映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年08月28日

「赤い靴」エメリック・プレスバーガー マイケル・パウエル

C.jpg

バレエが好きなのですでに観ていてしかるべきなのに今まで未見だった。名作といわれるだけあってすばらしいバレエ映画であった。

何と言ってもヴィクトリア・ペイジを演じたモイラ・シアラーというバレエ・ダンサーの踊りと美しさに見惚れてしまう。
赤い髪と大きな目が印象的である。

物語はバレエを愛し、踊る事に喜びを感じている駆け出しのバレエダンサー・ヴィッキーとその才能を見出し一流のダンサーに育てようと意気込むレルモントフ、そしてそのレルモントフに同じように才能を認められバレエ団のお抱え作曲家として迎えられた若いクラスターはヴィッキーと恋に落ちてしまう。
掌中の珠を奪われたレルモントフは怒りのあまりクラスターを追い出してしまう。ヴィッキーはプリマの地位を捨ててクラスターと結婚するのだった。

本来なら傲慢で身勝手なレルモントフに怒るところだが、映画がそう思わせるためか次第にレルモントフに肩入れしクラスターの強情に苛立ってしまう。映画作りをしているならばレルモントフに同情的になってしまうものだろうが。
ヴィッキーのように美貌と才能と性格のよさを併せ持つ女性を見つけるのは難しいことなのだろうし、やっと少しだけ芽が出たかというところで男に横取りされ主婦にされてしまってはレルモントフでなくとも憤慨する。
最後の最後でクラスターが許してあげれば(少なくとも彼女の言うとおり公演が終わるまで待ってあげれば)こういうことにはならなかったのに。悔やんでも悔やみきれない。男のプライドなんてむかつくだけである。

まあ、映画はそうやって踊りもやめられず愛をとめることもできず死を選ぶ事を美しく描くものであるからここではそうそう青筋をたてるものでもあるまい。

さて、タイトルの「赤い靴」はアンデルセンの童話を原作にして作られたバレエでこの舞台によりヴィッキーは一躍スターとなるのである。その舞台は映画の中でたっぷりと映し出され見ごたえがある。
なにやら怪しげな靴屋が勧める赤い靴に魅せられた少女はその靴を欲しがる。願いどおりその赤い靴を履いた少女はいつまでも踊り続けなければならなくなる。踊り疲れ果て、神父に助けを求めた少女はやっと赤い靴を脱がしてもらうことができた。だが少女はその神父の前で死んでしまうのだ。
幻想的な舞台。特に新聞紙とヴィッキーが踊るシーンは不思議な雰囲気に満ちている。
悪魔のような靴屋の踊りにも惹きつけられる。

ヴィッキーはこの「赤い靴」の少女のように踊り続けることはできなかった。願いどおり赤い靴を手に入れ死ぬまで踊り続けた少女と踊ることなく死に急がねばならなかったヴィッキーとどちらが幸せなのだろう。
ヴィッキーを演じたモイラ・シアラーは若くしてこの映画「赤い靴」で有名になりすぐ結婚しダンサーをやめているようなのでヴィッキーの人生に近い。がこのような結末ではなく、幸せな結婚生活を送り4人のお子さんをもうけ、ダンサー以外の仕事をして80歳の生涯を終えられたようなので確かにダンサーだけが人生の全てではないかもではある。
但し観客はどうしてもバレエ一筋に生涯をかけるダンサーを夢見るものである。結婚するのはいいのじゃないか、とは思うものであるが。
(しかし女性は出産が大変である。全てをかなえた女性はやはり凄いのではなかろうか)

それにしてもこの映画1948年のものである。つまりは戦後間もないわけで日本人がこんなもの見せられたらたまんないであろう。
すぐそういうことを考えるのが年寄りなのだ。


監督:エメリック・プレスバーガー マイケル・パウエル 出演:モイラー・シアラー アントン・ウォルブルック マウリス・ゴーリング ロバート・ヘルプマン
1948年イギリス


ラベル:イギリス映画
posted by フェイユイ at 23:37| Comment(4) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
赤い靴、は未見なのですがアントン・ウォルブルックに反応致しました。彼はたしかオーストリア?かドイツ?の人で、マックス・オフュルス監督の『輪舞-ロンド-』という作品に出演、そのオフュルス監督の『忘れじの面影』という映画を私は大好きなのでした。ジョーン・フォンティーンの美しい英語。ロマンチックな展開。名画座で観た後うっとりと帰宅した覚えがあります(かれこれウン十年前・;;)
明日バレエ観劇に行きます。バレエは魅惑◎◎・・ですよね。生涯かけて追い求めたい芸術です(今現在の気持ち)。
Posted by フラン at 2007年08月29日 20:01
お!そうでしたか。フランさんは絶対これ観てると踏んで書いたんですが(笑)
しかし、アントン・ウォルブルックに反応されるとはさすがですね。私も知ってたらもっと見方が違っていたでしょう。
ということはこの記事でアントンが演じたクラスターに私は怒ってましたが、フランさんならまた別の感じ方をしそうですね。

明日バレエ観劇ですか!!いいなあああ!!
Posted by フェイユイ at 2007年08月29日 21:06
お恥ずかしいです(汗)・ただバレエに関しては映像での記録って何か“ずるい”気がして、所謂ビデオ・DVD鑑賞は気が進まないのです(あくまで生が・・◎)。
でも『赤い靴』はバレエ映画の“基本”ですから観なきゃ、なのですが。。実はバレエシーンに、もし退屈してしまったらイタイナーなんて密かな恐れがあるのです(言訳・笑)
アントンさんも昔俳優名鑑みたいな本で見たのみ(^^;)でも苦味走った頑迷で貴族チックなその容貌に興味を持った(本の中で)のですが、確か彼の家系は代々道化師である、だった気がします。おおヨーロッパだ〜!と思いました^^
Posted by フラン at 2007年08月29日 21:25
そうだったんですねー。でも判ります、やっぱり生が一番だと言うのは。数少ない私の観劇経験からも勿論そうです。でも今の私はDVD鑑賞でしか観ることができないのでそこはお許しいただくとして^^;

アントン氏が道化師の家系とは。ここでは作曲家の役ですがご本人がピアノを弾いておられるようですね。
Posted by フェイユイ at 2007年08月30日 10:13
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。