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2007年09月15日

『陸軍中野学校 密命 』井上昭

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昭和15年、上海にいた椎名次郎はいきなり憲兵隊に逮捕されスパイ容疑で日本へ送還されてしまう。

椎名は草薙中佐に無実を問うが返ってきたのは中佐の冷たい言葉だけだった。拷問を受け勾留されたされた椎名は同じ場所に入れられていた元・外相の高倉氏と知り合う。

わけのわからないまま釈放された椎名を待っていたのは見知らぬ若い男。その男が導いたのは椎名をスパイだと言った草薙中佐の元へであった。

いくら中野学校出身で耐え抜く精神と体を持っているとはいえ、本当に拷問かけるのは可哀想である。全てに優れた彼らである。そのくらいの演技力は持っているだろうからフリだけでよかったはずでは。高倉氏目の前で見せたわけでもないからねえ。しかもその後、命を受けて高倉氏の家を訪ねたらあっさり疑われている始末。当時そんな英語が堪能で留置所に入れられたりしてたら怪しいと思われて当然だと思うんだけど。

などと書くと不満があるようだが、なかなか楽しく観ていった。
世界が激しく揺れ動き日本もその中へ巻き込まれていくその前夜である。
山形勲演じた高倉氏がとても魅力的な人格であった。なにせこの時期において日本が中国を侵略することに反感を持っていてイギリスに親近感を持っているような人物なのである。主人公椎名とは無論思想が違うわけだがそこがまた面白いところである。早い段階で殺されてしまうのが残念。
ドイツ大使館は当たり前だがナチスなのであって浅井夫人なる日本女性が広い交友関係を利用して米英の情報を売りにいったりするのだが、これもそんなに重要な内容なのかなと思わなくもない。
その浅井夫人を野際陽子が演じていてすでに“夫人”という役なので驚きである。国際的な交友のある美女という役が合っている。モルヒネをやってたり椎名を誘惑したり自由な女性なのである。

加東大介さんと市川雷蔵はもうすっかりキャラクターが出来上がっていてかっこいい。

国際的スパイアクションものなのだが、なぜか印象的に近所の狭い範囲内でやってる気がしてしまうのがおかしい。
コーヒーショップの親父が連絡係だったり、椎名にすら気づかれないよう足で暗号を送ったり車のワイパーにカメラが取り付けてあったり、色々とスパイらしい工夫がなされているのであった。

「令嬢は私に好意を持っているのでそれを利用します」などという台詞が雷蔵には似合うのである。

監督:井上昭 出演:市川雷蔵 高田美和 野際陽子 加東大介 山形勲 1967年日本
ラベル:スパイ 市川雷蔵
posted by フェイユイ at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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