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2007年10月17日

『御法度』大島渚

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新撰組の人気と言うのはかなりの高さだと思うが私自身もミーハーに大好きなのである。特に司馬遼太郎氏の「燃えよ剣」にははまりこんだものだ。

司馬遼太郎氏が書かれた「新撰組結風録」の中の一編「前髪の惣三郎」がこの映画の原作となっているため新撰組映画としても特異な一作となっているのではなかろうか。池田屋以後の新撰組に入隊したまだ前髪の残る美少年・惣三郎が新撰組の隊士たちの心を惑わしていく物語である。
大島渚監督が新撰組を映画化しかも「前髪の惣三郎」と聞いた時は胸が高鳴ったものだ。
だがしかし初めて観た時は決して満足したわけではなかった。

が、今回観なおしてその評価がまったく違うものになってしまったと告白しておこう。
私には幾度となくこういうことがあるのだが、好きなものにも関わらず、作品を読み取れる時と駄目な時があるものなのだ。

まず配役が面白い。(私の)大好きな土方歳三が北野武とは最初参ったが観ていくうちにこれもいいかと思えるから不思議だ。局長が映画監督の崔洋一、これにも驚き。沖田総司には武田真治でこれはやっとほっとするとして肝腎の前髪美少年・加納惣三郎に当時初映画出演の松田龍平。初めて観た時は体のデカさとその顔が好みではなく納得がいかなかった。さすがに惣三郎に満足がいかないとなると当時の感想はかなり低いものにならざるを得なかった。
ところが再観した今回、ここのところの龍平再認識により全く評価は変わってしまったのであった。
まだ彼が15・6歳くらいなのだろうか。さすがに今見直すと初々しい美少年に見えるではないか。
剣の腕は高いにも関わらずその美貌で隊士のみならず局長や土方の心までも妖しく乱してしまう惣三郎が次第に魔に取り付かれていく姿を表すのにこの表情はまさにぴったりではないか、と今更ながら思い直しているのだからしょうがない。
それにしても惣三郎と結縁の仲になる田代役の浅野忠信が美しくて鼻血が出そうであった。大体原作ではこの田代氏、酷い醜男なのである。よくぞ浅野を配役してくれたものよと涙を流してしまう。まあ、土方氏がたけちゃんになったんでバランスとらせてもらってもいいだろう。
他の配役としては惣三郎に惚れてしまう男役で田口トモロヲ。浅野と龍平のラブシーンはあまりないのだが、まだ初演というのに龍平くん、トモロヲ氏に抱かれる場面もあって勇気要っただろうなと感心。それから顔が出てくるだけだが、同じく惣三郎に恋したのが藤原喜明、これは顔がいかにもホモっぽいので納得。
また、ほんのチョイ役で隊規にふれた為、惣三郎から断首される隊士に田中要次。
惣三郎から頼まれて探りを入れに行く男が寺島進。惣三郎に女の味を教えようとして心なしか惹かれていく監察・山崎蒸にトミーズ雅、そのお相手をした太夫が神田うの。
肥後藩士に的場浩司、伊東甲子太郎に伊武雅刀、井上源三郎に坂上次郎、といった具合である。

実際、作り話と言うだけでなく新撰組のなかでは衆道が流行っていたということらしい。
近藤勇や土方歳三、沖田総司も関係ないことではなく一人の美少年を見て自分たちの心にもそうした想いが生じたことを認識していくところが興味深い。
特に面白いのは沖田が「菊花の契り」の話をした後「あなたと近藤さんの間にも誰も入れない。入ろうとすればあなたが切ってしまうのだから」と言う場面である。それを聞いた土方は打ち消すように怒鳴りつけるのだがそのことが近藤と土方のつながりが単なる友情を越えたものであることを土方自身感じていたことを暴露してしまっている。そして沖田がそこに嫉妬していたこともあらわになったというわけである。

さらに誰が殺しの犯人であったかという謎解きでもあり、裕福な家の生まれである惣三郎が何故新撰組にはいったのか、美しい顔をしているが人殺し、ということに強い興味を持つ性癖があり次第にそれが表面化していったというサイコものでもある。

観直してみて初見の時に感じ取れなかった面白さがやっとわかったようである。松田龍平の魅力を今更ながらやっと認識できたことも含め観直してよかった一作であった。

監督:大島渚 出演:ビートたけし, 松田龍平, 武田真治, 浅野忠信, 崔洋一
1999年日本


posted by フェイユイ at 23:55| Comment(0) | TrackBack(2) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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