映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年04月13日

『ユメ十夜』三夜

ユメ第四夜.jpgユメ代七夜.jpg

さて『ユメ十夜』の続きである。記事タイトルの「三夜」は私にとっての三夜である。

『第三夜』
監督:清水崇
出演:堀部圭亮 香椎由宇

夏目漱石『夢十夜』の中でも最も怪奇風味のある一編である。それだけに印象が強い。
いつしか盲目となってしまった我が子を背負っていくとその子供が子供とは思えぬ言葉遣いで疎ましくなり捨ててしまいたくなってしまう、というくだり自体が恐ろしい。
最もやりがいのある一編だったのではないだろうか。
怪奇ということで担当監督は清水崇。私は他は未見である。このただでさえ面白くゾクゾクとする物語を映画作者のアイディアを混ぜ込みながら恐ろしい映像を作り出した。
ただそれでも原作のなんともいえない恐怖感には届かないのはもうしょうがないことだろうか。

『第四夜』
監督:清水厚 脚本:猪爪慎一
出演:山本耕史 品川徹
この第四夜は10篇の中で正統性を守りながら最も改変した作品になっている。
物語がかなり飲み込みにくいので自分は一度目は雰囲気は好きながらもよく判らないでいた。今も完全に理解しているとは言いがたいのだが。ストーリー自体が原作と大きく違うのでそこから読み取るわけにもいかないのだ。

レトロな味わいで始まる為にうっかり騙されてしまうが、時代は明治ではなく昭和(30年代くらいだろうか)になっている。
田舎町のために時間がよく判らなくなりそれもまた不思議な感覚にさせるのだ。
原作から使われているイメージは、爺さんが手ぬぐいを振り回し「今に蛇になる」と言い、笛を吹きながら歩いていくのを子供達がついて行ってしまう、というもの。
ハーメルンの笛吹き=神隠し、という連想なのであろう。原作では爺さんが河に入っていくが映画では海となっている。
映画では神隠しという言葉を使いながら、一体かつて何が起きたのかが判然としない。
少年時代の漱石が転地療養の為、田舎町で暮らしその時淡い恋心を抱いた少女がいた。
少女は皆と臨海学校へ向かうが熱を出した漱石少年だけは行けなかった。
その時飛行機事故が起こり(ここがいまいち判らないが飛行機に乗っていったのだろうか。この当時に飛行機に乗るというのはちょっと凄いきもするのだが)子供達はみな死んでしまったのだ。
突然友達が皆死んでしまうという恐ろしい体験は漱石少年の中で記憶の中から追い出されてしまったのだ。今度こそは忘れないと漱石は誓う。

第三夜のようなつけたしではなく、漱石原作を時代も変えて作った佳作である。
第六夜が笑わせる衝撃があったのと違い静かな幻想性を保ったままここまで大きく改変できたのは他にない注目点ではないだろうか。
漱石を演じた山本耕史はほっそりとして手足が長いシルエットが美しい。砂浜を転びながら駆け寄ってくる場面が印象的だった。

なお、この夜の清水厚監督がオープニングとエンディングも担当している。情緒を演出できるという選出なのだろう。

『第七夜』
監督:天野喜孝、河原真明
出演:sascha 秀島史香
このオムニバスで唯一のアニメーションである。
さすがにアニメーションそれも天野喜孝の世界はどの実写作品より幻想性があると感じてしまう。
無国籍なイメージが美しい。
但し、これは自分だけの(というか台湾版DVDを買った日本人のみの)問題なのだが、これには日本語字幕が出てこないのである。
まさか、英語発音の作品があるとは(『第六夜』は英語字幕が出るらしいがこれも出てこない。というかついてはいるのだが、自分で操作して出すやつだ。私は全編中国語字幕を出して観ていたのではあるが(消せるけど))つまり私は英語を聞きながら中文字幕もしくは英文字幕を読むしかなかったのだ(日本版は違うよね?)
なのでいまいち内容はわからないというとんでもない状況に陥ってしまった。
多分だが、美しいアニメ映像を観ているだけで充分の作品だったのではないか、とは思うが。
最も美しく迫力ある作品だった。私が子供の時ならこの作品を観る為だけに映画館に行っただろう(アニメオタクだったからだけど)


ラベル:松山ケンイチ
posted by フェイユイ at 19:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 松山ケンイチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
映画『ユメ十夜』でこんなにも語れるとは(笑)耕史が映画に出てくれたお陰ですか。捜したのですがパンフ出てこず〜覚えがあるのは友のを覗いていたせいでした^^;なのでケンイチ君のは詳細を思い出せずじまい;ただ、私はとても“駄目”な世界でした〜。エログロナンセンスはどうも嫌いなのですよ“エグいなぁ〜”と感じたのだけ覚えています^^;(ごめんなさい☆)
第四夜はkojiファンだし真面目に観たのですが全然つまらなく^^;評価できるのはまあkojiが可愛らしいコスチュームというとこだけかな・・フェイユイさんの評を読んでも思い出せないの(笑)こんなに誉めて頂き光栄です^^;
特典にあるようですが昨年二月にトークショー目当てで駆けつけ。トークではご本人は監督と“自分の夢(眠った時にみる方の)話”しただけ。面白かったのは当日私ちと風邪気味でして映画上映→トークショーだったので皆でまず観覧。しかし第ニ夜あたりで咳がひどくなり館内一旦出ようと隅っこで立って様子をみてて・・アレ今思い出しました、私映画の一部を見てない!そうだった・・咳がひどくなりロビーに出た。。そして入口の椅子に座って咳してたら(笑)、映画館入口からkojiがトークショーの為に調度☆入ってきたのでした!^^vいや〜グッドタイミング☆そして気付いたのですが確かこの作品中設定でkoji漱石は肺病?ぽくコンコンやっていた。その直後私もコンコンし始め・・シンクロニシティ(勝手に^^;)を感じて喜んでました。
台湾版は外見(そとみ)がほんとにイケメン男子のみ仕様(笑)なのですね。ケンイチ君はジェイ君似で有名でしょうし当然ですがkojiもとは・・まぁ「新選組!」はアジアでも人気あるみたいで、その“土方が”て感じなのかな。字幕はアニメの部分残念でしたね。あと第六夜に関しては英語字幕の効果、というのも面白いのでまたいつか観られるといいですね。
Posted by フラン at 2008年04月14日 08:34
そうでしたか〜、この世界は一編を除いてはフランさん好みじゃなかったんですね。
私は大体こういうおどろおどろしいのが好きなせいでしょうか、全体的に好印象で観てました。
モチロン耕史さんのも高得点です。

>エログロナンセンスはどうも
ケンイチくんのはグロナンセンスでしたが残念ながらエロはなかったです〜(笑)
して欲しかったんですけどね、エロも。私的にエロだっただけで(笑)
でもこういう「夢」というようなテーマで作ったわりには全体にエロスが出てきませんでしたね。普通こういうの女性のヌードとか出てきそうですがなまめかしく色っぽいシーンとか(お尻がでてきただけ)なにか規制があったのでしょうか。
特典映像で「夢の話」みました!ではあの客席にフランさんがいたわけですねー!!!フシギ!!
コンコンのシンクロニティそして思いがけない遭遇というのもなにやらユメ十夜的ですよ。
Posted by フェイユイ at 2008年04月14日 11:22
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