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2007年04月16日

「魔性の夏 四谷怪談より」蜷川幸雄

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四谷怪談。日本人なら誰でもそのタイトルくらいは聞いたことがあるし、内容をよく知らなくてもお岩さんがどんな風に現れるか何かの形で見たことはあるだろう。
私もその程度には知っていたけど何しろ怖くてそれ以上に映画などを観るのはこの年まで出来なかった。是非にと思ったわけでもないが蜷川映画を観たくてあえて挑戦してみた。

「青い炎」の時に感じたようなふらふらしたまとまりのない脚本であった。主人公はこの作品ではお岩さんではなく夫の伊右衛門なのだがいまいち焦点が定まってないために短い作品なのに散漫に感じるのだ。
音楽もなぜか軽快で怖い雰囲気を無理にかきたてるものではないのがいい。
が、舞台的要素が効果的に使われている場面もいくつかあって並列的に同時に物事が行われる。こちらで人が殺され、隣でも人が顔の皮をはがれ脇に人が立っている、などといった映像は面白い。

侍・伊右衛門は剣の腕は立つのだが、貧乏で傘張りや凧作りで生計をたてるしかない。彼の妻・岩は美しく聡明でそんな伊右衛門に甲斐甲斐しく仕えていた。
だが裕福な隣家の娘うめが伊右衛門に一目惚れしてしまう。娘に甘い父親は伊右衛門の妻・岩に顔が醜くなる毒薬を服用させ伊右衛門が離縁するよう企んだ。
岩に毒を飲ませうめと結婚するよう進められた伊右衛門は自ら岩が毒を飲むよう促していく。


わがまま娘うめと貞淑な岩が極端で面白い。うめを演じるのは森下愛子何も言わなくても顔にそのままわがままが出ている。
岩は高橋恵子。色っぽさもあって美しい。
恨みがあって幽霊となるのか、幽霊などいないのに恐怖で見てしまうのか。
この場合は後者で伊右衛門が何もないのに気が狂っていくというのが面白いと思うのだが、その辺もどっちつかずでそうしたかったのかもしれないけど、私はいない幽霊を見てしまうという恐怖を描く方が面白い、と思う。大概最後にでもいるんだよね、っていうオチがつくけど。それは好き。

岩の妹そでに夏目雅子。綺麗だ。
この話が赤穂浪士の話であるというのも把握してなかった。仇討ちだけに身を捧げて妻を顧みない夫(勝野洋)を持つそでは直助(石橋蓮司)から夫は死んだと言われ信じて結婚してしまう。
姉・岩も男のエゴに殺されたのだが妹そでも愛されながらも自分勝手な男達に追い詰められて死を望む。気の毒な姉妹なのだ。
石橋蓮司はそでに恋焦がれている男の役でしょうもないのだが一途なので可愛い気もする。
そでの夫与茂七は仇討ちだけを目的にしていて顔も体も立派(勝野洋がってことだが)なのに最後まで伊右衛門に勝てないのはどういうこと。弱すぎる。

しかしこの話も殺さずともいいのに殺してしまう話のようで蜷川氏はそういう物語が好きだということなのだろうか。

監督:蜷川幸雄 出演:萩原健一 関根恵子(高橋恵子) 夏目雅子 森下愛子 小倉一郎 石橋蓮司 勝野洋
1981年日本

しかし毎年夏に日本人を怖がらせている鶴屋南北という人は凄いものである。



ラベル:ホラー
posted by フェイユイ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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