映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年05月14日

『フレンジー』アルフレッド・ヒッチコック

フレンジーff.jpg
FRENZY

ヒッチコックの有名な作品だが未見だった。ヒッチの最後から2番目という作品ということらしいが、これは確かに面白かった。

昔の映画は面白い、と思ってしまうのは面白いものだけが残っているからなのだろうが、それでも何故今のよりシンプルなのに面白いのだろうか、と考えてしまう。シンプルだから面白いのか。

ネクタイ殺人事件と名づけられた婦女連続殺人事件。昔の映画だからさして驚きもなかろう、とおもうなかれ。そこはさすがにヒッチコック、今観てもゾクゾクする緊迫感があるし、全裸死体の描写などかなり衝撃的である。冒頭、河に浮かんでくる全裸死体は作り物らしいがそれでもぎょっとさせる。

ヒッチコックがイギリスに戻って製作した、ということでいかにもイギリス風の味わいがあり、殺人事件にも拘らずユーモアがふんだんに盛り込まれている。
その後の映画の見本となるヒッチコック映画であるが、これ自体が却って新しいのではないかとすら思えてしまう。

性的異常者の犯罪という題材もあって、現在起きている様々な事件とも重ねてしまう。
犯人が結婚相談所の女性に言い寄っていく様子も他で観ない様なリアルさがあるし、奇をてらいすぎていないところもまたリアルな恐怖がでている。
親切を装って友人の女性を部屋に招きいれた後をカメラがもう追わず、建物の外から見ている感じだとか、ジャガイモを積んだトラックに死体を放り込んだものの愛用のネクタイピンを殺害時に被害者から取られたと気づき自らトラックに入り込む場面など緊張が続く。
男がネクタイピンを探そうとして死体から足蹴にされるのはブラックな笑いに包まれる。
またトラックの後部から死体の脚がにょっきり出ているのをパトカーの警官が見つけるのも不気味であった。

それにしてもおかしいのは警部とその妻の食卓での会話。
彼の妻はフランス料理に凝っていてなんとも不味そうな奇怪な料理を出すのである。警部も「不味い」と怒ればよさそうなものなのに、愛妻家なのか恐妻家なのか、心優しく「おいしいよ」と言っては鍋に戻したりするのだ。
フランス料理だからと言ってこんな奇怪な料理ばかりあるものでもあるまい、と思うのだが、そこはイギリス人、フランスというのはこういうものだと思い切り皮肉っているのだろう。
それなのにこの妻、警部以上に直観力が鋭くて疑惑をかけられた主人公が無実だということをあっさり見破る。
性的犯罪と悪趣味な食事を並べて見せることでよりいっそう観る者は気持ち悪くなっていくわけだ。

どうも分が悪い主人公が感情的な色男だったり、殺されてしまう彼の妻がもう若い娘ではなくて大人の色気のある肉感的中年女性だったりするのも、意外に他にない設定のようにも思えるがどうだろう。といってもヒッチコックの作品はあんまり若い女性は使われていなかった気もするが。

監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演:ジョン・フィンチ バリー・フォスター アレク・マッコーエン バリー・フォスター ビリー・ホワイトロー バーナード・クリビンス ジーン・マーシュ
1971年 / アメリカ/イギリス


posted by フェイユイ at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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