映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年10月23日

『倩女幽魂 チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』チン・シウトン

チャイニーズゴーストストーリー.jpg

昨日はちょっとしんみりしてしまったので今夜は楽しいレスリーのでもやっぱり幽霊もの。

『聊斎志異』を原作にしてSFXを駆使したゴシックホラーアクションムービー。
といっても丁々発止で戦うのは倩女幽魂スー・シンと悪霊を退治するイン道士で主人公ツァイサンであるレスリーは可愛くおたおたもたもたしてるだけなのだ。
倩女幽魂スー・シンは荒れ寺に住みつき、ロウロウという悪霊女の手先となってその美貌で男を誑かしロウロウが男の精気を吸い取る手伝いをしていた。
集金に走り回る旅人ツァイサンは金も食べ物もなく雨に降られ仕方なく人も寄り付かないその荒れ寺に泊まることになる。
スー・シンの男を引き寄せる色香が幽霊ということもあってなんとも凄みのある美しさである。男に言い寄る様は嬉々としているようでいて殺される様子に涙をこぼすその両面が意味深な悪霊と思わせる。
レスリーの集金人の格好がこれは向こうでは普通のいでたちなのであろうか。屋根付きのしょい籠を背負って裾の長い着物と可愛い帽子。手持ちのまんじゅうだか食べ物はこちんこちんで歯が立たない。雨が降っても破れ傘、靴には穴が開き借金を書いた帳簿は雨で墨が流れ落ちているといった情けなさ。
でも人殺しに食べ物を恵んでもらっても吐き出してしまう潔さは持っているのだ。

悪人とそれを追いかける賞金稼ぎ、賄賂を求めてばかりいる裁判官という荒れ果てた時代。
道士インは世の中に嫌気がさして隠居してしまったのだった。幽霊の前では人であり、人の前では幽霊になるというイン。
一人修行をしながら「道!道!道!」と歌い踊るのが面白い。ちょっと口は悪いが心は優しく勇敢で腕の立つ道士なのだ。

ここでのレスリーはおっちょこちょいで臆病ででも正義の心と健気さを持つ貧弱な若者ではあるがとにかく可愛い。ひたすら可愛いのである。
倩女幽魂スー・シンもそんなツァイサンの可愛さに悪霊から人間に戻りたいと願ったのではなかろうか。
そしてやっぱりレスリーのラブシーンはすっごく色っぽいのであった。
頼りないツァイサンを水の入った桶に沈めたスー・シン。苦しくなって顔を出すツァイサンを沈めるためにキスをしながら息を吹き込むなんていう場面のレスリーの横顔のセクシーな愛らしさといったら。
この色っぽさって他の誰が持っているだろうか、いや持ってはいない(反語)
とにかくツァイサンは幽霊のスー・シンを抱っこすることも出来ないくらい力がないし(「お、重い」と言って落としたのでスー・シン思い切り嫌な顔になる。普通抱っこするでしょー)道士がいないと襲われるからと言って護衛を頼んだり全く弱々しいのだがここぞと言う見せ場では勇気をだして刀を刺したり、朝日を浴びてスー・シンが骨壷に戻れなくなるのを防ぐ為必死で窓を塞いだり一所懸命さが胸を打つ。

それにしても物凄いスピードで進む映画である。画面がどんどん切り変わるし判らん奴は置いていくぞっつー勢いで説明なしで突き進んでいく。
アクションもグロテスクも目を離したらあっという間に終わっているほど早い早い。
そしてラスト、香港映画独特の山場がすんだら「スー・シン、転生してるかな」でツァイサンと道士が虹の彼方へ向かって馬でぱっぱか。あっという間に終わってしまうのだった。うーん、この後味を残さない終わり方って他にないよね。爽やかですらある。

確か当時はレスリーというよりスー・シン役のジョイ・ウォンが話題だったのではなかろうか。
男を誑かして精気を吸い取る幽霊というのは中国ホラーでは定番だがやっぱり色っぽくていいものである。
そしてその幽霊から惚れられてしまうレスリーの愛らしさ。私的には幽霊美女よりずっとおたおたと可愛いのである。
たしかに幽霊も心を動かさずにはおられまい。
ちょっと馬鹿っぽい表情になっていてかまってやりたい気持ちになるのだね。相変わらず上唇がとがっているのがチャームポイントであるし。

色々な顔をもつレスリーだったがこの頼りない愛らしさもまた追随を許さぬものであった。
シリアスに美しいレスリーととぼけたキュートなレスリー、どちらも捨てがたい魅力なのだ。

監督:程小東 チン・シウトン 製作総指揮:徐克 ツイ・ハーク
 出演:張國榮 レスリー・チャン、王祖賢 ジョイ・ウォン 、午馬 ウー・マ
1987年香港



posted by フェイユイ at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 香港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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