映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年07月18日

「リプリーズ・ゲーム 」リリアーナ・カヴァーニ

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マット・デイモンが演じたトム・リプリーの20年後の物語をジョン・マルコビッチが演じ、監督はリリアーナ・カバーニと聞いては捨ててはおけない。こういう作品があったとは全く知らなかったのであるが、早速観てみた。

何もかも行き当たりばったりで常にコンプレックスに責められ、発覚を怖れながら涙と汗を流していたトム・リプリーもン十年たつとすっかり落ち着いた大人の男である。良心を捨ててしまったというだけあって冷静沈着。大金持ちとなって豪邸を構え、しかも美人ハープシコード奏者と結婚していたのである。ふさふさしていた前髪は今はもうなく、というのは誰でも書いていそうだがそれも含めてセクシーで素敵なのであった。

「リプリー」を鑑賞済みの方なら「トムはゲイではなかったのか」というところだが、この作品で女性と結婚していて(かなり濃厚なラブシーンもあるが)やはりトムはゲイなのである。その印はよく観てるとそこここに出ていてトムの趣味や仕草、そして仲間であったリーブスもゲイである(こちらは男性とベッドを共にしていたと思わせるシーン、壁に男性の裸体の絵などという証拠が)ということから匂わせる、という形で表現されている。今なら別段ゲイであることをはっきり語っていてもいいんだろうが、私はこういうこっそりと判る者だけに判る的表現が好きなので余計ゾクゾクするのである。冒頭でイカロスの象を見る目からしてもう妖しいのではあるが。

本作ではトムが主人公ではあるがジョナサンという平凡な額縁職人の男がストーリーの主軸となっていてトムはその彼に絡んでいくような形になっている。
ジョナサンは純朴である、ということでトムから目をつけられる。そしてトムを蔑んだことで恨みを買う。
重病を抱え込んでいて、まだ幼い息子と美しい妻を持つジョナサンは大金を餌に殺人を依頼され次第に深みにはまっていってしまうのだ。
年齢は違うがその姿はなんとなく昔のトムを思い出させてしまう。
トムは最初ジョナサンが自分の悪口を言ったことで復讐しようと思っているのだが途中から彼の味方となって助けていくのだ。
一方のジョナサンも初めはトムを疎んじていたのに彼を頼りにし始め、トムが危機に陥った時は自ら助けに行ってしまう。
そしてついに殺されそうになったトムを庇って死んでしまうのだ。

トムは多分最初からジョナサンが好きだったんだろう。それが悪口を言われて余計気に障ったのだ。
トムを庇った時のジョナサンを思い出す場面は官能的である。命の恩人であるトムに唾をはくジョナサンの妻の行動は何となく夫とトムの間に隠微な関係を感じていたからではないだろうか。

殺し、という怖ろしい題材が扱われているのだが、誰も気づかないような静かで落ち着いた雰囲気なのである。壊れたハープシコードを修理して妻に演奏させるまでの出来事なのであった。

トムがジョナサンに花の球根をプレゼントするのだが、何の花かは芽が出てからのお楽しみ、と言っていた。
何の花なのか、どういう意味があるんだろう。

マルコビッチのよさはわかっているけど本当に惚れ惚れである。
このトム・リプリーはこの映画だけ観たなら全く謎の男なのである。妙に強かったり、女性的だったり、音楽や美術に詳しくスフレを焼き、平気で人殺しをしてしまうという相当不思議な人格なのだがマルコビッチがやるといかにもいそうに見えてくる。
この若い妻は彼の正体を知っているのだろうか。ちゃんと知っていそうな感じであったのがまた謎である。

監督:リリアーナ・カヴァーニ  原作:パトリシア・ハイスミス 出演:ジョン・マルコビッチ ダグレー・スコット レイ・ウィンストン レナ・ヘディ キアラ・カゼッリ ダグレイ スコット
2002年アメリカ/イギリス/イタリア


posted by フェイユイ at 23:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『リプリー』トムのその後ですかぁ・・『太陽がいっぱい』(今度BSで、ありますね)のトムは捕まる予感のラスト(名シーン◎)でしたから続編はあり得ないでしたものね。マルコビッチって、キュートですよね〜^^
ドイツ映画に関してですが、昨夜のドイツ語会話(ロシア語会話だのしゃべらナイトだの外国に関するものをついみてます^^;)によれば、来週の番組中で“ト゚イツ映画について”の話題コーナーがあるそうですよ^^
Posted by フラン at 2007年07月19日 13:49
ちょっと気になりますでしょ?(笑)
「リプリー」ってハイスミスの原作は5部作もあるんですねー。まだ作れる(笑)
マットが年取ってからでも(笑)

マルコビッチは素敵でした。この映画も楽しめると思います〜。

ドイツ映画、気にしてくださってありがと〜。来週の番組ですね!チェック。チェック。
私も外国語番組好きです。最近はあまり見れないんですがー^^;
Posted by フェイユイ at 2007年07月19日 18:30
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