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2007年11月23日

『サイコ』ヒッチコック版とガス・ヴァン・サント版を観比べる・その2

しつこいけど昨日の続き。といっても最後のほんの僅かだが。

ヒッチ版では子供部屋にあったレコードが『エロイカ(英雄)』だったのにサント版ではジョージ・ジョーンズ『The world needs a melody』になっている。監督の趣味がはいっているのかもしれないがカントリー・ミュージックの歌手で麻薬とアルコール中毒に溺れ精神的苦悩を味わった人であるようだ。子供部屋にあるレコードじゃないのかもしれない。

ライラが老女の正体を見た時、女装したノーマンがあのテーマ曲と共に入ってくる。襲い掛かるノーマンを押さえ込むサム。
ヒッチ版ではこの時のノーマンの表情が歪んでいて非常に怖い。
サント版はノーマンが大きすぎてサムの方が小柄なので抑えきれない。サムの手を逃れたノーマンをライラが蹴り飛ばすのだ。女性が強くなった事が判る。

最後のノーマンの謎解きの場面。ヒッチ版は説明をする医者が妙に気取っているように見える、というのは私の思い込みかもしれないが、何さか気に触る。サント版は普通に観れる。
ノーマンに警官が毛布を持っていく場面。ヒッチ版は戸口を開けてすぐ出てくるのだが、サント版では中に入って椅子に座ったノーマンに渡すシーンまである。どういう違いなのかよく判らない。

最後の最後。沼から車を引き出すシーン。ヒッチ版は車の御尻が出てきたところでEND。すっきりした感じがする。サント版は車がすっかり引き上げられ周りを警官がうろうろするのがタイトルロールのバックで流れる。

以上、まあ適当にヒッチコック版とサント版の違いを並べてみました。本当の違いは台詞にあるようで確かに時代が移れば古めかしい言葉遣いになってしまうから随分と違うだろうけど、その辺は私には判らないので省略した。

サント版も悪くないよ、と言いたくて始めたのだが結果ヒッチコックの大賛辞になってしまった。
しかたないかもしれない。
サントは自分の好きな映画をとり続けている人だと思うのだが、この映画もまた彼が大好きなものなのだろう。
メイキングを見ていてもいかにも楽しそうである。
古いものは廃れてしまうもので新しい人にこの名作を味わってもらう為にはその時代にあった作品を作らなければいけないという理屈もあるのだが、それ以上に監督自身が作りたくてしょうがなかったのではないか。
しかし同じ内容を何度も繰り返し観たのにこんなに飽きの来ない映画もそうないのかもしれない。楽しい体験だった。


ラベル:サスペンス
posted by フェイユイ at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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