映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年12月10日

『レイクサイド マーダーケース 』青山真治

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『ユリイカ』でミステリーの部分が非常に面白く印象的だったのだが、やはりこれもなかなか面白い出来栄えだった。
画面が思い切りテレビみたいなのと台詞をつっかえてもそのまま通してるのが舞台みたいである。
配役もなんだかテレビでお馴染みさんという感じの面々である。薬師丸ひろ子は『wの悲劇』を思い起こさせたり、 鶴見辰吾・杉田かおる 夫婦はかつてのドラマを思い出させたりするのだろう(どちらも観てないので想像である)白面といった感じの豊川悦司がいかにも胡散臭げに見えて騙されてしまう。役所広司はいつもどおりの自然なうまい演技であるがなんと言っても今回の見所は柄本明なのだろう。ぼーっとしてちっともやる気のないイメージの彼だが(失礼)ここでは頭の回転が早く行動的・積極的なリーダー格となっていて目を見張る。彼の前だとさすがの役所さんも小さく見えてしまうようで見惚れてしまった。

多分さほどの予算はかけずに作られた映像なのだろう。どこか外国のチープな作りだが中味は結構面白い、というドラマを観ているような感覚だった。
「お受験」という設定は一般には感情移入しやすいものなのだろうか?私にとってはSF的な想像力を働かせないとなかなか理解しがたい。それ自体がまさに謎である。まさしく役所=並木の気持ちで観てしまう。
そういった現代の異常な問題を題材にしているが一軒の別荘を舞台として一つのミステリー劇を繰り広げる様子はアガサ・クリスティを思わせる雰囲気でクラシックなミステリーが好きな自分としては思う存分楽しませていただいた。いわば『そして誰もいなくなった』と『オリエント急行殺人事件』を足して2で割ったというところだろうか。

役所氏が愛人の登場に狼狽している内に事態が二転三転していく。役所氏も大いに頭を働かせるが最後は柄本さんがいつのまにやらライターを愛人と共に沈めたということでもし見つかっても役所氏に疑いがかけられるという周到さである。すべては我が子のためなのだ。

役所さんは『ユリイカ』では咳をしっぱなしでここでは光に弱いといういつも虚弱な設定である。それぞれ意味はあるのだろうけどちょっとまだ判らない。
突然消えた煙草の吸殻の謎もわからない。

一人の人間の死が次第にどうでもいいものになってしまっていく。
まともなはずだった並木も最後には愛人さんの死を忘れて踏ん切りをつけてしまっている。

面白い原作脚本と優れた俳優陣でもって低予算でもこうも面白いドラマが作られるといういい見本である。
青山真治監督のミステリー映画、また是非観たいものである。

監督:青山真治 出演:役所広司 薬師丸ひろ子 柄本明 鶴見辰吾 杉田かおる 豊川悦司
2005年日本


ラベル:ミステリー
posted by フェイユイ at 23:52| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この作品は、原作が東野圭吾ですね。映画というより、TVのサスペンスドラマという感じがしました。特に、最後に死体が湖に沈むシーンとか。

豊川悦司がクールで、不気味なんですが、最後で熱弁を奮ったりと、真面目すぎる演技がギャグのように見えます。黒沢清の『LOFT』でも、そうでしたけど。

私は、どうしても黒沢清との関係で見てしまうので、『レイクサイド・マーダーケース』の前に、黒沢清の『ドッペンゲルガー』があって、その後に『LOFT』があるなあ〜と思ってしまいます。

役所広司が青山作品に出るのは二度目ですが、『ドッペンゲルガー』に柄本明と出ているんで、そっちの影響かな?と思っています。


この映画は、殺人の動機を説明しないので、驚きました(斬新?)。あと完全犯罪が成立したというオチでしょうか?
Posted by おおくぼ at 2007年12月11日 22:19
青山真治を観る為にはどうしても黒沢を観ないと駄目みたいですね(笑)
ほとぼりがさめたのでまた黒沢も観てみようかなと思っています。

完全犯罪の形を取りながらもしかしたらもあるよ、という思わせぶりもありますね。

青山真治さんというのは幾つか観てきて物凄く生真面目な人だと感じます。
現在起きている問題と懸命に取り組んでいくという姿勢があるし、出す答えも真剣なんですよね。
意外とそういう人は希少なのではないでしょうか。
Posted by フェイユイ at 2007年12月11日 23:03
青山真治は生真面目だと思います。黒沢清とは違うんだと思います。黒沢清はギャグの人なんです。

青山真治は、映画を作ると、ドキュメンタリーの方向に行ってしまう性質がある気がします。黒沢清の『対談集』に掲載されている青山真治との対談を読むと、その性質の違いがよくわかります。映画史的な素養は共通するんですけど。

あと青山真治の鼎談集に、こんなのがあります。

http://www.amazon.co.jp/%E9%9D%92%E5%B1%B1%E7%9C%9F%E6%B2%BB%E3%81%A8%E9%98%BF%E9%83%A8%E5%92%8C%E9%87%8D%E3%81%A8%E4%B8%AD%E5%8E%9F%E6%98%8C%E4%B9%9F%E3%81%AE%E3%82%B7%E3%83%8D%E3%82%B3%E3%83%B3-%E9%9D%92%E5%B1%B1-%E7%9C%9F%E6%B2%BB/dp/4898151329/ref=sr_1_2/249-9773346-9376319?ie=UTF8&s=books&qid=1197387131&sr=8-2
Posted by おおくぼ at 2007年12月12日 00:38
日本映画で凄く面白い映画を作ってくれる監督たちがいてうれしい状況です。
他には塚本晋也とか三池崇史とか。
でもまだ知らないでいる監督もいそうな気がします(笑)
Posted by フェイユイ at 2007年12月12日 15:09
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