映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年11月29日

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』ジョン・キャメロン・ミッチェル

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Hedwig and the Angry Inch

とにかく大好きなんだけどこれはどう書けばいいのか。この素晴らしさは観なきゃ絶対判らないし、観て音楽を聞いて胸が張り裂けそうな気持ちになってベッドにもぐりこみたくなる。好きな人がいるなら一緒に重なって。

ヘドウィグはトウが立ってると言っていいのかもしれないし、若い恋人トミーと一緒だと照明の具合では殆どお化けみたいな顔になってしまうんだけど、それでもやっぱり可愛くてしょうがない。
重力のせいでたるんでしわがよっててもそれをはっきり見せてしまうところが悲しく切ない。
東ドイツで生まれて(懐かしい響きの国)アメリカの音楽がずっと好きだった小さなハンセル=ヘドウィグ。
アメリカ黒人兵に結婚を迫られアメリカへ行こうと誘われるがその代償は男性器を失うことだった。

幸せを手に入れるためには何かを失わなければならない。よく言われることだけどハンセルにとってそれは男性でなくなること。
そしてハンセルは母の名をもらってヘドウィグとなる。

しかしアメリカへ渡って間もなく彼は新しい“恋人”と出て行ってしまう。
ヘドウィグは新しい世界に投げ出され何とか糊口をつなぎながら、再び「自分の片割れ」を探し始める。

だがヘドウィグのなくなったはずの“モノ”は手術の失敗でわずか1インチ残っていたのだ。それがタイトルの『アングリーインチ』
ヘドウィグはロックに自分の怒りを込めてぶつける。

愛のために生きているようなヘドウィグ。恋人だったトミーの後を追いかけるように移動しながら歌い続けるヘドウィグだが、大きなコンサート会場で歌うトミーと違い彼女のバンドが歌うのはいつも小さな店の何人かの一般の客の前。なんてミジメで悲しいんだろ。でもヘドウィグはいつでも魂を込めて歌うのだ。

ヘドウィグであるジョン・キャメロン・ミッチェルって不思議だ。そんなに整った顔ではないかもしれないけど、観てると凄く可愛くていい顔に見えてくるし時々はっとするほど美しくも感じる。
化粧した顔も綺麗だけど米兵に見初められた時みたいな素顔も魅力的なのだ。ちょっといかれた感じのする大きなくぼんだ目は本当に素敵である。
本作でとても好きなというか気になるキャラはヘドウィグの現・夫バンド仲間で彼女とは逆の男になった女性である。
他の多くのゲイムービーと違い男性の姿になった女性がここまで描かれているのは珍しいことなんじゃないか。夫として登場する、というのも面白いし。ヘドウィグとしては自分の片割れなら男装した女性なのかなと考えたのだろう。

恋人トミー役のマイケル・ピットは『ラストデイズ』の時にも書いたけど甘い顔が好きじゃなくて覚えてなかった(すみません^^;)
ここでは特にヘドウィグに酷い仕打ちをする役なので余計むっとしてしまうのだが最後に裸になってヘドウィグに歌うところは感動的だった。

一つ一つの歌がヘドウィグの心を表していて揺さぶられる。歌えなくったって思わず一緒に歌ってしまいたくなる。
おかしくて悲しくて楽しくて切なくて泣けてくる。
最後のシーン、薄暗い路地をヘドウィグもといハンセルが裸、素足で歩いて行くシーンは彼の通ってきたこれまでの道のようだ。
水溜りも越えて彼は人々が行きかう大通りへと出て歩き続ける。彼そのままの姿で。

監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル 出演:ジョン・キャメロン・ミッチェル スティーブン・トラスク ミリアム・ショア マイケル・ピット セオドア・リスチンスキー ロブ・キャンベル
2001年アメリカ

ところで全然関係ないんだけどジョン・キャメロン・ミッチェルと高虎ってなんか似てない?
John_Cameron_Mitchell.jpgガオフー.jpg
私の好きな顔っていうだけなのか?


ラベル:同性愛
posted by フェイユイ at 23:11| Comment(6) | TrackBack(1) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
深い愛のあるコメントですね。多分私とフェイユイさんの感じ方が一番遠い部分となる映画かもしれません。『パリジュテ』で私が“デザンファンルージュ地区”を生理的に好きというのをフェイユイさんがピンと来なかったのと恐らく一緒です。私はどうも全体的にジョン・キャメロン・ミッチェルが苦手なのです、すいません。。でもファンが多いです〜彼。山本耕史の舞台でも(雰囲気は勿論違いますが)この作品の主張その他に共鳴する人はとても多かった。・・どうも私は駄目で(たぶんカワリモノ)。多分ジョン氏の“性を全面的に出す”主張が苦手なのかも(『ショートバス』しかり)です。ヘドウィグのお化粧も毒々しく見えてしまった(ジョン氏素顔はナチュラルでずっと素敵)。ヘドウィグは敢えてそんな効果を狙っていたのでしょうか。でも劇中♪“ウィッキドリトルタウン”時のヘドは鬘もお化粧も唯一可愛くて恋の始まるときめき感に溢れいじらしくて綺麗で。この曲とシーンもロマンチックで好きなのです。あと確かトミーと初めてキスをする、洗濯物の流れの中を泳ぐように進む二人のシーンのセンスには唸りましたし、イラストレーションが泣かせますし。。舞台から全部やって来た訳で、その才能たるやすごいものがありますよね。
山本耕史も舞台では自分の全てを出し切るよう頑張った☆そうで、来年四月からヘド再演が決定しています。勿論☆行くんだな〜これが・・(笑)^^;
Posted by フラン at 2007年11月30日 08:25
フランさんのコメントでまた色々考えてしまいましたよ。
嫌いだったのはミッチェルの顔だけじゃなかったんですね。そう思い込んでました(ごめんなさい早とちりで)
でも変わり者ということはないと思いますよー。他の批評を読むと賛否両論という感じがしました。音楽やなんかに強く共鳴してしまう人と逆にそう思わない人はいるみたいです。

私はこの映画があんまり好きすぎて「感想っていっても、楽しい!好き!っていうだけで何を書いていいのか」って感じでした。
フランさんが苦手だと言われたことでもっと深く考えるべき作品のように思えてきました。
うまくまとめ切れるか判りませんがもう一度書いてみようかな、と思っています。
よく考えてると何故自分がこれが好きなのかうまく説明できない気がしてきました(笑)音楽にだまされてるだけかも?もう一度考えてみよう。(実はちょっと疑問の部分もあるのです、その辺も思い切って書いてみようか)

でもそんな風にドラマ自体に疑問を持っているのに(いくら好きな人が出てるからといって!)また観劇に行くのはどこかフランさんも惹かれるものがあるってことはないのでしょうか?(笑)(←失礼なツッコミすみません)
Posted by フェイユイ at 2007年11月30日 12:53
ヘドウィグアンドアングリーインチという作品は、音楽も素晴らしさの大きな要因の一つ◎自分は山本耕史の唄の旨さと声がとても好きだし。ステージはまた別物なのです。全編英語で唄う。耕史があの凄い鬘とサガリ眉のお化粧するのは抵抗大;;ですが(笑)、何しろ本人入魂の舞台ですし、バンドをバックにライブの高揚感は堪らない。最後に耕史がトミーの格好に変身♪ウィッキドリトルタウンをトミーが唄う形なのでおぼこい(笑)感じを出してたり・・最後の♪ミッドナイトレディオは耕史の素晴らしい声量で歌い上げる。最後だけでなく全部の音楽が良いです。これはスティーブン・トラスクの力であり、物語性と演出(主張)はジョン氏の力であり、それを自分の物にしたのは耕史の実力と思っています。嬉しいです。。だから耕史ファンでない人が観劇したらどう評価されるのかな〜というのは気になるところではあります。
つまり音楽面はもともと優れているところへ持ってきて最愛の役者が唄うから惹かれる、と。単純だな〜(笑)
フエイユイさんの疑問も気になりますぅ(笑)
『ヘドウィグ〜』はアクが強いから☆好き嫌いが当然分かれるのでしょうね。
ところで(長くて便乗話題でしつこいのですがヒトコトだけ云いたくて^^;)クリスチャン・スレーターの『忘れられない人』(1993)観たのですが、スレーター24歳位で大分がっちりして来た時期なのに瞳はあのアドソと変わっていない〜〜!!(涙)またこの作品の役柄というのが天使のような役でしてプライベートの素行問題多いイメージ(笑)と全然違い、すごくピュア・・アドソなのです〜(胸キュン←死語^^;)不思議なスレーターに今魅せられています。気にしないで下さい・すいません(笑)
Posted by フラン at 2007年11月30日 16:11
これはもともとが舞台なのですから勿論舞台のほうが「よさ」が出るのは当然なのでしょうねー。しかし山本耕史さんがそんなに歌がうまいとは知りませんでした。うまくなければやれないでしょうが(笑)いつかDVDなんかになって観れたら、と思います。

私の疑問はヘドより夫の男装女性の描き方なんですがでもやっぱりどうなんだろう。とにかくもう一度観てみます^^;

クリスチャン、そうですか。可愛かったですかー^^;
お騒がせ俳優とも言われてるみたいですね。あまり意識してませんでした。
しかしそんなに問題ありでも瞳はピュア。うーむやっぱ、役者って凄いです。
私が観た『トゥルー・ロマンス』はいい男って感じだったと覚えてるんですが。
Posted by フェイユイ at 2007年11月30日 16:55
フェイユイさま、こんにちは。
私もこの映画、大・好きです!レンタルですが何度も観ましたし、サントラもリピートして聴いておりました。
トリビュートアルバムも買ってしまいました。。
もう、JCMラブです私は!!
フェイユイさまは初見でいらしたのでしょうか?
舞台を山本くんが・・というのは私もどうなんだろう?と思っていましたが、↑のフランさまの熱いコメントで納得です。
JCMは「俳優は卒業した」と言っているのですが、また演じる彼も観たいですよね。
ではでは、またお伺いします〜。
Posted by 真紅 at 2007年11月30日 20:01
初めて観たのはいつだったかちょっと忘れてしまいました(笑)ブログに書いてないようですから多分その前ですね。一目見てノックダウンでしたー。私もDVD+CDという豪華版を買ってしまったのですよ(笑)
舞台は観る機会がないので残念ですがアメリカでも多くの人がヘドウィグをやってるみたいで、色んなヘドウィグを楽しめるのでしょうねー。
ミッチェルは俳優卒業なんて言ったんですか?えーん、悲しいです。
またやって欲しいです。

今日また記事を書いたのでTBそちらでさせていただきました。いつもありがとうございます!!
Posted by フェイユイ at 2007年11月30日 23:54
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この愛、観るべし!〜『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』
Excerpt:  公開当時からとても気になってはいた映画なのだけれど、ポスターのあまりにも 強烈なビジュアルに引いてしまい、未見だった本作。しかし、こ、これは・・・。 素・晴・ら・し・...
Weblog: 真紅のthinkingdays
Tracked: 2007-11-30 19:53
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