映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年01月23日

ヒース・レジャーを偲びながら『ブラザーズグリム』

ブラザーズグリム.jpg

今朝方、突然にヒース・レジャーの訃報を知って信じていいのか、なんと言っていいのかまったく判らない。偽のニュースだったら、と願うばかりだ。
ヒースの映画は幾つか観ている。まだ年若い彼のことでそんなに多数の作品があるわけではないのが寂しい。手元に持っているDVDは『ブロークバック・マウンテン』と『ブラザーズグリム』
大概の人は『ブロークバック』を観なおすだろうが私にとって『ブラザーズグリム』はとても思い出深い作品なので今夜はこの映画でヒースを見つめることにした。

ヒースを初めて観たのも『BBM』ではなくこの作品である。
この映画の中のヒースはお伽話の世界に没頭し現実と夢がごちゃまぜになっているような純粋な青年。マット・デイモン演じる兄のウィルは彼を「魔法の豆」と呼んで馬鹿にしている。
『ブロークバックマウンテン』とは違い、明るいタッチのコメディでグリム兄弟をふざけ気味にパロディ化しているので軽く見られてしまう傾向もあるようなのだが、私は凄く好きなのだ。何度も見返しているがコントラストの強いお伽話にぴったりの色彩・映像とグリム童話と他の物語も取り入れながらのイメージの表現が不気味に愛らしくユニークで楽しめる。
そしてなにより心惹かれるのはグリム兄弟ふたりの個性と関係なのである。
マット・デイモンは他の映画とは随分違った印象になるほど兄ウィルを作り上げている。
もみあげのある金色の髪型も横着で傲慢な態度もこの役のために演出されたものだ。
一方、弟ジェイクのヒースはどうなんだろう。私はヒースの本性はどうだと言えるほど彼を観ていないのでジェイクがヒースとどう被るのか、まったく違うのかわからない。
ただ眼鏡をかけて内性的で兄を厭いながらもどこか頼り切っているヒース=ジェイクが可愛らしくてしょうがない。
長年追い求めていた童話研究の道を兄ウィルが無下にしようとした時彼は必死で抵抗する。そして秘密の森の案内をしてくれたアンジェリカの妹たちが行方不明になっているのを知って「アンジェリカきみはわかっているよね、すべてが現実におこっていることを。僕たちは物語を生きている。ハッピーエンドにしよう」と訴える。この言葉は偶然ではあるとはいえヒースその人の言葉のように感じて悲しくなってしまう。そしてウィルが追いかけていくのを振り切るようにして馬で駆けていってしまうのが酷く辛く見えてしまったのだ。

彼の死の原因というのはまだ判らない。報道では睡眠薬を大量に服用したのか、とも書かれている。
彼が現実に起きていることに何か耐え切らないものがあって夢の中に入り込んでしまいたくなったのか。
それはわからないことだけれど。

『ブラザースグリム』は他愛もないお伽話のパロディを遊び心たっぷりに作ったものだけど、その中で動いているグリム兄弟はどちらも素晴らしい。
特にヒースの表情や仕草をずっと追い続けて観ているとこの映画の中でなんという魅力的なキャラクターなのだろう、と感心せずにはいられない。
兄のおしゃべりにぴっと立てる指だとか、おどおどした様子だとか、塔の女王に言い寄られて恍惚となる表情、アンジェリカにキスされて嬉しそうにする場面だとかの一つ一つに見入ってしまう。

彼のようなタイプの人はこれからもっと、年を重ねるほど味わいのある演技者になっていったはずなのに。
なぜこうも早く遠い国へと旅立ってしまったのか。

心の中でまだ嘘であったらと思いながら、お別れの言葉を言わねばならないのは辛すぎる。訂正文を書ければ、と願いつつ。
ご冥福を祈ります。

ヒースとマット3.jpg



posted by フェイユイ at 22:57| Comment(6) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フィイユイさんにすぐ、いろいろお話したいのですが★駄目ですまだ・まだ・まだ・レビューを読んでヒースを思い浮かべると・・涙が滲んできちゃって。先週訃報のレンフロの作品も辛くて再鑑賞はまだ出来ないとへたっていた矢先。。『ブロークバック・・』を生鑑賞なんて当分出来ないと思います。せいぜいブロガーさん宅でレビューに感想を入れさせて貰う態勢でしか・・
ヒースは、“からだ”“存在そのもの”がすごく綺麗な人だった。手も綺麗だしお顔は勿論、すらっとした姿態のたおやかさ、金髪、そして表情・瞳の美しさ、声、存在感・・マットと共演したこの作品レビューをお読みして自分で思い返した時思ったのは、ヒースの繊細な演技。ものすごく繊細な感性の役者だった。しかしそれを支えきれる程の“生命的な強さ”だけが、足りなかったのだと。恐らくマットには底から湧きあがるようなエネルギーがあるような気がする。『戦火の勇気』で15キロ位も減量して死に掛けてもおまけにあの演技は精神的にもハードだったと思うのにしかし、けろっとしているタフさ、そこには身体(からだ)だけではない精神(こころ)の強さを感じる。この『グリム』で二人が並んだ時、マットが油彩でありヒースは水彩であると、感じました。
ヒースはこころ優しい人であった。だからどこかいつも“寂しげ”であった。私が『BBM』で彼に惚れた瞬間というのがあるのですが“ものを食べる”(焚火の傍でもぐもぐ食べている&店で侘しく一人で食べている)シーン。本当になにか“いたいけ”で・・・
胸が詰まります。思い出すと本当に、駄目です。ハチャメチャで考えが纏まりません。まだまだ時間が必要です。いずれ落ち着いたらばまた、コメントさせて下さいね。。。。。。
Posted by フラン at 2008年01月24日 09:24
すぐ返事を書きたかったけどフランさんの文を読んでいるとなんと答えていいかわからなくて・・・。すぐに彼の映画が観れないという気持ちよく判ります。私自身は彼のことを好きと思いながら観れるものをまだ観てなかったことがふがいなくて今から観つづけてみようと思っています。今更ながらちゃんと観ていなかったことを悔やんでいます。
『ブラザーズグリム』のような楽しい映画の中でさえヒースの存在は危うげで繊細なイメージでした。
フランさんの気持ちが少し落ち着いたらまたコメントくださいね。
Posted by フェイユイ at 2008年01月24日 16:24
お返事ありがとうございます(T_T)朝コメントした後、落ち着いたわけではないのですが手元の『ブロークバックマウンテン』特典「メイキング」「乗馬の撮影」だけ観ました。“フィルムの外に居る”ヒースの姿がみたかったから。。。
今迄捜したけど『恋におちたシェイクスピア』がみつからず未見です。この作品では若々しいヒースが唄を披露しているらしいです(T_T)。『ロードオブドックタウン』は正直好みでなく(ハンディカメラ多用;)途中でみるのを止めました。『ブラザーズグリム』『サハラ・』『悪霊喰』『ロックユー!』はご一緒に鑑賞しましたね(T_T)『ブロークバック・』は言わずもがな・・・(涙)今現在の心境で一番気になっているのは『キャンディ』と『チョコレート』なのです。翻ればこの二つとも“死”がテーマ。。『キャンディ』は昨年観にいった私の感想としてはラストの先が・・ネタバレだから一切触れないことにしますね。『チョコレート』は非常にシビアな作品で、ダークで、、、しかしこの映画でのヒース、私はイニスの次に胸に来たのです。(哀)。。
Posted by フラン at 2008年01月24日 17:00
フランさんが少し元気が出たようで安心しました(最初のコメントの時はフランさんがどうにかなるのではないかと心配しました)
遅ればせながら『チョコレート』今夜観る予定です。感想記事は明日になるとおもいますが。
『恋に落ちたシェイクスピア』昨年10月に記事も書いてますが、ヒースが出ていたなんて?!私触れてませんよね。
これもDISCASでレンタルできると思います。
Posted by フェイユイ at 2008年01月24日 18:38
動揺しています、『恋のからさわぎ』でした。。
Posted by フラン at 2008年01月24日 19:42
判りました。シェイクスピアつながりですね!お洒落な間違いしますねー(笑)
これはDVDになっていないみたいですね。
中古ビデオなどを購入した方がいいのかもしれませんね。私も是非観たいです。
Posted by フェイユイ at 2008年01月25日 00:41
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