映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年04月26日

『吉原炎上』五社英雄

吉原炎上.jpg

以前にも書いたのではないかと思うが、なぜ売春という物語にこうも惹かれるのであろうか。
無論、ここで描かれる世界は夢のように華やかな数少ない一例なのでその美々しさに見惚れているのは確かなのだが、それだけではない。
男優が一度は兵士の役をやるように女優は売春婦の役をやりたくなるのではないだろうか。(やりたい、というのが間違いならやってしまう、というのか)自分がそれをやりたいのかは別としてもそれを演じる事でまた観ることで女というものは何なのか、を考えさせられてしまうからなのか。

この作品ではおとなしい女性だった久乃が吉原に買われ花魁として生き抜いていく様が描かれていく。
時間が経っていくので久乃=若汐の言動がかなり急激に変わってしまったり、女郎というものがそういうものという演出なのか、かなりエキセントリックな女性たちが登場するので驚きっぱなしで鑑賞していった。
公開当時、有名女優たちのヌードだとかポスターの通りのレズビアンな映像だとかが話題だったがその時はさほど観たいとも思わなかった。
一つは主役の名取裕子があまり色っぽい綺麗さに思えなかったからだが、今観るときりりとした知性ある美人ではないか。やはり子供では判らないものなんだろう。
ストーリーとしてはそれほど衝撃ということはないのだが、結局若汐と若旦那の信輔の純愛物語なのであった。
信輔はなぜか若汐と性的交渉を持とうとしないまま終わるのだが、仲良く寄り添い信輔の顔を覗き込むようにして抱く若汐のポーズはまるでクリムトの絵のようで微笑ましく美しいのだった。

それほどドロドロとした描写もなく以外に優しい女将たちや新参者の若汐にレズっぽく親切にする花魁だとかも観ていてなかなか楽しいし、何と言ってもそうした明治時代の吉原のしきたりだとか内装だとかを眺めているのが面白くてしょうがない。映画としての演出もあるだろうが。

クライマックスともいえる花魁道中だが、信さんが身銭を全て使ってのものとしては意外にあっさり。今だったらCGを駆使してなんとか華やかに増強するところだろうけどここは想像力でもっと華やかなのだろうなと補うことにしよう。

出世頭の若汐=名取裕子と対照的に置かれたのが、どうにも悲惨な運命の菊=かたせ梨乃であった。

逃げ出そうとした若汐を救おうとして救えず、客として通うことになる若旦那・信輔役に根津甚八。青臭いことばかり言っているのがなかなか可愛らしい。も少し大人の男だったら幸せになれたろうに。
変な巡査を緒方拳がやってたり、変なバイオリン弾きを竹中直人がやってたり(これは普通だがg)若汐改め紫を身請けした旦那が小林稔侍だったりほんのちょいと成田三樹夫が出てたりと豪華な面々である。
ふのり、ってあーゆーことに使うのね、と初めて知る。

監督:五社英雄 出演:名取裕子、かたせ梨乃、二宮さよ子、藤真利子、西川峰子、根津甚八
1987年日本



ラベル:売春
posted by フェイユイ at 01:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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