映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年04月09日

「ブロークバック・マウンテン」原作も読み返して

昨日映画を観て「ブロークバック・マウンテン」の原作小説を読み返したりしていた。
あの壮大な印象、大自然の描写と20年間に渡る愛、の原作とは思えない80ページそこそこの短編なのが驚きだ。
脚本家が原作の一字一句を取り出して長編に書き直した、というだけあってごく短い作品なのに映画と同じ、またはそれ以上の広がりを感じさせる不思議さがある。

それにやはり小説で読んだ方が説明がわかりやすい部分もある。例えばなぜいきなりイニスがジャックを襲うことになったか。
そしてイニスがジャックを背後から抱き寄せる場面。映画でも情感溢れる場面だが、小説でも忘れられない感覚を残す。

二人の西部男の荒っぽさもより書き込まれている。酷く貧しくて刹那的に生きるしかない生活であることもまた。

そして映画の魅力は。
音楽のよさ。静かな音色。主人公のふたりに甘い美しさも与えてくれた。この短い文章からあれだけのイマジネーションが生まれたのとは凄い仕事ぶりである。

昨日書いた記事にフランさんからのコメントをいただいた。
いつもながら心を込めて書かれた文章の中で特に心惹かれたのは
『その中で象徴のように感じたのが“狼にやられた羊”・・二人が結ばれた時に羊は犠牲になるわけで、私はこの羊=アルマに思えてしょうがありません。』
という部分である。
この衝撃的な映像は確かに象徴として映されていると感じるべきで私はうっかり見過ごしていたのだが、もし気づいて書いていたとしても「自分たちの愛の形を受け入れられない社会から切り裂かれてしまうイニス・ジャックの姿」として書いてしまったはずである。
だが二人がそうして隠した愛のために切り裂かれた人もいるはずなのだ。特に無骨なイニスの妻・アルマは突如として夫の秘密を知り、自分は何の価値もないと捨て去られてしまうのだ。イニスはその後ますます生活が困窮していくが一人の女性を犠牲にした償いとしては当然のことなのだ(いやきっと足りないだろう)
二人が楽園として過ごしたブロークバック・マウンテンでこのような予感的象徴の場面が映し出されているのは見逃してはいけないことだった。フランさんには感謝するばかりである。



posted by フェイユイ at 23:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
イエイエソンナまことにもって恐縮です・・^^;私はフェイユイさんの分析◎がいつも楽しみですよ!
やっぱり観る人によってそれぞれ感動の仕方も違うのですが、基本的な“よかった〜☆”という感情が一緒だと嬉しいですよね。
そしていい作品というのは重層的に創られているということ。。
羊を含め私はあのブロークバックマウンテンでの描写は象徴的な意味を多々含んでいる気がします。
例えば、野営している場所のイニスが遠くの山で羊を放牧しているジャックの方に視線をやる、そしてそのジャックも夜闇の中遠くに燃えるキャンプの火を眺めやる。。後の彼らの人生みたいだなと。
もしこのままで居たならば何も悲劇は起きず羊も死ななくて済んだのかな、とか。。
そしてことが起きてしまった後は、この羊の放牧仕事は、愛する人と離れて生きていく為にやらなければならない仕事=俗世間での家族との生活、ということなのかな、とか。。
音楽も印象的だし映像も丹念に撮ってあり素晴らしいし、原作からはテーマとエッセンスを掴みそれをあのような世界に仕上げた脚本もまた☆すごいと思う。
今回久し振りでブロークバックのHP覗いて思い出したのが、忘れていた(笑)女優さん達。
ジャックの妻のアン・ハサウェイはいいとして(何故?^^;)、イニスにちょっかい出す(笑)美女が居たけど、彼女もまた可愛そうでした。
一緒に居ても自分じゃ満たされてないオトコと居たら(しかも理由が解らない)苦しかっただろうな、イニスったら母性本能くすぐっちゃうタイプなんだよねェ・・とか(笑)。。
その辺り二人のあいだの苦悩ばかりでなく、色々な観点から、さまざま観る人が考えるられる作品だということが何度も観たくなってしまう名作◎たる所以ですよね。
Posted by フラン at 2007年04月10日 14:50
悲しい雰囲気が強いこの映画の女性陣の中で(ジャックのお母さんも耐えてる女性、と言う感じでした)ジャックの奥さんだけがちょっと強くて救われるかも(笑)女性の目として観ればほんと腹立ちますね(じゃ女性の目で見てないのか?)イニスの奥さんもっと最初からがんがん文句言っててよかったんですよ。

今はゲイへの偏見も少しずつ変わってきていると思うし、変わってきて欲しい。
やっぱり好きな男がいるのに隠れ蓑として女性と結婚しちゃいかんです。
ほんとにいけない映画なんですよね、これは。その上で感動もあるんですが。

とにかくフランさんとこの映画について語り合えてよかったです!!考えさせられましたー。
Posted by フェイユイ at 2007年04月10日 23:49
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