映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年05月15日

『サルサ!』ジョイス・シャルマン・ブニュエル

サルサ!.jpg
Salsa

映画を観てる間始終にやにやしっぱなし、そして合間に涙をこぼす、という芸当をやりつつ感動の嵐に吹き捲られた!

生粋のフランス人で白人のレミに深く感情移入して鑑賞。『ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ』を観て以来、キューバ音楽が最も好きな自分である。あの映画もキューバに魅せられた白人の映画だし。
クラシック音楽学校で素晴らしい成績を収め、将来を嘱望される若者レミは大切な審査(?)でその腕前を披露するが、突如演奏を止め、驚く皆の前でいきなりラテンミュージックを激しく弾きだすのだった。

栄光の未来を全て捨て、パリのキューバ人街に乗り込むレミはキューバ人の友達フェリペを訪ねる。
だが彼の答えは「ここに来る人間はキューバ人の男を求めてくる。白人のお前と組んだら“白雪姫と7人のキューバ人”だ」

移民である彼らの中には不法滞在の者もいる。白人社会の中で黒人である事は差別の対象でしかない。
だがその黒人であり、キューバ人であることに憧れてしまう白人(及び黄色人(私))もいるわけで。
ショパンを弾いては一流の彼もキューバ音楽とダンスにかけてはずぶの素人。特にダンスはフェリペの足元にも及ばない。
仕方なく髪と皮膚を黒く塗り、派手な服を着て、キューバ訛りを必死で覚え、生粋のフランス白人であることを捨て去ろうとするレミがおかしいやら悲しいやらで始終笑いっぱなしで時々その懸命さに涙が出てしまうのだった。
いやあ、白人の時は甘ったるい美少年だったのが色を黒くしたら、あら不思議、セクシーなラテンボーイに変身してしまうのだ。何故だか視線まで心にまで入り込んでくるような強い眼差しに変わってしまう。
無論この辺は映画ならではの演出なのだろうが、こんなに違っちゃうんだなあと感心しきり。確かに色黒キューバ人に変身後のほうが断然いかしているのだもん。

とにかく何とかしてキューバ人になりきろうとする優等生ピアニストのレミが愛おしくてしょうがなかった。
そして彼と恋仲になってしまうのがフランス白人女性ナタリー。職場ではフェリペの恋人である同僚(白人女性)から真面目すぎる、暗い、とばかり言われている彼女がひょんなことからサルサダンス教室でレミもといキューバ名・モンゴと知り合い、ダンスを踊るとこれが一体どういうことだ!物凄いセクシーなサルサを踊ってしまうのだ。
ナタリーにキューバ訛りのフランス語で話しながら深く愛してしまうレミ。知り合ったキューバ人の老人バレートから嘘を言ってはいけない、と忠告されながらもどうしても本当のことが言えない。

情熱的なサルサダンスと音楽に酔いしれながら、レミの奮闘振りとハンサム振りに見惚れ、ナタリーのフックリした唇の美貌と豊かな胸と激しいダンスにも見惚れ、ああ、やっぱりキューバ音楽はいいなあ、と堪能しつくしたひと時だった。『ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ』はDVD持ってるし、また観よう!
あの楽しく明るいのに涙が溢れるような悲しみが満ちている音楽はなんだろう。男はあくまでマッチョに女は男を誘うように、愛に溢れたダンスの衝撃的な美しさは。

ナタリーが何故サルサダンスが上手いのか。それはキューバ人男性を愛しながら結婚できなかった祖母の教えと実はその恋人がバレートで、ナタリーにはキューバ人の血が流れていたのだったという物語。
ついに会える恋人を前に年老いてしまった祖母が鏡を見てそれでも勇気を奮い起こし若い時のように上着を脱いでいく場面でまた涙が止まらなくなり。

今年度観たどの映画より好きかもしれない。
今回はこれかな。
最高だった。

最後の場面はまさに『ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ』の一場面を思い出させる。
監督があの映画に思いいれが強いことが伝わってくる。

監督:ジョイス・シャルマン・ブニュエル  出演:ヴァンサン・ルクール クリスティアンヌ・グゥ カトリーヌ・サミー エステバン・ソクラテス・コバス・プエンテ ロラン・ブランシュ ミシェル・オーモン アレクシ・バルデス オーロラ・バスヌエヴォ
1999年 / フランス/スペイン )




posted by フェイユイ at 00:48| Comment(6) | TrackBack(1) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
やっぱり好きな音楽に浸るのが一番ですよね〜^^◎
私は未見ですが、監督名が気になりました。で、調べたのですがやはりあのルイス・ブニュエル(先日の『小間使の日記』の)とは関係ないのかな?
『ブエナビスタ・・』も観ていないので音楽の傾向が解らないのですが、ルナルナ目当て(笑)で観た『ダンシングハバナ』で使われていたような音楽♪かしら〜と思いましたです。
Posted by フラン at 2008年05月15日 09:31
中南米映画とともに音楽も大好きです。特に『ブエナビスタ』にはやられました。
逆に『ダンシングハバナ』は観てなかったので早速観るつもりです(笑)

ブニュエルって絶対関係ありとおもってしまいますよね。よくわからなかったんですが、縁戚関係ではないんでしょうね???

美青年のヴァンサンくんが「色が白い」ことに苦悩する、というのがおかしいのですが、キューバ音楽ならずともブラックミュージックに憧れる人は必ずまず肌を黒くしますよね(笑)やはり外見からはいるのが基本でしょうか。

Posted by フェイユイ at 2008年05月15日 13:02
『ダンシング・ハバナ』ひじょうに☆B級ですよ・お覚悟を(笑)〜私はルナルナみられたから、イイんですが◎もしルナルナファンになったらば(ならないと思いますが^^;)『クリミナル』なんて内容はともかく完全ルナルナPVと化しておりますハイ(笑)〜もちょっと、いい作品に出てくれると良いのだけどなァ〜^^;
Posted by フラン at 2008年05月15日 15:32
そうでしたか〜、いやもうすでに発送されたので観ますけど^^;
でもディエゴは可愛いので多分平気だと思います^^;^^;

『クリミナル』は元ネタの映画を観ましたよ。アルゼンチン映画『NINE QUEENS 華麗なる詐欺師たち』なかなか面白かった、と評価していました、過去の記事で。

メキシコ人(に限ったわけではないですが)がアメリカや他の国で活躍するのは難しそうですよね。アメリカ人のメキシコ人に対するイメージってもー!!!
がんばれ、ルナルナ&ガエルも!
Posted by フェイユイ at 2008年05月15日 18:10
はじめまして。
随分前に観た作品でしたが、キューバ音楽やサルサ・ダンス、それにキューバでのインター・レイシャルな結婚、加えて欧州における移民事情など僕の興味に応えてくれる映画でした。最近、関連の学術的書籍に時間が割けてこの映画と絡めて記事にしました。TBいたします。肝心な映画の詳細を忘れかけていたのでフェユイさんの記事を読ませて頂けて幸いでした。
Posted by 三丁目のルゴサ at 2008年09月15日 11:09
はじめまして。この映画ラテンを愛するものには勉強にもなるし、とにかく楽しい映画でした!!
白い肌を黒くしてラテンボーイに変身してしまう主人公もまた愛すべき存在でした。
三丁目のルゴサさんもラテンが大好きな方なのですねー。
最近ちょっと離れ気味でしたがまたラテン系のいい映画観たいなあ!!!
Posted by フェイユイ at 2008年09月15日 22:54
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Tracked: 2008-09-15 11:00
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