映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年10月18日

『私のように美しい娘 』フランソワ・トリュフォー

私のように美しい娘.jpg

まずタイトルが気になってしまう。なんだかかっこいい。“私”が誰なのか、と思っていた。彼女自身なのだね。

ベルナデッド・ラフォン演じるカミーユのけたたましいほどエネルギッシュさが何とも「可愛い女」なのであった。
(ところでカミーユって名前は古風らしい。そうなんだ)

ドタバタギャグと言っていいくらいの底抜けに明るいコメディなんだけど観終わってみればこれは非常に怖い物語なのではないか。そのままの筋をシリアスに変えればそれまた大変面白いサスペンスになる。
構成も演出も巧妙だがそれが判りやすくすんなりと出来上がっているので嫌味に作り上げた感じにならない所がまた巧い。

本屋で女性客が社会学者スタニスラフ・プレビン(A・デュソリエ)の『犯罪女性』という著書が1年前に出版予告されていたはずなのだがと問いかける事から物語が始まる。なぜ予告されていた本が出版されなかったのか。

舞台が一年前の刑務所内になり当のプレビン氏が投獄されている若い女性カミーユから彼女の犯罪についての供述を取りたいと申し出るのだった。
カミーユはあっけらかんと明るい話口で自分の生い立ちから今日に到るまでの人生を語りだす。

様々な出来事が彼女にとっては「人生の賭け」だったという。父親を殺し、夫を含め同時に4人の男達と肉体関係を持ちながらもカミーユはさらに貪欲に人生を駆けていく。
彼女を知った男達はその魅力に溺れてしまうのだ。そしてそれは学術として彼女の話を聞きだした社会学者プレナンも例外ではなかった。

カミーユは確かにスタイルがよくて美人ではあるんだけど言う事も行動もどうにも下品でしかも悪だくみばかり。まさに悪女という造形なのである。でもなぜか憎めないし彼女の生き様に惹き込まれていってしまう。
カミーユと出会ってしまった男達はみんな彼女の虜。一体どうしてなんだろう。不思議であるが彼女を観てると不思議ではない。

冷静で知的なはずの社会学者さんはとうとう道を踏み外してしまった。まったく!ミイラ取りがミイラ、という奴だ。
何とか逃れようとした学者さん、最後の最後で笑うに笑えないことに。流れてくる歌も皮肉でおかしい。
とてもおかしく楽しいのにぎゅっと苦味が効いた素晴らしいコメディの一作であった。

監督:フランソワ・トリュフォー 出演:ベルナデッド・ラフォン アンドレ・デュソリエ シャルル・デネ ギイ・マルシャン フィリップ・レオタール シャルル・デネール クロード・ブラッスール
1972年フランス


posted by フェイユイ at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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