映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年10月26日

『パリ・ジュテーム』続き

パリジュテ.jpgパリ・ジュテ2.jpg
私が大好きな二組です。ジュテーム
左側の画像物凄くクリックされそう(笑)どうぞ大きくして見て下さい!生唾ものですぞ〜

さて昨日の続きです。再観するのも記事を書くのもこんなにわくわくすることも少ないのですが。

パリの街20区を舞台に18の物語が繰り広げられるのだが時間も朝・昼・夜と様々な顔を持つ。

5話目。『16区から遠く離れて(16区)』監督・脚本:ウォルター・サレス、ダニエラ・トマス/出演:カタリーナ・サンディノ・モレノ
最も笑いの少ない重い映画だった。『そして、ひと粒のひかり』で有名なカタリーナ・サンディノ・モレノ が殆ど一人だけの出演である。
裕福な家庭のベビーシッターを仕事にする移民者の女性アナ。彼女にはまだ乳飲み子である赤ん坊がいるのだが朝早く起き赤ん坊を施設に預けて自分は裕福な家の赤ん坊の世話をするのだ。
出て行こうとすると泣き出す赤ん坊をあやすアナ。電車を乗り継いで到着する高級住宅地。そこに住む母親である女性はアナにベビーを預け外出していく。「一時間遅くなるわ」置いてきた赤ん坊と一時間余計に離れていなくてはならないがアナには断る術はない。
母親が出て行って泣き出すベビー。アナがベビーをあやす声は我が子をあやす時と同じ歌である。
ウォルター・サレスらしい男女の愛ではなく犠牲が題材になっている。アナのあやす声が心に残って切ない。

6話目。『ショワジー門(13区)』監督・共同脚本:クリストファー・ドイル/出演:バーベット・シュローダー
これはもう大好きなドイルだから取り上げてみたのだが、正直どういう意味なのか全然判らない(笑)
マダム・リーの並外れたプロポーションに見惚れた。ミスター・アイニーが場所を聞いた若者がケイシー・アフレックに見えた。まさかこんな所に。フランス語しゃべってるし^^;
このショワジー門辺りがチャイナタウンになっているらしい。アーそういえばパリにいたチャイナガール、つんつんしてたっけ。

8話目。『ヴィクトワール広場(2区)』監督・脚本:諏訪敦彦/出演:ジュリエット・ビノシュ、ウィレム・デフォー
最も涙が溢れる話だった。小さな子供を亡くしてしまった母親はいつまでも息子の声が聞こえてくるようで忘れる事ができない。
息子はカウボーイが大好きで会いたがっていた。
その夜も息子が出かける声が聞こえ母親は後を追いかける。誰もいない真夜中の通りに子供たちの遊ぶ声が響く。そこにいるはずもない馬に乗ったカウボーイが現れる。「子供に会いたいか」
母親の前に失ってしまったはずの可愛い息子が。狂ったように抱きしめる母親に息子は「カウボーイについていきたい」と離れようとする。腕をすり抜ける息子を母親は引き止めることはできなかった。
雨に濡れた石畳が子供を失って嘆く母親の心のようで冷たく乾く事がないのだ。
心配して駆けつけた夫に抱かれてその傷ついた心が癒されて欲しい。
嘆きの母親をジュリエット・ビノシュが演じていて悲しみが伝わってくる。

9話目。『エッフェル塔(7区)』監督・脚本:シルヴァン・ショメ/出演:ポール・パトナー/ヨランド・モロー
昨日このオムニバスの表一位は『14区』隠れ一位は『マレ地区(4区)』と発表したのだが表一位をどちらにしようかと迷ったのがこの『エッフェル塔』なのである。
最初、太っちょのマイマー(なにせパントマイムは痩せた人ってイメージがあるし、マルセル・マルソーみたいなね)がなんだか疎ましくも思えるし、パントマイムには全部音がついてるし(にせものだー)足が漫画的に高速回転して走っていくしなどと訝しく思ってたが観てる内に(ったって5分ほどだが)すっかりおかしくなってきた。なにしろエッフェル塔だし太っちょマイマーの格好もベレエでいかにもフランス的だ。ギャグもなんだかとぼけてフランスらしい。昔みたジャック・タチの雰囲気なのである。
特に牢屋でそっくりのパントマイムガール(?)に出会ってもう爆笑。不気味なダンスがくせになりそー。しかし同室に入れられた男がこんないかれた奴らとぶちこむなー、っていうのは同情する。確かに怖い。
太っちょさんがにっこり笑ってカメラがズーンと引いて行くのがおかしいし太っちょの体でのマイムがいちいちおかしいしなんだかしつこい感じがいつまでも観たくなってしまう。
何と言ってもパントマイム夫婦の可愛い息子が苛められながらも両親を愛しているのが伝わってきて嬉しくなる。
彼の大きなランドセルがまたおかしいけど。最後の猫も可愛かった。
監督のシルヴァン・ショメはアニメーション作家でこれが初めての実写作品というのも驚きやら頷けるやら。
最もフランス的な明るく楽しい作品なのではないだろうか。最もジュテームって感じだった。男女の愛と家族の愛がこの上なくハッピーに描かれている。

10話目。『モンゾー公園(17区)』監督・脚本:アルフォンソ・キュアロン/出演:ニック・ノルティ、リュディヴィーヌ・サニエ
ニック・ノルティ演じる中年男と若い娘が逢引をしているが女にはギャスパールという男がいるらしい・・・と見せかけて実は、というお話。
夕暮の街を歩きながら話しているだけの物語だが、どうなるか、と気になって観てしまう。ニック・ノルティが怪しいフランス語をたしなめられるのも面白い。

16話目。『フォブール・サン・ドニ(10区)』監督・脚本:トム・ティクヴァ/出演:メルキオール・ベスロン、ナタリー・ポートマン
ティクヴァ監督らしいスピーディで凝りに凝った構成演出。目の見えない成年が主人公というのもティクヴァらしい。『ラン・ローラ・ラン』は走りまわる強い足。『パフューム』は並外れた嗅覚というように体に関する興味が強い人なのだろう。そして叫ぶ女が好きだ。
危険地区とされるサン・ドニで女性の悲鳴を聞いた盲目の青年は助けようと声をかける。それが出会いであった。
女性は女優志望、青年は様々な外国語を勉強する。だがある日受けた彼女からの電話は悲しいものだった。
よくぞ5分間にここまでの映像がはいるものだ。映画に対する情熱若々しいパワーを感じる。それでいてロマンチックなのである。これを観てテイクヴァやっぱり早くもっと観よう!と思ったのだった。
残酷さもテイクヴァらしく効いている。ナタリー・ポートマン可愛い。

そして昨日書いた3本が私のお気に入り(笑)半分ですな。
といっても他の作品もそれぞれ面白く鑑賞できたという優れたオムニバスであった。音楽も素晴らしいものであった。

好きなのでもう一度書いていくと表第一位の『14区(14区)』アレクサンダー・ペイン監督・脚本。平凡なアメリカ中年女性がパリに来て感じた悲しみと喜びを描いている。
一人でレストランで食事をし、美しい景色を観ることに寂しさを感じている。
何かを思い出したような気持ちが彼女におこる。それを知らないのに待っていた、と。その言い表しがたい感情を私もこれを観ることで少しだけ共感できた気がする。そしてそんな感情がいつか私自身湧き上がることがあるのかもしれない。喜びと共に悲しみが訪れでも自分は生きているのだと感じた彼女のように。

それにしてもボーヴォワールをアメリカ人はボリバルと呼ぶのだろうか、ちょっとおかしい。

2話目の『セーヌ河岸(5区)』グリンダ・チャーダ監督作品はイスラム女性の気持ちが描かれていて新鮮だった。イスラム圏の物語はもっと紹介されてもいいのではないだろうか。

そして隠れ一位とした3話目『マレ地区(4区)』ガス・ヴァン・サント監督。
何度でも観たいし、この短さでは満足できん、というかこんな出だしだけ見せられて我慢できるかー、という涙目なのである。いや、作品としては充分これで素晴らしいものだと思います。思いますが、彼らの続きが知りたいではないかーしくしく。
ギャスパーのぐしゃぐしゃした髪が魅惑的。坊主くんも可愛い。なんであんな一所懸命走って行ったの?電話したの??
「運命を信じる?自分の片割れの存在を?」ってすごいナンパだなあ。
サント監督が撮っているとギャスパーより以上に凄い美青年になってしまう。
この話だけのためにDVD買う価値はある。

ということで大変に楽しんだこの一枚だった。
他の作品も観る時期なんかでまた印象も変わるかもしれない。変に高尚ぶらずに面白い作品が多かったのも嬉しい『パリ・ジュテーム』であった。

パリジュテ3.jpgパリジュテ4.jpgパリジュテ5.jpgパリジュテ6.jpg

監督:ガス・ヴァン・サント ブリュノ・ポダリデス グリンダ・チヤーダ ジョエル・コーエン イーサン・コーエン ウォルター・サレス ダニエラ・トマス クリストファー・ドイル イザベル・コイシェ 諏訪敦彦 シルヴァン・ショメ アルフォンソ・キュアロン オリヴァー・シュミッツ リチャード・ラグラヴェネーズ ヴィンチェンゾ・ナタリ ウェス・クレイブン トム・ティクヴァ フレデリック・オービュルタン ジェラール・ドパルデュー アレクサンダー・ペイン


posted by フェイユイ at 23:31| Comment(7) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
灯台もと暗し☆とは貴方のコトです、フェイユイさん!変な人仲間決定!^^私の、一つしかない特丸レベル@とは『エッフェル塔』なんですよぉーー!!^^アア嬉しいー!(笑)
《エッフェル塔》とにかくぴか一でした。パンフのシルヴァン・ショメ監督がまたタイプで(ヲイ^^;)アニメーションの凄い才能の方・授賞多数・『老婦人と鳩』という作品は製作になんと7年も費やしたそう。それを聞いただけでも並々ならぬ才能と作家魂を感じるではありませんか。・・始めは確かにギョッとしますよね(笑)でも最高にキッチュなこの感覚◎『僕の伯父さん』という映画をご存知ですか?この監督ジャック・タチの感覚を思い起こしたのです。フランス人のユーモア感覚のひとつかな^^私はこのセンスが昔から大ッ好きで、つまりもうツボに入りまくり!(笑)嬉しくて可笑しくて堪らない。
マイマーの彼のなんて饒舌なこと!素晴らしい動き。表情。そして画のつくり方のユニークなこと!アニメから発想してるからなんですね。何もない真っ白のお部屋(マンガの1コマ)から外に出るとそこは建物の谷間にぽっかりある不思議な家。扉を出て“見えない(笑)”車に乗る。発進!弛んだ頬の動きが秀逸(笑)カフェに行くと双子の(爆)老レディがいる・ナンパするが振られる。どうも周りに気味悪がられているようだ・・。もうツボに入り続け。同じ牢屋に入れられたフツーの人が助けを呼ぶあたり、ここまでに溜まった笑いを発散させる場所ですね(笑)・・彼女とのパリの夜景のなかデート☆のシーンはロマンチック〜☆でも足は高速で動いてるし〜(><)よくぞ!こんなに楽しい映像を創ってくれました、という感じです。拍手喝さいです。フランスまで行って監督に抱きつきたい(落ち着け;;)・・そしてしっかり“愛”が浮き上がる。そう、フェイユイさんも“最もジュテーム”と仰るとおり。。。
私のランク分けは、特丸@とその下Aとその下B、の三つです。次の作品はランクB〜《16区から遠く離れて》フェイユイさんお選びになるのでは?と感じました。若い母親の哀しみが伝わりました。赤ちゃんのお父さんはいないのかな?・・
《ショワジー門》これって・・(^^:)すいません最初から最後まで目が点状態で(理解不能)。可愛い男の子は、いた^^鑑賞2回目以降はこの男の子だけしっかり観た(笑)ランクB
《ヴィクトワール広場》ウィレム・デフォー(好き^^)登場のシーンで感動。カウボーイが「・・会いたいか?」の問いにうんうんと頷く母の表情が堪らなかった(T_T)夜の冷たそうな石畳。悲しみを際立たせていましたね。ランクB

まだ続くのですが一旦切りますね。^^;
Posted by フラン at 2007年10月27日 12:26
『エッフェル塔』だったんですね!私も嬉しいです(笑)これかなーとも思ったんですがかなり変な作品なので言うのもためらった(笑)
そうなんですよー、ジャック・タチ思い出したんです。これ書いとかなきゃ、すみません書かせてもらいます^^;
あのとぼけた笑いはフランス的ですよね。

この作品、最初ぎょっとしたけど次第にほんわか最後にじーん。凄くいい映画でしたー。

ではでは続き楽しみにしてますねー。
Posted by フェイユイ at 2007年10月27日 13:32
巨大なコメント群で失礼しています。^^;
ランクA(特丸@以外の私の所謂お気に入り)について・・《モンソー公園》《お祭り広場》《ペールラシェーズ墓地》《デ・ザンファン・ルージュ地区》です。
《モンソー公園》ワンカットワンシーンの長回し☆にしびれました。昔のオムニバス『パリところどころ』にもワンカットワンシーンの作がありそれに対するオマージュとのこと。ニック・ノルディが怪しい(笑)。しゃれた台詞(脚本)。私は最初やくざとその情婦かと思いましたもの(爆)。駄目っぽいけどあったかいパパ、「・・お前はしっかりと自分で羽ばたいていったよ」等、とても子を持つ親として(^^:)胸に来ました・愛すべきダミ声が耳からはなれない^^
《お祭り広場》非常に完成度の高い作品。あの短い時間の中で回想;フラッシュバックという手法を使って二人の事情〜何故彼は倒れていて何故にコーヒーを頼むのか・・が明かされていく。そして美しい彼女の瞳に涙が浮かんだ・・。構成が素晴らしい。アイサ・マイガの美しさに打たれました。
《ペール・ラシェーズ墓地》珍しく英語。他愛無いお話みたいなんですが18のお話の中ではオアシスみたいに肩肘張らずに楽しめました。映画館ではルーファスがけつまづく^^;シーンで「☆ぎゃははっ」と笑ったコもいて可笑しさ倍増。ウェス・クレイブンはホラーの監督作多いみたいですが『パニックフライト』(キリアン主演なので観た◎)みてもそうですが非常に役者を生かす人。最後、急に夫がオスカー・ワイルド張りに格好よくなっちゃって(笑)しっかり抱き合いハッピーエンド、な〜んて今時ないからこそ時にはこんなのも新鮮ネ^^なんてほっこり致しました。
《デ・ザンファン・ルージュ地区》もしかしたら私の“隠れベスト”はこれかもしれません。観た後“またあのシーンに浸りたい浸りたい〜”とそれこそ麻薬のように脳裏に張り付きました。生理的に好き。あの売人のケン☆に私も惚れたようです。立ち込めるパリの夜のざわざわ感と気だるさ。コースターの裏に電話番号を書くマギーの手つき。ケンの眼差し。ATMの鏡に映る影・・・疾走感のあるキャメラが恋の刹那を実感させてくれました。

まだ感想はありますが、一旦。^^;;;

Posted by フラン at 2007年10月27日 14:36
実は私4回も観てるのに、《マレ地区》のラストでエリ(短髪^^)が急に走り出すあのシーン、あまりガスパール(長髪^^)を追いかけているようにみえなかった。。「何故にこのヒトは走ってるの?」^^;な〜んて感じてしまったのですが。。。
Posted by フラン at 2007年10月27日 15:11
フランさんのコメントでまたむむ!となりました。
『デ・ザンファン・ルージュ地区』ですかー。なるほどー。これもう一回見直してみます〜。
 
『マレ地区』だはは。そうなんですよねー。だから私は勘違いしてるのか?自分がスケベでイヤラシイ想像してるだけなのか?と考えてしまったのですが。
何の説明もないので彼がなぜ走ってるのかはわからないのですよ。でもまた観たらわかるのか?何かのオマージュ、ということもあるのでしょうか?

その辺も含め、また見直してみる必要ありそうです(笑)
Posted by フェイユイ at 2007年10月27日 17:43
見直すにも5分だと手軽でイイ!(^^)。《マレ地区》と《14区》は勿論「ランクA;お気に入り」です。ガスパールがあんなにくどく割にはスラッと帰っちゃうし(短編だからしょうがナイカ^^;)エリはエリで走り方観てると探してる風もナイ?。。ガス監督、実はただただ走っているシーン撮りたかっただけか?(^^;)なんて想像力のないこと考えちゃいました(笑)この作品、ギャスパーがひとりで3分間位しゃべり続ける〜(++)ひたすらアップで!もう〜惚れ惚れ!前髪ピンで留めたげたいけど(笑)彼は声も低くてセクシーですね◎
ついでといっては何ですが、ランクBの中でもいいものあって、第1話の《モンマルトル》も地味ですが始まりに相応しい〜^^て思います。あの謎の糖分不足の女性^^;綺麗だな〜。歳を重ねてあんな雰囲気の女性になれたらどんなにいいか☆なんて甘美なフレンチの響きを聞きながら思ったものです。
Posted by フラン at 2007年10月27日 20:41
あの前髪はサント監督の好みなのでしょうなー。目が見えないよー(笑)

レンタルなので返さねばならないのですができるだけしつこく見直してみます〜(笑)
Posted by フェイユイ at 2007年10月28日 12:29
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