映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年02月15日

『DEATH NOTE デスノート』金子修介

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『DEATH NOTE デスノート 』前編後編を続けて観た。原作はまったく読んでいないのでここから書く感想は映画のみのものだ。

話題になるだけあって大変面白い作品で一気に引き込まれて観てしまった(一晩一話ずつだが)細かく説明がされていて非常にクリアで判りやすい物語だった。
なんといっても面白いのは『デスノート』世界が非常に狭い範囲内で行われていることでそれはほぼ普通の高校生くらいの人間が頭の中で考える範囲内の出来事だということだ。
しかも商売のために自己投影する者が多い東京中心の範囲になっている。これが九州の田舎の青年が起こしたものなら当然観客は減ってしまうだろうから。自分が小さい頃から「この地球を征服する為にまずこの東京を攻めよう」というアレである。
キラがどこにいるかを見極める為にまず関東のみのTV放送をしてまさに東京の大学生がキラである、なんていうことになる。
キラの敵である警察がキラの父親という身内で固め、登場するのはテレビ局だとか、アイドルタレントだとか、オタクの高校生がTVで知る範囲内の駒しかない。アメリカだのFBIだのという言葉が出てきて世界がもっと広がるのかと思いきや、飾り的にバイトの外国人が登場するのみで実際の行動をとるのは日本人である。
オタク高校生では英語で考えるわけにもいかないし、世界観はTVドラマとアイドルとパソコンの中だけしかないのだからしょうがないよな、という展開なのである。
などと揚げ足をとっているようだが、無論それでいいのだ。
この映画はそういう者のために作られていてつまらなければ観なけりゃいいのだから(と言っては身も蓋もないが)世界がオタクの範囲内で近所しか出てこなくとも、登場人物がTVそのものでもそんなことはどうでもいいのである。
デスノートという企画が穴だらけで破綻ばかりでもまあいいのである。
そういう子供じみた世界ですらこの作品は観させてしまう力があった。
その一つはキャラクターでありもう一つは演じた役者たちである。
物語は善と悪との戦い、ということになるのだろうが主人公ライトは最初正義の味方として表れ、次第に悪の化身となってしまう。そしてその役割を真面目で優等生で警察上層部の息子が当たることになる。外見も温和な美貌を持っていて女性にもてる。
悪魔と化した彼を倒そうとするエルは逆に悪魔的な風貌である。ほぼオタクのイメージと重なる彼は顔色が悪く甘いものばかり食べて貧相な体をしてぼさぼさと髪が覆いかぶさっていて話し方も目つきも暗く人付き合いのできないタイプと見える。その彼の方が本当の正義の心を持っている、というのもオタクの本音というものなのか。
主人公・夜神月を演じた藤原竜也を観るだけでも充分に価値がある。舞台役者として素晴らしい彼はここでかなり舞台的に大げさな芝居をわざと演じているようでそれが異常な性格破綻者ライト=キラを表現するのにふさわしい。
また面白いのはではその反対のエルを演じるのが気持ち悪い役者か、というと今、最も人気のある若手男優の一人と思われる松山ケンイチで実は私も彼目的で観たのだが、一見悪魔で実は正義という屈折した男をこれ以上ないほどの危ない色っぽさで演じきっている。
キラ=ライトとエルが矢継ぎ早に会話を交わすシーンはまさに緊張が走っているのが伝わってきて怖いほどである。
無論、上手の藤原竜也が余裕と貫禄で勝っているのだが、松山ケンイチが負けまいと物凄い火花を散らしていくのにはぞくりとするものがあった。

次々と人が死に、主人公もそのライバルも若くして死んでしまう、というのも若者ならではの妄想である。
若い時期と言うのはどうしてこうも死を求めてしまうものなのか。
「悪」「善」「死」などという若いときだからこそ考える言葉がキーワードとなっている。じっくり考えてみるものだろう。
それでこそ若い時なのだと思う。

最大の不満を言えば、それにしてもこの物語の女性像というのがこうも古臭いというのはどういうことなのだろう。
男のために命を投げ出す女とか、嫉妬の固まりの女だとか、父思い、兄思いの優しい妹だとかいうどれもこれも型どおりの女というイメージなのである。
特に不幸を背負った運命のために男に身を投げ出す性的魅力をもった若い女という設定はぞっとするものを感じる。
キラという教祖に命を投げ出す哀れな女というキャラクター設定だが彼女をSM的に縛り上げて作品の中で性的な餌食にさせるなど日本の映画・マンガ作品というものの女性蔑視は相変わらずだなとうんざりする。これもオタクものだからこその表現なのだろうから、いい部分もあればげんなりする所もある、というそういう作品なのには違いない。
どちらにしてもオタク男的な幻想を満足させる作品に仕上がっているということなのだろう。

死神が人間臭い、というのが不思議なのである。自分のイメージ的には死神というのは何の感情もないものだと言う気がするのだが、かわいそうな少女に同情したり恋したり肩入れしたり、人間より温かい心を持っていたりする。最後の行動も死神ならではの行動というより突然思いついた気まぐれのようだ。
物語がその時その時でどんどん付け足されていくような展開なのでいきなり崩壊したラストのようにも思える。

監督:金子修介 出演:藤原竜也 松山ケンイチ 瀬戸朝香 香椎由宇 細川茂樹 戸田恵梨香 津川雅彦 藤村俊二 鹿賀丈史
[the Last name :片瀬那奈 マギー(ジョビジョバ) 上原さくら ]
2006年/日本


ラベル:松山ケンイチ
posted by フェイユイ at 01:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 松山ケンイチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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