映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年11月09日

『花様年華』王家衛

花様年華y.jpg
In the Mood for Love

やはりどうしても好きなのだ。この光と影はどういうものなんだろうか。

王家衛・杜可風・張叔平の魔力にとりつかれてしまったらもう逃れられない。
アパートの部屋、薄暗い路地、ぼんやりと見える思い出の中の一場面。夢なのか本当にあったことなのか、今から起こる事の練習をしている二人。
初めはすれ違うだけ、いつの間にか糸が絡み合ってしまった。

互いに結婚している男と女。彼らの伴侶が不倫関係にあると知って自分達も、と思いながら二人は一線を越える事ができない。
女は夫の不倫を思って泣き、恋する男との別れを思って泣く。男にはどうすることもできない。

多分同じ物語を別の監督が撮っているのなら全く観ないのではないか。ここで観ているのは単なる過程ではなく大人であるはずの二人の危うさ、心の揺れ、二人で過ごす甘く切ない時の流れである。
やがて訪れる別れの苦しさが言葉としての説明ではなく幻灯で映し出されたような画面で感じ取っていくのだ。
離れてしまった二人が再び同じ時に同じ場所に戻ったのに運命は二人をすれ違うように仕組んだ。
男は遠い国の遺跡の柱に穴を見つけそこに想いを封じ込める。

登場するたびに違うチャイナドレスを着たマギー・チャンの美しさに見惚れ、トニー・レオンの悲しげな眼差しを見つめる。
画面には二人だけが映し出され互いの伴侶の姿は出てこないのが二人を余計印象づける。
二組の夫婦はあるアパートの隣同士に越してきたのだ。互いの伴侶のいない間に女は男の部屋に入り込むが大家たちが帰宅して徹夜マージャンを始め出られなくなる。
仕事を休み部屋に隠れ男が買ってきた食事をとる。それでもふたりがそれ以上の関係になることはなくただ一緒にいたいと思うだけなのだ。

解説で王家衛が「香港の役者はいつまでも子供の役をしたがるのだが、ここでは成熟した大人を演じてくれた」と言っているのだが、私にはむしろ王家衛こそ子供のような感覚なのではないかと思ってしまう。肉体関係を持たないから、というだけではないのだが二人の愛し方はまるで純粋な少年と少女のように思えるのだ。
それは大好きな『ブエノスアイレス』でも『欲望の翼』でも感じたことだが登場する役者たちはもう子供と言う年齢ではないのにいつまでも青い魂を持ったままのように見えるのだ。
それは悪いことではなく、私にはとても貴重な美しいものに思える。
そういう透明な感覚は他ではそう出会えるものではない。変わらないで欲しいと願うばかりだ。
マギーのチャイナドレスは肉感的というよりむしろ清楚に見える。ほっそりしていつまでも観ていたい美しさだ。

トニー・レオンが借りたホテルの部屋の番号はもちろん「2046」だった。

監督/脚本:王家衛 撮影:杜可風 美術/編集/衣装:張叔平
出演:梁朝偉、張曼玉 、藩迪華 、雷震
2000年香港


posted by フェイユイ at 23:12| Comment(2) | TrackBack(0) | 香港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この映画の世界が好きです。
音楽もファッションも美術も
大好きな作品の一本です。


不二子
Posted by 不二子 at 2007年11月11日 23:18
こんばんは、不二子さん。
私もカーウァイ世界が好きでたまらなファンの一人です。
いただいたコメントと同じくらいの時間で今夜は『2046』書きました(笑)
これもいいですねー。
Posted by フェイユイ at 2007年11月11日 23:34
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