映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年06月18日

「46億年の恋」三池崇史

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安藤政信の視線がぐさりと突き刺さってしまいどうしようもない。
松田龍平は外見的に苦手だって言ってるのに「御法度」「青い春」これと観てみんな面白かったし時々いい顔にも見えてきた。特にこれはよく見えたが、ということは時がたつにつれ段々よく見えてきてるわけでこの分だともう少しで好きになるのかもしれない。安藤政信は「キッズ・リターン」からいい顔だなあと思っていたがますます綺麗になってきたようで特に本作では刺青に包まれた体も有吉を見つめる眼差しも熱い魂に揺さぶられるように美しく感じた。

この奇妙な刑務所はなんなんだろう。放射線状に寝台が配置されている丸い雑居房。囚人服はなぜだかびりびりに破れた黄色い巻頭衣である。時折線で書かれただけの独居房など出てくることからしてもすぐ隣に宇宙ロケット打ち上げ基地があり反対側にはピラミッドがあることもこれらの設定が登場人物である青年たちの思いを表現する為の仕掛けであることがわかる。

有吉と香月は誰からもできていると思われているのに二人はなかなか近づくようで近づけない。
香月が誰か男とやっていた、という噂があって有吉に似ていた、というけどそれが結局誰だったのか。

偶然二人は同じ時、同じ刑務所に入所する。何もしないぼんやりした有吉と違い、香月は剃刀のような男でちょっとしたきっかけで相手を傷つけてしまう。怖ろしいほど強く忽ち刑務所で誰も歯向かえない存在になってしまう。
その香月はなぜか有吉が他の囚人から虐待されていたりするとかばって相手を殴りつけたりするのだ。
香月の強さも現実のものではないように思える。
有吉は口には出さないが香月の強さに憧れる。だが香月はこんな風になってはいけない、と有吉をはねつける。
香月の有吉を見る目には深い悲しみが宿っているようで観ているだけで切なくなる。こんな視線を持っていた人だったんだと胸が苦しくなった。

宇宙ロケットは未来を表し、ピラミッドは過去を示している。香月は未来に行くと言ったのに、死を選んでしまった。
有吉は香月を殺した犯人に嫉妬している。なぜ死にたいなら自分に手をかけさせてくれなかったのか。
有吉を守ろうと思っている香月が有吉の不利になるような事をさせるわけはない。だが他の男の手で死んでいった香月を有吉は激しく恨んだはずだ。だからこそ自分が殺したかのように手をかけ自供した。そうでありたかったと思うが為に。

香月は自分は宇宙ロケットの方へ行くから有吉はピラミッド(天国)へ行けと言う。
だが有吉が3重の虹を見つけたことで泣き出してしまう。有吉が香月の頭を抱き寄せたことで香月は「やめろ」と怒鳴り彼を突き放してしまう。
なぜ香月は有吉を突き放したのか。有吉が言う様にあの時虹が出なかったらどうなっていたんだろう。



46億年というのは地球の年齢であった。

この映画を観ていて今まで自分が見てきた色々な物が巡ってきた。最近読み返していたジャン・ジュネの「薔薇の奇跡」(この中で受身の男をアンコと呼んでいる。今でも使うのだろうか。古い言い方のような気がする)
「カランジル」の生活風景。「ケレル」みたいな舞台のようなイメージ。そしてガス・ヴァン・サントの「ジェリー」なぜか二人の関係が似ているように思えた。
「銀河鉄道の夜」まで思い出した。「僕も君と一緒に行ってはいけないかな」というところ。

映画がミステリー仕立てになっていて、字幕で質問が表示され登場人物が答えるなど面白い仕掛けがある。
壁の穴を覗いたらロケットが見えるなんてちょっと考えられない。
登場人物の台詞が繰り返されるたびに少しずつ違う意味が感じられるのもうまい。
こういう風に場面がカットされつなぎ合わされていくのは凄く好きな手法なんである。
物語を辿っていく二人の刑事、遠藤憲一、石橋蓮司が絶妙でうれしい。刑務所所長の石橋凌と亡霊も怖くておぞましくよかった。
刑務所、っていうことなのに囚人達は皆若いというのも不思議。
香月は誰を抱いていたんだろう。

監督:三池崇史 出演:松田龍平、安藤政信、窪塚俊介 渋川清彦 金森穣 遠藤憲一 石橋凌 石橋蓮司
2006年日本


posted by フェイユイ at 00:02| Comment(0) | TrackBack(1) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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46億年の恋
Excerpt: 作品情報 タイトル:46億年の恋 制作:2005年・日本 監督:三池崇史 出演:松田龍平、安藤政信、窪塚俊介、渋川清彦、金森穣、遠藤憲一 あらすじ:監獄一の暴れ者、香月(安藤政信)が雑居房で有吉(松田..
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Tracked: 2010-08-25 15:23
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