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2007年10月13日

『ラストキング・オブ・スコットランド 』ケヴィン・マクドナルド

ラストキング・オブ・スコットランド.jpg

逃れられない恐怖感に固唾を呑んで見つめるしかなかった。
正直に言うとウガンダとアミン大統領について殆ど何も知らず食人大統領と言われていたこともどういう意味か判らず何も知らないまま観たのであった。
観ていく内にそれらが少しずつ理解できるようになったものの史実を巧く取り入れながら描いたものであるにも拘らずどうなることかと肝を冷やしながら鑑賞した。

アフリカへ行って医師として働き自分探しの旅をしよう、といういかにも西洋の若者が考えそうな出だしである。閉塞感のある人生に嫌気がさして地球儀を回して指先が当たった所へ行く、と念じる。だが最初に触れたのがカナダだったのでやり直し。それでは「正常」過ぎる。もっと危険な場所、未開の地。つまり指先をもっと赤道へ近づけたのだろう。次はウガンダとなり彼は満足した。
到着して程なく新大統領に選ばれたアミンと出会い事故での手当てをしたために主治医となってしまう、という突拍子もない筋立てが何の違和感もなく進んでいく。アミンのお気に入りとなり深入りしてしまった青年ニクラスは気付いた時にはもうそこから逃げ出せなくなっていた。というか彼が事故で捻挫して治療に呼ばれた時からもう逃げ出せなかったのでは、と思えるが。
ふとしたことからアミンの妻の一人(何人かいるので)と恋仲になってしまうがその代償は痛烈なものだった。

史実を巧く混ぜ合わせながら架空の青年ニクラスとアミン大統領の話を作り上げた、とは思えないほど「本当にあったこと」のように見えてくる。
アミンを演じたフォレスト・ウィテカーの無邪気な笑顔と突如として爆発する狂気が怖ろしい。
二クラス役ジェームズ・マカヴォイの頼りなげでありながら向こう見ずであり、英国人とスコットランド人との違いを気にする性格そして来た時から社会状況の無知が彼をどうしようもない地獄へ追い込んでいってしまう。

多くの人々を苦しめた史実を下敷きにしてこのようなサスペンス溢れる娯楽を作り上げてしまう、ということに「いいのか?」という疑問と困惑を覚えもするがしかし目を離せない面白さで息つく暇もなく感じたのも確かである。
しかし1971年から1979年までの政権下で30万ないし40万の国民を殺害した後サウジアラビアへ亡命して2003年まで生きていた、というのはとんでもないことではないか。
創作とはいえ情けないニコラスも生き延びて、死んだのはいい人ばかりという悲しい映画であった。
ケイ夫人はニコラスのような白人青年と浮気したわけではないがアミンの子供を堕胎したことで夫の怒りを買い、映画のように両手・両足を交代してつけられたという話があるようでため息をつくしかない。

しかし西洋人の作るホラーには「アジア・アフリカなど未開の地に深入りするとこのように怖ーい思いをするぞ」という類の作品が結構ある。
ふっふっふ、怖いかね?

監督:ケヴィン・マクドナルド 出演:フォレスト・ウィテカー ジェームズ・マカヴォイ ケリー・ワシントン サイモン・マクバーニー ジリアン・アンダーソン
2006年アメリカ/イギリス


ラベル:歴史 サスペンス
posted by フェイユイ at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | アフリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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