

この映画の感想はすでに台湾版DVDを観た時に書いてしまった。その時は無論言葉が正確に理解できているわけもなかったのだが、それでも自分にとってはジェイファンだという身贔屓を持ってしてもまったく面白いと思えなかった。むしろ苛立ちさえ感じてしまったのだった。
今回は日本版鑑賞なのでもしかしたら自分の勘違いで言葉さえ理解できたらとても面白いのかも、という期待もありその場合は前言撤回で謝罪しようと思っていたのだが、願いも空しくさほど感想が変わることはなかった。無論内容が把握できた分だけ不満に確信が持てただけだ。
一体何が不満なのか。他の評価を見てたら結構面白かったと好意的に言われている方も多く、ジェイファンとしてはそう感じてもらうことには感謝したいくらいである。が、自分としてはこの作品を楽しめないのだ。
映画を観る時、期待するのは『意外性』だ。
特にこれみたいなハチャメチャコメディにとっては『意外性』が最も重要ではないか。
シリアスな映画でも「こんな考え方感じ方があるんだ」という意外性が自分にとっては一番の興味があるところなのだ。
そういうのを満足させてくれるのが、私にとっては「面白い映画」なのであって、チャウ・シンチー、三池崇史、ルイ・マル、キム・ギドク、チャップリン、黒澤明、デヴィッド・リンチ、シリアスにしろコメディにしろあっと驚かせてくれる映画を作ってくれるではないか。
この映画だと自然と思い浮かべてしまうのはチャウ・シンチーの『小林サッカー』だが、あの映画を観た時はあっと目を見張って最初から最後まで笑いっぱなしの驚きっぱなしだった。
本作があれの2番煎じなのは誰が観ても判ることだし、しかもあの映画のどこをとっても勝っているものがない。
おかしいかと言えば声を出して笑うシーンなんか一つもない。
アクションもおかしさも劣っている上に何かこれという奇抜さも特徴もないではないか。
まあ強いてあげればジェイの音楽に乗ってのバスケシーンは確かにちょっと見せてくれるものはあるがMVではないのだし、映画ならばそれ以上の何かの衝撃・感動を求めてしまってもいいだろう。
正直褒めてくれた皆さんホントに面白かったのかな、と思ってしまうのだ。
同じジェイの『イニシャルD』の峠バトルを実写にした凄さだとか、ジェイ監督作品『言えない秘密』の謎、『王妃の紋章』の絢爛豪華さのようなその映画の他にない魅力というのが自分には『カンフー・ダンク!』からは感じられないのだ。あるのは予定調和な当たり前の筋書きとアクション。定番の設定と終わり方。脅かし方も泣かせ方も全部がよくあるパターンでありすぎて一体これを楽しむにはどうしたらいいのだろう。えっと驚くものが何一つないのだ。
演じている俳優陣はエリック・ツァンがいいのは当然としても、チェン・ボーリンが凄くよい。彼がまったく手を抜かずに決めてくれているのでそこだけが救いと思える。
とにかく製作側が酷すぎるというかテキトーなんだな、とため息をつくしかないのである。
少なくともこれはコメディとは思えない。これがめちゃくちゃだとか、荒唐無稽だとかぶっ飛んでいるだとかは感じない。常識の域を越えてない。
ラスト、どうしてこれでいいのかわからない。やっつけで適当に片付けただけのようだ。
一縷の望みも消され、コメディというのに空しい気持ちだけが残った。
監督:チュウ・イェンピン 出演: ジェイ・チョウ, チェン・ボーリン, バロン・チェン, シャーリーン・チョイ, エリック・ツァン
2008年 / 台湾/香港/中国
posted by フェイユイ at 22:52|
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