映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年01月27日

『パトリオット』ローランド・エメリッヒ

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The Patriot

こちらはヒース・レジャーその人のことから始めよう。
観る前に「メル・ギブソンの息子役」とだけ聞いていたのでほんの少しだけ出てきていなくなるような役割かなと思っていたら、殆どでだしから出ずっぱりの活躍だったのでヒース目的に観るにはかなり楽しめる映画となっている。
『ブロークバックマウンテン』『チョコレート』そしてこれと観てくるとこの3つはどれも父と息子の葛藤を描いている。が、本作ではメル・ギブソン演じる父親と対抗しているとはいえ心から愛されている長男としての反発なので見るからに甘えん坊で幸せそうな笑顔が見れるのだ。イメージとしてはオーストラリア男性というのは大柄で男気のある大らかな性格を想像してしまうのだが作品を見る限りヒース・レジャーは繊細で内気で無口という役が多いようだ。本作のガブリエルもそういったヒースのイメージどおりだが平和主義を求める父親に反抗してアメリカ独立戦争に志願する長男という役どころである。これが後の『サハラに舞う羽根』では戦争前に逃げ出してしまう役を演じているというのも面白い。
真面目で一途で心優しく愛する女性にも同じように情熱を傾ける青年ガブリエル。だが彼の最期もまた若くして逝ったヒースその人を思い起こさせて悲しい。
DVDにはヒースだけのフォトギャラリーも収録されていた。

さて次は主人公ベンジャミン・マーティン。7人の子供を持つ男やもめで過去の戦争で残虐な行為をした悔恨の思いを常に抱いているというメル・ギブソンお好みの「ヒーロー像」である。
これを観るとメル監督・主演の『ブレイブハート』を自然と思い出してしまうだろうが(愛する人を殺され英雄となって戦いぬく)私としてはメルは『マッドマックスシリーズ』の時からまったく同じヒーロー像を追い続けていると思っている。監督は違うのにどうしてこう同じ設定なのか不思議だが『マッドマックスシリーズ』の時も愛する妻子を殺されたメル・ギブソンが英雄となって凶悪な集団と熾烈な戦いを繰り広げる、というもので、実は私は『マッドマックス』=メル・ギブソンが大好きで死ぬほど繰り返し観たが、その時となんら変わらないメル・ギブソン・ヒーローなのだ。
冒頭ベンジャミン・マーティンが息子から軽蔑されても平和主義を押し通し、いかに彼が家族思いで戦争を毛嫌いしているかという説明が念入りにされる。アメリカ独立のためイングランドに立ち向かう、という大義を背負いたい長男ガブリエル=ヒース・レジャーは父親を蔑視しつつ入隊してしまう。愛する息子が戦争に向かったことに悲しみを抱きながらもベンジャミンは残りの子供たちと家を守り続ける。そこへガブリエルが重傷を負いながら伝令を持ったまま我が家へ逃げてくる。
だがどこへ出現したイギリスの卑劣な将校ダビントン大佐がガブリエルを捕らえて行こうとする。何もできないでいる父親に苛立った次男トーマスはまだ少年ながら兄を救おうとイギリス兵に体当たりする。無慈悲なダビントンは少年トーマスを撃ち殺した。
次男を殺され長男を連れ去られた父ベンジャミンはここで立ち上がる。かつて戦場での活躍を彷彿とさせるかのようにまだ子供の三男四男をひきつれ20人のイギリス兵を見事なまでに殺戮しガブリエルを救い出すのだ。
本当は平和主義の男が家族を殺された怒りで堪忍袋の緒が切れたということで戦争にいくのも仕方あるまいという(観客への)説得をこうも綿密に訴えてから華々しい戦闘シーンを繰り広げ、合間合間にいかにイギリス軍が(ダビントンがってことになるが)残虐無慈悲かを訴えてアメリカ軍を正当化していく。どちらにしたってネイティブから見たら侵略なんだろうけども。
本作ではメルは最初から奥さんが死んでるんだけど息子ガブリエルの妻が焼き殺されるという非業の死をダビントンに与えられることでまたもや復讐劇が容認される。作っているのは別人だがやっぱりメル・ギブソン俺のヒーローストーリーって一つのものだと確認させられてしまった。マックスは好きだったけど、年を取るとあーゆーうそっぱちではなく史実に基づいた重々しい英雄になりたいと思うのだろうな。

家族愛とヒーローというテーマを常に持っている(と思われる)メル・ギブソンはここでまさにそのテーマどおりの男を演じきってみせた。
アクションと家族愛とラブストーリーも織り交ぜた本作は3時間の長丁場でありながら退屈させない技術に満ちている。
それを秀作と呼ぶもいいが、私としては別の目線で捕らえた作品が観たいと願ってしまうのだ。

監督:ローランド・エメリッヒ 出演:メル・ギブソン ヒース・レジャー ジョエリー・リチャードソン ジェイソン・アイザックス クリス・クーパー チェッキー・カリョ ルネ・オーベルジョノワ リサ・ブレナー トム・ウィルキンソン レオン・リッピー アダム・ボールドウィン グレゴリー・スミス トレバ・モーガン
2000年アメリカ




posted by フェイユイ at 20:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この作品は・・実は私もともとメル・ギブスンが駄目で、ギブスンが主張する偽善的と思われる(ゴメンナサイ)テーマでまた駄目で。ですからどうしてもヒース作品として今迄、観る気が起きなかったのですが。フェイユイさんの評を拝見したら“観てもいいかな”という気になってはきました。ヒースが沢山登場とのことですので。。トップの写真いいですね。ヒースはどんな格好(コスチューム)しても素敵だなあ。見とれてしまう。昔風に云えば“ようすがいい”。勿論それだけではないし。
Posted by フラン at 2008年01月28日 17:12
上に書いた事の繰り返しになりますが、私も昔のメルは別として最近の彼の作品はまったく観ようと思えなくてこれもかなり観るのいやだったんですが(なにしろタイトルが『パトリオット=愛国心』)それにどーせヒースの出番わずかだろうし、とか。
それがメル父さんと一緒に出ずっぱりですし、若くて可愛いんです。パパに愛されてますしねー。とにかく作品自体は私の好みとしてもお勧めしませんが(でも結構みんな大絶賛ですよね、これ)ヒースはたっぷり観れます!!3時間近く!しかも特典フォトつき。
メルパートは早回しでもいいから是非見てくださいな。
Posted by フェイユイ at 2008年01月28日 18:17
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