映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年08月23日

「悪い男」キム・ギドク そしてまた二人は

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先日「I tuoi fiori」が流れる場面を観ていてどうしてもまた観なおしてみたくなった。

もう何回となく観た映画である。回数を重ねると始めの衝撃は薄れるものだろうけど、久し振りに観てみて前に観た時以上に鋭い痛みを感じる映画だと思えた。
ストーリーや感想は「藍空」でもう何回も書いているが、観る度に違った思いに襲われる。
ハンギとソナはずっと不幸であり、映画のラストですら普通の感覚なら不幸なままである。
彼らはもう常識的な幸せを願ってはいない。ラストが幻なのか、現実なのかはっきりとは判らない。が、幻としても幸福でないというのは不思議な結末だ。
不幸であってももう離れないと二人は決めたのだろう。

ハンギとソナの間を隔てる一枚のマジックミラー。ハンギがライターの火をつけたためにその魔法が解けてしまう。
闇の中に浮かび上がる互いの顔が鏡に映し出される。美しい場面だ。
ソナを愛しながらもどうしても抱く事はないソンギには隠された謎があるのだろう。
喉の傷、話そうとすれば話せるのに口を開かないハンギはそのまま過去が語れない傷であると表しているようだ。

女である以上ソナが受けなければならない災いを認められることはないだろうし、男もまたハンギであることはできないはずだ。
ソナとハンギは全ての女と男の罰を受けているかのようにさえ見える。

ソナの体は傷つきこれからも責め苦を受け続けていく。ハンギの体も何度も手酷い暴力を受け続けてきた。そしてこれからも愛する者が傷つけられていくのをずっと見ていくのだ。

ソナは海に入って死んだのかもしれない。ハンギはナイフで刺され死んだのかもしれない。
その後、二人は生きて苦しみを味わい続ける。ただ一緒にいるために。

監督:キム・ギドク 出演:チョ・ジェヒョン ソ・ウォン チェ・ドンムン キム・ユンテ キム・ジョンヨン
2001年韓国


posted by フェイユイ at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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