映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年05月05日

『グッドナイト&グッドラック 』ジョージ・クルーニー

グッドナイト.jpg
GOOD NIGHT, AND GOOD LUCK.

90分台の短い尺ながらきりっと要点を描き、尚且つ当時の雰囲気を漂わせた作品である。
その短さの中で幾つもの見所があるのだ。

まず。少女期にアメリカの小説や映画を観ていてどうしても判らなかったものの一つがこの「赤狩り」
共産主義という思想をまだ理解していなかったせいもあるが、自分から見れば最強に強いとしか思えないアメリカ人がなぜこのように「アカ=共産主義」を怖れるのか。確か『あしながおじさん』でも主人公ジェルーシャがが思いを寄せる男性が「アカじゃないの?」って言われる台詞があったんじゃなかろうか。ヒロインは勿論憤慨するけど確かにまあ「あしながおじさん」というのは共産主義ぽいのかもしれない(違うか?)ジェルーシャという名前も考えたらロシア風のような気もするが(関係ないか)
すぐに脱線してしまったが何かというと悪い奴が反抗する主人公なんかに「お前はアカじゃないのか」と言って立場を悪くする、という手段が横行していたような記憶がある。たかだかその一言でなぜそのように主人公が追い詰められたり傷ついたりするのかさっぱりわからなかったが、この映画を観てみたらほんの少しなるほど、と思えるのであった。
自由な国であるアメリカにおいて「アカだ(共産主義者だ)」と言われることでその自由を失ってしまう。自由である、といっても共産主義になってもいいという自由はないのは当然で共産主義者と話をするだけでも思想を脅かされるのではないかという恐怖を持ってしまうのだ。
マローたち報道チームで「この中に共産主義に関係する者は?」と問いかけた時、仲間内でさえ張り詰めた緊張が漂ってしまう。誰かが密告するのではないか、いつの間にか自分が迫害されるのではないかという恐怖。
しかしそれでも判るのは出来事だけなので一体どうしてこのような恐怖が浸透していったかというのは別に調べなければいけないのだろう。

また『エンジェルス・イン・アメリカ』で知ったロイ・コーンの名前も登場する。

そしてマローが立ち向かうのはマッカーシーだけではなく自分が属するTV局自体と視聴者であること。
TVが普及し、人々の娯楽になるほど、求められるのは楽しいクイズ番組、なんていうのはちょうど今の日本の現状みたいでもあるがまあ世界中いつでも同じようなものなのだろう。
ゴールデンタイムに中東問題を論じ合うような時代を求める、TVに娯楽と逃避だけを求めるなら何もないのと同じ、とマロー氏は最後締めくくる。
自分自身はというともうここ何年も夜の時間はパソコンに向かいぱなしでTVを観たことがない。
TVで見る報道というのは視聴者が興味をそそる性的犯罪ニュースばかりのような気もするし。

社内結婚の夫婦のエピソードもやはりその時代問題になったことの一つなんだろうか。

若ければ若いほど理解しにくい作品なのかもしれないが、それでもこの映画のもう一つの魅力はモノクロである為にいっそう感じられる懐古的なかっこよさ。
エド・マローの片手に煙草での放送なんて、今絶対あり得ないと思うのだが(絶対禁煙)振り向いた時に煙がまだ残っているというこの雰囲気。
仕事中も誰もが咥え煙草でもうもうと煙がたち込めていることだろう。ユダヤ人はいるが殆どが白人で黄色人・黒人はスタッフには皆無である。黒人は仕事に疲れた白人が酒を飲む横で楽器を奏で歌を歌う役目。
白人にとって本当にかっこいい時代だったのだろう。
そういった目で見なければ、かっこいい男、かっこいい女だけが画面に配置されたほんとにかっこいい映画なのだった。
(ありゃ、最後皮肉っぽくなってしまった。この時代はそういう時代だったんだからしょうがない。映画も皮肉がたっぷり込められた作品なのだから、いいことにしよう)

最高に二枚目なジョージ・クルーニー。ここではエド・マローをひき立てるためにやや太めになって三枚目に納まっている。
それでもやっぱりいい男であるな。

監督:ジョージ・クルーニー 出演:デビッド・ストラザーン ジョージ・クルーニー ロバート・ダウニー・Jr パトリシア クラークソン ジェフ・ダニエルズ フランク・ランジェラ レイ・ワイズ
2005年アメリカ


ラベル:報道 歴史
posted by フェイユイ at 23:12| Comment(2) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
映画館で鑑賞したのですが前なので記憶は大分薄れてしまいました。スタイリッシュな映画でしたね。ストラザーンをこの作品で知りました。確かにすごくカッコイイのですが幾分冷たそうな印象が。ストラザーンはケビン・ベーコン目当てでみた『激流』でえらくヘタレ^^;なパパ役だったんだけどそちらの方が断然素敵だった。このパパ、だんだん格好良く見えてくるんですよ。クルーニーも先日『フィクサー』鑑賞。ここではすっきりと痩せ渋さで決めているのですが私はこの『グッドナイト・』での太ったクルーニーの方が断然セクシーでした!フランスの役者リノ・バンチェラ(だ〜いすき)に似ているのですよ。
かっこつけすぎない哀愁漂う男の背中こそが、素敵だ。^^
Posted by フラン at 2008年05月07日 21:11
クルーニーはしゅっと締まったり、ここまで太めになったり凄いですね。
私もこのクルーニー好きです。
ストラザーン、そうですかー。『激流』も観てみなきゃですね。

とにかくこの映画、かっこよかったです。
Posted by フェイユイ at 2008年05月07日 23:16
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