映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年03月29日

『神童』さそうあきら

神童マンガ.jpg

映画『神童』が好きになってしまったので原作マンガを読んでみた。ほんとはもう少し読み込んでから書くべきなんだけど(私は斜め読みが酷いんで)あんまりよかったんで我慢できず少し書いてみる。

作者さそうあきら氏は以前『犬犬犬』の一巻を読んで物凄く印象深かったのにまだその後を読んでいないという状態である。
あのイメージが強烈だったので一体あの人がピアニストの話って?と混乱していたのだが、これがほんと面白くて切ない物語だったので余計に驚いた。

確かに原作を読んでから映画を観た方はおおいに不満が残るだろうと想像できる。
このマンガで訴えていることが映像化されていないのだ。
私は映画を先に観て感動した上でも、このマンガの方が何倍も奥が深いと感じられる。
特にうたが聴力を失くした後の話こそが重要なのに映画ではその部分が映像化されていないという原作を愛するひとなら信じられない話だろう。

さらに面白かったのはうたの母親像。映画では自己犠牲のうえでうたを育てていく美しい母親であったが、マンガの彼女はかなり戯画化されて滑稽な人物となっている。
私はこういう教育ママ(&パパ)に反感を持っているものなので母親に関しては絶対マンガの方に軍配を上げたい。
以前、五嶋みどりの教育を読んで絶対自分は弟の方がいいな、と思ってしまった記憶がある。
何もさせず楽器だけ弾かせて満足している母親、というのはどうも苦手だ。

横道にそれてしまったが、マンガだとうたのワオへの思い、ワオのうたへの思いがより繊細に描かれていて心地よい。

どうもマンガの方に評価が高くなってきっかけになった映画が気の毒だが、映画はまた映画なりのよさがあったと思う(ちょっと説得力ないか)

『犬犬犬』は『ドッグドッグドッグ』と読むのだが、文字から来るイメージとドッグドッグという音が心臓音を意味するというのに凄く惹かれた。その原作は花村萬月だけど。
この『神童』は「振動」にかかっているのだろうな。
うたとワオが音によって結ばれるラストは音のないマンガとは思えない。

映画は映画としてリアルな音と映像を楽しめばよいし、マンガからは音を越えた振動が伝わってくる。


posted by フェイユイ at 00:57| Comment(5) | TrackBack(2) | 松山ケンイチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
『神童』ネタには食い付いてしまいますが…私も映画の後漫画を読みました。
映画版とかなりキャラ設定が違うのでびっくりしましたが、漫画は漫画ですごく素敵で、ラストは号泣しました。紙面から音が流れ出て来るようでした。
映画『神童』のサントラかけながら読んでいたので感動も倍増。テーマ曲の“ripple song”が大好きなので買ったサントラでしたが、改めてサントラを聞くとあの映画が本当に素敵な音楽で溢れていたことに気付かされます。

因みに杰倫の『不能説的〜』、つい先日友人より大陸版をもらいましたが…中国語分からないので見るべきか悩んでいます…。日本公開を待つべきか…。
金庸崇拝者で中国語勉強中の妹は、杰倫関係には一切協力してくれません…(泣)
Posted by yukkiee at 2008年03月29日 15:01
 こんばんは。
 映画『神童』・・私は、原作を読んでたから物足りなかったのかな?神童の描かれ方や、物語の結末に。不思議なことに漫画なのに映画よりも音楽が満ち溢れているんですよね。
 
 しかし、ここで五嶋姉弟が出てくるとは思わなかったな〜。 あっ『神童』つながりですね。私もみどりさんより弟のほうがいいな。といっても五嶋龍だって、自分で指を折って弾けなくなりたいと思ったことがあるそうなので、才能があるって苦しいことなんだなと凡人は思ってしまいます。 実は、初めて松山ケンイチのインタビューを読んだときに、若いのに自分のこと俯瞰で語っているところが五嶋龍と似てるなと思ったんですよね。だから、ここで彼の名前が出てきたことにちょっと驚きました。
Posted by 梅 at 2008年03月29日 23:19
>yukkieeさん
サントラ私も欲しくなりました。

『不能説的・秘密』うーん、難しいですねー。私もあらすじ書いてますが読んでから観るのは勿体ないかなー。
妹さんを同時通訳として雇うしかありませんね(笑)
金庸崇拝者とは嬉しいですね。

>梅さん
うんうん。原作を読んでから映画を観た人は絶対がっかりすると私も思います。ある意味、映画を先に観てよかったです(笑)
五嶋龍さんについてはなんにも知りませんでした。みどりさんとお母さんの話を読んだだけなので。
そうなんですねー。なんだか急に興味湧いてきました。
一つの作品があってそれから連想されていくものにはやはり何かの関連があるのでは、と思いますねー。
Posted by フェイユイ at 2008年03月30日 00:30
TBありがとう。
僕も「神童」はマンガ派です。
さそうあきらの「犬犬犬」を映画化する勇気のある会社はあるか、が関心ごとです。
Posted by kimion20002000 at 2008年04月16日 22:22
コメントTBありがとうございます。
漫画を読むとさすがにマンガ派になってしまいます(笑)
でも映画は映画の甘ーいよさがあると^^;肩入れもしてますが。

『犬犬犬』映画化!期待しちゃいますねー。観るの怖いですが(笑)
Posted by フェイユイ at 2008年04月17日 00:17
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mini review 08281「神童」★★★★☆☆☆☆☆☆
Excerpt: 人気漫画家さそうあきらの同名傑作コミックを原作に、才能をもてあます天才ピアノ少女と、音大浪人生の心の交流をさわやかに描いた感動作。脚本は『リンダ リンダ リンダ』の向井康介、監督は『帰郷』の萩生田宏治..
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神童
Excerpt: 松山ケンイチと成海璃子が好演した映画の方から先に見て、そちらも好きだったのですが(レビューはコチラ)それは、主要部分とはいえ、原作の一部エピソード。 じつは、さそうあきらの、この原作は、1999..
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