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2007年11月04日

『ゾディアック』デビッド・フィンチャー

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殺人事件の後に奇怪な暗号文が新聞社に郵送されてくるという謎解きの面白さが次第にそれに取り付かれておかしな方向に流されていく男達(何故男ばかりなのか)の苦悩に変わっていくという笑いたくなるような悲しみを帯びた作品であった。

実際に起きた未解決事件を映像化した、ということで韓国映画『殺人の追憶』を引き合いに出されることも多かったようだが、私としては観てる間にそれを思い出すことはなく、すぐにカブって思い出したのはスピルバーグ監督の『未知との遭遇』だった。
主人公がUFOの光を見て取り付かれてしまい、頭に奇妙な山(デビルスタワー)のイメージが浮かんで消えず家に巨大なオブジェを作ってしまう。仕事を辞め妻子にも逃げられる。男はそれをつきとめるまでひたすら追い続けることを止めることができない、というあの話。
有名だから言ってしまうが(観てない人は飛ばして)アレでは取り付かれた主人公はとうとうUFOに乗ってあっちの世界へ行ってしまう。本作の主人公は自分の調査を本として出版することで地球に留まる事ができたようだが、同僚のポールはまさにUFOに連れ去られた如くである。気の毒なことであった。

観る前は「現実に起きた殺人事件を謎解き遊びにして怒られないのかな」という疑念もあったのだがこういう風に悲劇にアレンジすればそういった誹謗も起きないだろうし謎解き遊びもできるし、という巧いやり方であるなと感じ入りもした。
私自身はアガサ・クリスティ大好きの人間なので「さあ、殺人はおきたかしら?」というミステリを楽しむことにためらいはないが。というか多くの人が勿論大好きなはずではある。

さて真犯人はということで本作では容疑者であるリーがやはり怪しいのだということでまとめている。特にトースキー刑事たちが訪ねていった時にリー・アレン本人がは右利きだと言うのにも関わらず右腕に腕時計をしている。その腕時計が「ゾディアック」という銘柄だったことは別としても右利きが何故右腕に時計をしているのかを問わなかったところが「こいつが怪しい」という演出であったように思える。
だからと言ってそれが証拠というわけにもいかないだろうが。

観客は映画でしか(その当時を知っている人は別として)情報を得られないからナンとも言いがたいがいくら調べても(DNA鑑定も)「シロ」となったわけだし実際別に真犯人がいたりして、と思うことも可能なはずではある。

グレイスミスがうっかり連れ込まれたヴォーンという男の家での出来事は彼の思い込みかどうかわからないにしてもかなり心臓が縮まった。あの男はもうどうでもよくなったのか。筆跡はほぼ重なるということだったが。
地下室に誘われた時のグレイスミスの恐怖の顔はむしろおかしいほどだったけど。

主人公が気弱で何の権力もない男であり、仕事としてではなく(本人がどう主張したとしても)単なるのめり込みで事件を追い続けた、というのがとても同調して観やすいものになっている。グレイスミス役のジェイク・ギレンホールは大変似合っていて私としては『ブロークバックマウンテン』の時の彼よりこちらの方が好きだったりもする。とても可愛らしいオタク系漫画家ぶりであった。
それにしても主人公の苦悩の結果が本出版且つベストセラーというのはいかにもアメリカ的エンディングではある。

監督:デビッド・フィンチャー 出演:ジェイク・ギレンホール マーク・ラファロ ロバート・ダウニー・Jr アンソニー・エドワーズ ブライアン・コックス
2006年アメリカ


ラベル:犯罪 人生
posted by フェイユイ at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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