリアムが憤るシーンで、本当にあの小さな男の子が泣いていたのでした。いかにリアルであるかが解ります。ケン監督の特徴ですね。
ロシーン役の彼女、、素敵な好きなタイプの女優さんだなあ、、と思ってみててハタ☆と気付きました!あの『プルート・』のキトゥンの実のママではないのっっ!!・・やはり、いいです^^◎カシムも痺れる名演だったなあ。
深い読みが他にもたくさんできる作品。長くなるのでやめておきますが^^;
・・いいなと思った台詞。。
カシム「いうのを忘れていたよ。・・君の名前が好きだ。」
ロシーン「いうのを忘れていたわ。・・貴方の手が好きよ。」。。^^
Posted by フラン at 2007年12月13日 16:58
なるほど〜。やっぱりフランさんは大人ですよ、感覚が。私はどうしても子供っぽいのだなーといつも思います。
この作品が初めてのケン・ローチ体験だったのでもう一度観るとまた何か感じるモノがあるかもしれませんねー。

言わなくてもお解りだと思いますが私はてんで男女の恋愛がわかってないのです^^;「変なもの」は好きなのですがラブが苦手なんですねー、困ったものです。
Posted by フェイユイ at 2007年12月13日 19:45
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