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2007年10月19日

『カラヴァッジオ』デレク・ジャーマン

カラヴァッジオ.jpg

若き日のカラヴァッジオが可愛くてもう少し彼で観ていたかったりもした。大人の彼も勿論いいのだが。
カラヴァッジオというと天才的画力を持ちながら自由奔放な行動を取った異端児というイメージがある。映画での若いカラヴァッジオは心に抱く彼であるが大人になってからは随分品がよくなって芸術に打ち込んでいる画家そのものであるようだ。カラヴァッジオの野生的なイメージはむしろ彼が愛したラヌッチオの方だったりする。アウトローで破壊的なカラヴァッジオを観たい気もするがしかし本作は美しい作品であった。

なにより映画そのものが絵画のように計算された構図と色彩で造形されている。余分な背景は省かれ描きたいものだけを映し出したような映像である。
そしてジャーマン独特の時代考証を無視した衣装と小物。スーツに電子計算機、オートバイも登場するのだがそれぞれが登場人物に合っているので普通に観てしまうのが面白い。

芸術に打ち込むカラヴァッジオの姿はデレク・ジャーマン自身なのだろう。この映画の中でジャーマンはカラヴァッジオという名前と画家という仕事を借りて我が身を溶け込ませている。
彼を魅了するラヌッチオはやはり彼の好みなのだろうか。確かに男っぽいハンサムではあるが私はむしろ話すことのできない助手エルサレムとの関係が色っぽく感じてしまうのであった。死の床まで付き添い心から仕えるエルサレムが愛おしい。
幼いエルサレムくんが凄く細くて可愛いし。

それにしても若いカラヴァッジオの時間が少ないのが残念すぎる。天才にしてこの美貌、この高慢な精神。よくある天才児の姿ではあるだろうがやはり見惚れてしまう。この笑い方、すてきだ。

なぜ本作でカラヴァッジオは恋敵であるはずのレナを殺したラヌッチオを手にかけてしまったのか。
カラヴァッジオは最初から愛するラヌッチオの女性の恋人レナを嫌ってはいない。むしろ絵を描く時も彼女を側に置きドレスや耳飾を贈ったりしている。
カラヴァッジオは奇妙にもレナとラヌッチオという美しい恋人同士に美を見出していたのかもしれない。そして言明はされなかったが彼の子供を宿した聖母とも思えるレナを殺したラヌッチオに怒りを覚えてしまいつい手をかけてしまったのだろうか。
とはいえ、死の床でカラヴァッジオが呼んだのは「ラヌッチオ」という名前であった。
その名前を叫ぶカラヴァッジオを抱きしめるエルサレムも健気ではないか。
初恋の男性パスカローネとの思い出が蘇り、カラヴァッジオは十字架を投げ捨てナイフに刻んだ言葉「絶望は恐れを知らず」という言葉を胸に抱いて眠りにつく。

監督:デレク・ジャーマン 出演:ナイジェル・テリー ショーン・ビーン デクスター・フレッチャー スペンサー・レイ ティルダ・スウィントン
1986年イギリス


posted by フェイユイ at 23:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
デレク・ジャーマン監督の作品初めて鑑賞。独特ですね。絵画的で美しい映像ですが、途中で寝ました(笑)・・しかし!仰るとおり☆若い頃のカラヴァッジオ役のデクスター・フレッチャーは☆!!すっごい魅力的でした!目も覚めるような、とはこのこと(彼が出てくると本当に目が覚めた・アドレナリン効果^^;)で、検索したらこの役者さんご健在で写真をちらと見ると現在はフツウの人に・・そりゃそうですね〜^^;美しい時って,限られているのだな〜と感慨深く。ホントぞくぞくする程の妖しさでした!
この映画はたまたま取寄レンタルした二本のうちの一本なのですが、なんとなんと☆そのもう一本の映画とこの『カラヴァッジオ』と、作品中引用されている“詩”が一緒だった!そんなこと知りもしなかったので、ちょっとビックリ。そのもう一本とは『ブルックリン最終出口』。映画冒頭に出てくる一節なのですが恐らく有名な?。。“・・さあ街に出て、愛する人を探そう”〜というような感じでした。
Posted by フラン at 2008年05月26日 17:13
うわーそうですか。『ブルックリン最終出口』何度も観てみようと思ってそのままになってました。くく〜残念。
でも借りる時は私も『カラヴァッジオ』と一緒に借りないと〜忘れてます(笑)
とても好きだったのでもう一度観るのもいいかな〜。
Posted by フェイユイ at 2008年05月26日 18:47
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