映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年10月30日

『THE ROOM 閉ざされた森』サイモン・ライリー

ザ・ルーム.jpg
『THE LIVING AND THE DEAD 』

これってあんまり観てる人いないようだ。日本人的には知ってる役者でもないだろうし、美形というのも出て来ないので無理もないかもしれない。

かつては栄華を誇っただろうが今は荒廃し閑散とした広大な屋敷に3人の家族が住んでいる。
家の主人が出張しなければならなくなり精神を病んだ息子と寝たきりの妻を二人きりには出来ず看護師を頼んだ。
だが息子ジェームズはそれが許せなかった。

最初はジェームズが母親の愛を独り占めにしたいのか、とも思えたが、むしろ母の看病をうまくやることで父親に褒められ信じてもらいたいという欲求がそうさせたのだとわかる。
普通の人になりたいと願うジェームズが決められた薬を服用しなかったために精神状態が次第に悪化していく。
重病の母親の看病はジェームズには難しすぎた。うまくやれないことで彼は苛立ち母親を危険な状態に追い詰めていく。

一つの物語の中に時間を越えた物語と想像の中の世界が交錯していくために複雑な構成になっている。
またジェームズの荒廃していく精神状態を観ているのが辛いほどなのだがその捉え方は非常に淡々として冷静という映像なのである。
狂気によって愛し合っているはずの家族が破壊されていくのは怖ろしい光景だ。
ここではジェームズの狂気がはっきりとわかる様子で描かれているのだが報道される殺人事件で狂気によるものというのはこういった抑制の効かない状況の結果なのか、とも思えた。

やがて父親の精神も異常を来たし、ジェームズの狂気の因子が知的な父親の中にあったことがわかる。

仲良く3人家族で映った写真が悲しい。

この作品を観たなら多くの人が嫌悪感を抱いてしまうのではないか。それは本当なら隠しておきたい事実がさらけ出されているからだ。
家族の中に精神の病んだ者がいる、父親はその息子を暴力(あまり酷いものではないにしても)で抑えている。屋敷は荒れ果て、無意味に広すぎる。
そうした物語も美しい人気役者と美的な表現で芸術的に見せることも出来たはずだがこの作品はそういった虚飾を捨ててしまった。

ジェームズの狂気は目を覆いたくなるような惨たらしさがあり、寝たきりの母親も拒みながら老いた体をさらけ出したり、介護が遅れて我慢が出来ずベッドでもらしてしまったり、手術さえもグロテスクに思える。
憐れな家族はついに救われる事はないのだ。
迷路のように入り組み暗く荒れた屋敷が精神を表したようであった。

監督・脚本:サイモン・ラムリー 出演:レオ・ビル ロジャー・ロイド・バック ケイト・フェイ ニール・コンリッチ サラ ボール
2007年イギリス


posted by フェイユイ at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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