映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年12月22日

「007」シリーズ第23作は「ショッキングな展開」に

「007」シリーズ第23作は「ショッキングな展開」に。脚本家が明かす

って。どんな?どんな?
以前ダニエルが「そろそろゲイのボンドが出て来てもいいんじゃ」って言ってたけどまさか・・ね?
もしそうならほんとショッキングだわ。しかも007はダニエルに決まりみたいだし(他の人ならそこまでないかも?)
posted by フェイユイ at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ダニエル・クレイグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月21日

『007/慰めの報酬』マーク・フォースター

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Quantum of Solace

007のダニエル・クレイグはかっこいい。それだけで満足。
なんて言うってことは作品自体は本当に破格に面白い、というわけではないってことかもしれないが。
ショーン・コネリーから(というかだけという)007を観てきたような人間にはある程度のイメージがあるのでそこが破壊されるほど崩れてなければふんふんと楽しめるわけである。
とはいえマット・デイモンの『ボーン・アルティメイタム』でもそうだったんだけどアクションのスピードが速すぎるのと振付がまるでNHK『ピタゴラスイッチ』のボールが転がるピタゴラ装置みたいな感じでなんだか笑えてきてしまうのだ。
一番驚いたのはやっぱりボンドトフィールズが飛行機から飛び降りてパラシュートがぎりぎりに開くあのシーン。本物としか思えないような迫力であった。

またこれは好のみの問題だが前回のエヴァ・グリーンが物凄く印象的な美貌で彼女の前にちょっと前菜的美女が登場したので今回のフィールズをずっと前菜だと思ってていつ本命が現れるのかと待ち続けてしまった^^;案内係の彼女が登場したので「この女性???」となってしまったではないか。
いやあ、別に今回の女性も綺麗だったけどエヴァ・グリーン迫力あったんでオルガ・キュリレンコはちょっと弱かったかな。ボンドがまだヴェスパを引きずってるんでラブシーンもなかったし(別の女性とはあったけど)
お約束ダニエルのヌードもあったけどこれも少し出し惜しみ?
つまりなんでも前回を越えるような印象がなく多分それは盛りだくさんのアクションで勝負だったのだろうが、上に書いたように自分の趣味としてはあまりに急ぎ過ぎ軽業すぎでもちょっと大人の渋いアクションの方がよろしかった。

今回の悪役グリーンを演じたマチュー・アマルリック。「誰だっったっけ」とはっとなった。『潜水服は蝶の夢を見る』の彼だった。
小柄で特に悪人面と言うんではないかもしれないが何か心に潜んでいるようなとてもいい顔である。ここでも悪人ぶりがとても魅力的であったが、もっと静かな映画でとっぷりと悪魔的な演技を観たい気がする。

ダニエルの007はもー言うことはないくらいかっこいい。スーツのコマーシャルフィルムみたいだもんね。
映画がばたばたしてるからも少しゆっくり肉体美を観たかったのが不満ではあるけどそれでもまあ主人公だからずっと観ることはできたんでいいかな。
若い007という演出なのか、やたら乱暴である。口先では忘れたと言いつつヴェスパを思い続けているとこが当然のこととは思いながらもちょっとじんとしてしまうではないか。
横顔もしわの刻まれた顔も相変わらずのボディも見惚れてしまう男性なのだ。
ところで以前ダニエルは「そろそろゲイの007が出てきてもいいんじゃないか」と言ってたがどうなんだろ?さすがに国際的スターだから無理かなあ。もし作ったら勿論国によっては公開禁止のタブー映画になってしまうことは間違いないだろうし、ね。

監督:マーク・フォースター 出演:ダニエル・クレイグ オルガ・キュリレンコ マチュー・アマルリック ジュディ・デンチ
2008年 / イギリス/アメリカ
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2009年07月05日

『インベージョン』オリヴァー・ヒルシュビーゲル

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THE INVASION


久しぶりにダニエル・クレイグの顔を見れると思って観たのだが、こな大昔の映画だとは思いもしなかった。

いつもながら予備知識なしに観たんだが、意味の判らない英語タイトルなのであまり期待はしなかったのがせめてもの救い。あまりにもスタンダードな地球人侵略SFでこういうタイプは子供の時から五万と見てきたのにまた今更、と思ったらこれはジャック・フィニィ『盗まれた街』の映画化なのだった(『ボディ・スナッチャー』というタイトルですでに映画化されたことあり)とはいえ私はフィニィ原作を読んでないのでこれですぐに思い出したのはレイ・ブラッドベリの『少年よ、大茸をつくれ』(「よろこびの機械」収録)なのであった。と言ってもこちらの設定はちと違う(当たり前だが)フィニィの小説がどうなのかは知らないが映画のような大掛かりな世界規模みたいな(と言っても騒いでいるだけで実質は何ヵ所かの街中だけの物語になってるのだが)話ではなくある家庭に宅配された食用キノコ栽培キットが実は地球侵略の為のもので「キノコ」は人間を媒体として行動し増殖していく、という物語をブラッドベリ独特のファンタジックな語り口で表現されていく。
こういうのは舞台を大きく広げればいいんじゃなく身近な近所の話から「これが世界に広まったら」という想像でぞっとしていく、と言う方が面白いんではないかと思うのだが(多分フィニィ原作は面白いんだろうが)何故ハリウッド映画と言うのは大風呂敷を広げたがるのかよく判らない。
特に発想が面白いのならいいがこういう古臭く、出しつくされた話を金をかけただけのワンパターンカーチェイスや追いかけっこをして見せても誰も何の刺激も受けないし、はらはらどきどきなんて微塵もしないだろう。
説明が物凄く判りやすいのがまた何やら馬鹿にされている気がしなくもないがはっきりと言葉に出している物語のメッセージ「人間は必ず犯罪や戦争をおこす。そうでなくなったら人間はもう人間ではない」という言葉はむしろ首を傾げたくなるものである。というか宇宙生命体に体を乗っ取られて平和なのといつまでも戦争し続けるとどちらを選ぶ?なんていう2者択一を迫るなんて馬鹿げているではないか。それに体を乗っ取った「宇宙ウィルス」なる者が本当に平和主義ならなんであんなに攻撃的なのか、そこでもう話が破綻してる。
平和主義だからこのウィルスを飲もう、という設定なら襲って来たりせず穏やかににこにことしていつの間にか飲まされていた、という筋書きにしないと意味が判らない。
大体この物語は宇宙人への恐怖じゃなく当時フィニィが共産主義に対して感じた恐怖を描いたものらしいのだが先に書いた台詞がロシア人の言ったものというのも皮肉である。
共産主義と言えばこんな「薬」をイメージさせられるような「ウィルス」というものを飲ませるとかではなく、この前TVで観た戦争当時に中国軍が日本人捕虜に行った自己批判というものが恐ろしかった。繰り返し繰り返し自己批判をすることで精神を変えていくのである。まあ、映画でこういうのをやったんではとても娯楽映画にはならんから「ウィルス」をおえっと吐き出し飲ませる、と言う方が判りやすいということなんだろう。それにしてもアメリカ人は特におえっていうのを嫌うはずなのにそれを飲まされるなんて観客の拒否反応は酷かったんじゃなかろうか。

映画自体はもうどうでもいい。とにかくブラッドベリは短編なのに物凄く面白いってことだ。

さてお目当てのダニエル・クレイグ。本作はあくまでニコール・キッドマン主演映画なので彼は添え物的存在にしかすぎなかったし、『007』的イメージでこれを観た人はあれれだったかもしれないが、ダニエルの他の出演作って意外とこういう感じなのだよね。わりと話がどれも微妙で^^;彼も頭はいいんだけどあんまり強くない人って感じなのだ(あの肉体美を誇る人なのに不思議だが)
ここではもう控え目控え目。珍しく裸にならなかった?!し。でもチャーミングであることは確かだなあ。ハンサムだわ。
おまけに彼の役名が「ベン」だったのでそれが嬉しくて最後まで観続けた気も。何度もニコールが「ベン」と呼んでたんで。

監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル 出演:ニコール・キッドマン
ダニエル・クレイグ ジェレミー・ノーサム
2007年アメリカ
posted by フェイユイ at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ダニエル・クレイグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月26日

『Jの悲劇』再び ロジャー・ミッシェル

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で、今夜は『Jの悲劇』である。
今回も『ザ・トレンチ』『レイヤーケーキ』に続いて半分(ま、4分の一くらい)ベン・ウィショー目的ありである。
ベンがどこに出てたのかなど全く覚えてもいなかったのだが、観てなるほど。またも相変わらず変人的な様相の学生君であった。

しかもかなり目だった演技でやや力入りすぎかも、というくらいなのだが、痩せてて不気味で(主人公を付け狙うストーカー男に勝るとも劣らない)いかにも友達いなさそうである。しかも『レイヤーケーキ』同様ここでもダニエルに近寄って行ってすげなくされる可哀想な奴なのだ。
幾度か出てくるが特に最後のシーンはせっかくダニエルに近づいていくのにあっさりふられてしまう惨めな学生なのだった。

この作品は私がダニエル映画を初めて観たものでそのせいもあって一度目の記事は殆ど手探り状態。これもよく判らずに妙な事書いてて赤面であった。
今こうして観なおすと、ダニエルのよさが凄くよく出ていると思う。冒頭の気球に飛び掛り飛び降りる他にはアクションというようなものはなくそれほど体も露出していない。
つまりは007的な魅力は封印されているのだがそのくせ不思議にセクシーなのである。
精神の奥底まで追い詰められて崩れていくインテリ男が実に合っている。嫌っているはずなのに却ってその男の事ばかり考えてしまわざるを得ないのが皮肉である。
“恋愛”についての講義をしている作家でもある講師が恋愛とは何か、全くわからなくなってしまう。
不気味な男がひたすら自分に言い寄ってくる。これは恋なのか、違うものなのか。

のどかな郊外の草原で恋人とくつろいでいたジョーは操りそこねて浮き上がろうとする真っ赤な気球を追いかける老人とそしてその中には少年が一人残っているのに気づき助けに走る。
まさに飛び上がろうとするその気球に何人かの男達が飛びついた。
なんとか取り押さえたと安心した瞬間、突風が吹き再び気球は少年と周りにしがみつく男達と共に浮き上がってしまった。
誰からともなく男達は手を離し地面に降り立ったが、ただ一人医師である年配の男性だけがその手を離さなかった。
ついに我慢できなくなった時、その医師は地面に叩きつけられたのだ。
ジョーは手を離した自分を悔い、医師の死を受け止めることができなかった。

衝撃的な導入部に惹きこまれジョーが苦悩する男であることがわかる。その後、同じく気球と共に舞い上がった正体不明の男ジェッドから執拗に追いかけられることになる。
ジェッドはジョーと自分を同類化してしまい、次第にどれを信じているのか嘘なのかわからなくなってしまう。
クレアという恋人がいてインテリであるジョーは付回されるうちに精神と行動が異常なものになっていく。

姿が見えたり見えなかったり、カーテンで合図を送っているという実しやかな幻想も嘘か実かなにもかもが不明瞭になっていく。

事件が解決した、と思ってもクレアの心が引き寄せられるかはわからない。そしてエンドロールの後にジェッドの姿が映し出される。
小奇麗になって施設のような部屋で何かを書いている。
その笑顔からはまだ彼の“恋”が終わったわけではない=ENDURING LOVE (原題)なのが判るのだ。

監督:ロジャー・ミッシェル  出演:ダニエル・クレイグ サマンサ・モートン ビル・ナイ スーザン・リンチ ベン・ウィショー
2004年イギリス
posted by フェイユイ at 23:31| Comment(2) | TrackBack(0) | ダニエル・クレイグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月25日

『カジノ・ロワイヤル』再び マーティン・キャンベル

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で、『カジノ・ロワイヤル』再観である。
これに関しては一度目も大絶賛なのだが、あんまりギャースカ言ってるので読み直さなかった、ので重複及び意見が違うところもあるかもしれない。

再観してもなお見ごたえ充分。「面白い映画」ってこういうのだよな、と頷いてしまう。
元々コネリー=ダブルオゥセブンが好きだった私としても全く文句のない出来栄えであり魅力あるジェームズ・ボンドだと確信する。
今までにない金髪のボンドなのでちゃんと配色も考えて相手役は二人とも黒髪であった。
最初の女性もお色気濃厚でさすがボンドの技を初披露するのに申し分ない人妻であったし、本命ヴェスパーは真っ青な目蓋にいつも下を向いてるような睫毛が不思議なセクシーさを漂わせている。いつも睨みつけているでっかい目も印象的である。
好みとしてはもう少し肉がついてて欲しいけど時代の流行なのでしょうがない。
酷く気の強い高慢な女と見せ付けてふと見せるか弱さ。シャワーを浴びながら震えている姿やジェームズに打ち解けてほんわり笑う顔が突然少女のようで可愛らしいのであった。

冒頭の走り抜けるアクションシーンも空港でのせめぎ会いも二回目でも充分手に汗握るもので特に最初のは高所恐怖症者には怖気を振るうものである。

そしてタイトルの「カジノ・ロワイヤル」の場。私は賭け事はしたくないのだがどういうものか他人がやってるのを見るのは大好きである(みんなそうか?)
映画とはいえこういうポーカーゲームを見るスリルは楽しくてしょうがないのである。
無論映画では考えられない高額を賭けてもらいたい。CIAは資金潤沢というのが嬉しかった。

そしてまたある意味見せ場であるボンドの拷問シーン。穴を開けられた椅子に縛り付けられ、片目に傷のあるクールな敵役ル・シッフルに固い瘤付きの繩で局部をしたたか痛めつけられるというシンプル且つ男には身の毛のよだつ拷問だろう。
何故か裸にされてしまうのだがこれはクレイグの体を見せるためですな。

結構多くの作品を見てきてクレイグはアクション派俳優というよりちょっと違った趣きがあることは知ったが、やはり007を演じているクレイグがかっこいいことは絶対である。
このDVDパッケージの横顔などはもう本当にアニメ的なヒーローのかっこよさのそれである。映画全般に渡ってこの時のクレイグ氏ははっきりと007なのであって決めのポーズ決めの表情決めの台詞が目白押し。完全に無敵のアクションスターなのだった。
短髪のせいかちょっとやんちゃな男の子みたいな雰囲気も可愛らしいのである。

監督:マーティン・キャンベル 出演:ダニエル・クレイグ エヴァ・グリーン マッツ・ミケルセン ジュディ・デンチ ジャンカルロ・ジャンニーニ ジェフリー・ライト
2006年イギリス/チェコ/ドイツ/アメリカ
posted by フェイユイ at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ダニエル・クレイグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月24日

『レイヤーケーキ』再び マシュー・ヴォーン

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2度目の『レイヤーケーキ』である。一度目に何回観たかは覚えてないが。

今回の目的はダニエルをもう一度じっくり観たいのは勿論だが、何と言っても出演していたのに当時把握していなかったベン・ウィショーなのであった。
ベンの役はどうにもパッとしない雰囲気の麻薬業者デュークの甥っ子でこちらもナンとも情けない風貌でけたたましく騒ぎ立てるところが似ているといった具合。
ベンはいつものように痩せて可哀想なほどおどおどとした目つきでいかにも誰からも馬鹿にされているといった憐れさが滲み出ている。
ここでは主人公xxxx(名前がないのだ)とガールフレンドを始め登場人物みんなから邪魔者扱いされている。
だがその彼が最後、重要な決めをするのだから、目を離せないのである。
彼自身をよく見ればそう悪くはないし結構ハンサムなのだがどうにもおたく風の風采とびくついた態度が苛めたくなってしまうのかもしれない。とにかく肉体派のダニエルの横では貧弱なのであるが、それもまた魅力の一つかもしれない。

さて、私自身の一度目の感想を読み返したら、どうもあんまりいい受け止め方をしなかったようで些か恥ずかしい部分もある。
特にダニエルに関してはこの作品の彼があんまりピンと来なかった的なことを書いている。
その後色々のダニエルを見てきた今となってはこの作品のダニエルはまさにぴったりの役どころだと思っている(そんなに変わっていいのか)
素晴らしい肉体美を披露する割にはアクション派ではなく銃も苦手としている。むしろ頭を使って行動するのだが、どこかゆるくて抜けている、といった役柄である。そこはかとなく滲み出るユーモアも持ち合わせていてその辺はいかにもイギリス人らしい持ち味なのである。

そして自分の感想を変更したいのは映画自体についてもいえる。
以前は「もっと違うやり方がよかった」などと言うことを書いているのだが全く判ってないとしか言えない(自分のことなのだが^^;)
余計な説明は抜きでぱんぱんと小気味よく進んでいく構成は申し分ない。どことなくゆるい雰囲気を漂わせながら緊張のある部分とおかしさを面白いバランスで作り上げている。
最初に観た時の感想とは全く違い大変に面白く仕上がっていると思えたから変なものである。この間に自分の観方が随分変わったのだろうか。
ただ、だからといってこの作品がそうそう凄く大好きではない、というのは最初観た時とあまり変わらないのは奇妙な点である。
こういう独特のテイストが好きなら絶賛だろうが、結局麻薬取引、裏社会、という題材が好きではないのだろう。というか好きだから余計好みに合う合わないが気になるのかもしれない。
単にストーリー自体が好みでないというだけなのか。

最後に流れる歌がどうしても私の世代だと日本語歌詞で聞こえてくる。尾藤イサオの『悲しき願い』である。
「だぁれのせいでもありゃしない。みんなオイラが悪いのさ」うーむ、まさにこの映画にぴったりだ。The Animals「Don't Let Me Be Misunderstood」の内容は知らないがかっこいい歌である。

監督:マシュー・ヴォーン 出演:ダニエル・クレイグ コルム・ミーニー ケネス・クラナム ジェイミー・フォアマン シエナ・ミラー マイケル・ガンボン マーセル・ユーレス トム・ハーディ ジョージ・ハリス
2004年イギリス
posted by フェイユイ at 21:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ダニエル・クレイグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月19日

『ザ・トレンチ(塹壕)』ウィリアム・ボイド

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第1次世界大戦、1916年7月1日、“ソンムの戦い”が始まったその日の早朝、僅か2時間の間に6万の兵士が死傷したという。
この作品はその戦いの始まる直前48時間の塹壕の中の若き兵士たちの行動や思いを描いている。

つまり戦闘場面というのは最後に僅かに出てくるだけで映像の殆どは狭い通路でしかない塹壕の中に限られている。
10代の少年である新兵たちと鬼軍曹(とまではいかないか)とややひ弱な印象の中尉が主な登場人物である。

遠い昔に観たロバート・アルトマンの『ストリーマーズ』を思い出した(遠い昔の事なので記憶違いでなければそれである)
ベトナム戦争を扱った映画だったが物語は兵舎の中のみで若い兵士たちが思いを語っていくという戯曲を映画化したものだった。
酷く惹かれた思い出があるが、本作でも48時間後に死に対面する若者達の青春を見入ってしまった(もしかしたら影響を受けているのかもしれない)
二つの作品の違うのは本作の方が後に製作されているのにも関わらず『ストリーマーズ』の方が同性愛についての悩みなどを語っていて観る者にショックを与える内容だったのだが、本作の方が時代が遡っているためとイギリス映画らしく落ち着いた渋い仕上がりになっている。綺麗な顔の少年たちが多く出てはいるが同性愛的とまではいかないだろうか。ほんのり匂わせていると深読みするものか。
主人公であるポールとエディに兄弟萌えを感じる方もいるかもしれないし、軍曹とポールの関係になにか感じさせるものもある。

登場人物の多くが10代の少年と思しき新兵たちでこれから死ぬかもしれない激しい戦闘を迎えさせるには忍びない。当人達もまだ戦いの何かは判ってはいないように見える。
そんな彼らを統率する役目がウィンター軍曹(ダニエル・クレイグ)である。多分上流階級である坊ちゃま然として神経質そうなハート中尉(ジュリアン・リンド=タット)と巧く折り合いをつけながら子供たちを指導していく。
少年たちの心の中には兵士として勇敢に戦うこと、或いは怯え逃げ出してしまうこと、思い出の中の女性(少女というべきだろうが)賭け事や仲間内の争いごとなどが様々に駆け巡っている。

少年兵達はいわば群像劇として描かれてはいるのだがその中でも兄弟兵士の弟の方、ビリー(ポール・ニコルズ)に焦点が合わせられることが多い。
彼は弟を戦場に連れて来てしまったと少し後悔している兄エディー(タム・ウィリアムス)をとても慕っている。そしてたった一度だけ二言三言言葉を交わしただけの郵便局の少女に恋をしている、そんな純粋な少年である。
そんな少年が命を賭けねばならない戦場の惨さを表現している。

塹壕の中、とはいえ、敵の攻撃を受け死んでしまう者もいる。その運命が襲ってくるのは偶然でしかないのだ。
偶然の中で彼らは若い命をなくしてしまう。砲弾で若い体はばらばらに吹き飛び微塵となってしまうのだ。
なんと戦争とは惨たらしく悲しいものなのか。
言動を軍曹から睨まれているダベントリー(ジェームズ・ダルシー)という少年がいるのだが、このような異常な事態で彼を責めることができるのだろうか。戦争という中では彼は確かに役立たずだろうが。

そして砲弾はいい者も悪者もなく飛んでくるのだ。なんの手立てもなく敵へ向かって進み続けなければならない兵士たちは一体何のために進んでいるのだろう。


若い兵士たちの群像劇だけに様々な若い俳優が出ているのだが上記以外にキリアン・マーフィ、ベン・ウィショーの姿を観れてとてもうれしかった(これに出てるとは知らなかった)キリアンはなかなかカッコいい印象の役であったのでファンなら観ておいて損はないかも。
しかし私は彼は置いといて、ベン・ウィショーに注目。ここでもうじっとしたちょっと根暗変人風で彼らしい。若い分だけさらに冴えない感じの中学生みたいでかなりカッコワルいのだがそこがよい。
実を言うと『パフューム』の変態主人公のベンがいつまでも脳裏を離れず最近もやもやとしていてでも彼の出演作品などそうないし(『レイヤーケーキ』は一応観てるので)ああ早くまた変態なベンが観たい、と思ってたら、まさかこんな所で会えるとは。予想もしてなかっただけに心臓が高鳴ってしまった(こんな役の人見て高鳴ってる人はそういないだろう。いるのか?)

肝腎の目的、鬼軍曹のダニエル・クレイグ。昨日の情けない役と違ってこちらはなかなか見ごたえあり。
妙に少年たちに物知り顔で近づいて同調しない所がよかった。おじさんにはおじさんの悩み苦しみがあるのである。
本質的にはダニエルは鬼軍曹ぽくも感じないけど(どちらかというと『バトルライン』のイメージがぴったり)昨日のがあんまり酷かったのでかなり楽しんで(って言う内容じゃない。すみません)観る事ができた。

監督・脚本:ウィリアム・ボイド 出演:ポール・ニコルズ、ダニエル・クレイグ、ジュリアン・リンド=タッド、ダニー・ダイヤー、ジェームズ・ダルシー、タム・ウィリアムス、アンソニー・ストラッチャン、シアラン・マクメナン、キリアン・マーフィ、ベン・ウィショー 1999年イギリス
posted by フェイユイ at 23:45| Comment(2) | TrackBack(0) | ダニエル・クレイグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月18日

『ロード・トゥ・パーディション』サム・メンデス

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アイリッシュマフィアの一員であり、ボスのお気に入りであるマイケル・サリヴァン。その彼が妻子を殺され復讐を誓いながら、まだ12歳の息子と共に叔母の家があるパーディションへと車を走らせるロード・ムービー。

というとなかなか好みの映画のようだが、何故だかあまり気持ちの入らない映画だった。
主演はトム・ハンクス、というだけで少し嫌な予感はするのだが、彼がいけないというわけではなくやはり作り手のせいだと思う。
本作は小池一夫のマンガ『子連れ狼』をモチーフとしているらしく確かに12歳の息子に車を運転させ親父が悪さをやってはそれに飛び乗って走り去るところなど面白いかもしれない。
だがどういうわけだか監督の趣味なのだろうか、全体が重く暗く沈みがちなのだが徹底して暗くもない。
演出もいかにも定番のマフィア的なもので退屈であった。
せっかくコメディが得意のトム・ハンクスが主演なのだからもっとはじけた面白おかしい路線でやって最後泣かせる、というほうがノリがよい上にもっと感動したのではないか。
じゃあなんで観たんだよ、というとそれはダニエル・クレイグが出演していたからでもっとチョイ役かと思いきや結構出番は多かった。
最初は妙にかっこつけて出てくるのにマフィア・ボスのできの悪い息子でトム演じるマイケルが父親の気に入りなのが気に食わない、というかなり情けない役柄である。
話が面白ければダニエルが割りの悪い役でもかまわないが殺されるシーンからして当たり前すぎる。

もともとあまり折り合いのよくなかった父と子が短い旅の間で心を通わせる、という感動の物語のはずなのだが悪い事をしながら旅をする父親に同調していく少年の気持ちがわからない。
大体が“悪い人間”であるマフィアなのだ。“普通の少年”である息子と“マフィアの父”の心が通い合うほどの何かを感じることはできなかった。
『子連れ狼』をモチーフにしなくともお国には『ペーパームーン』という悪党親子のロードムービーがあるではないか。あちらの方が愉快で可愛くてほんのりしんみりできたと思う。
ハードボイルドな父・息子をやりたかったのだろうがそこまでは行けてない。私は『子連れ狼』をそれほど知らないがもっと違うものだったのではないか。この辺香港映画『インファナル・アフェア』の本質を変えてしまったのと(舞台が変わるならそうならざるを得ないからね)似ている。

主演は他にボスのポール・ニューマンと必殺カメラマンのジュード・ロウ。ポール・ニューマンはおじいさんになっても素敵ですがなんとなく『ゴッドファーザー』のデ・ニーロみたいなしゃべり方をしているように聞こえたが気のせいだろうか。
ジュードは役作りで前髪を抜いてしまったらしい。殺した相手を必ず写真に撮るというサイコな殺し屋である。その割にはあっさりマイケルにまかれてしまう。普通もっと怖い存在になってもよさそうなのにこれも中途半端。

というわけで出演陣も豪華で、発想も面白いのに全て中途半端に仕上がってしまった。

監督:サム・メンデス 出演: トム・ハンクス、タイラー・ホークリン、ポール・ニューマン、ジュード・ロウ、ダニエル・クレイグ
2002年アメリカ
ラベル:マフィア 家族
posted by フェイユイ at 23:56| Comment(4) | TrackBack(0) | ダニエル・クレイグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月02日

「エリザベス」シェカール・カプール

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史実を映画化、といっても誰も真実を知るわけはなし、かなりの改変がなされていることは明らかだが、面白かった。
歴史問題というわけでなく一人の若い女性が一国の女王と変化するまでを描いているのだから色々と脚色されてしまうのである。英国と結婚しヴァージン・クイーンと呼ばれた彼女だが愛人は他にもいたようであるし(有名なウォルター・ローリー卿とか)
まあとにかく女王になるには想像を絶する覚悟と器量を必要とするのだろう。最初は長い髪を自然に垂らしあどけない表情だったエリザベスが、最後、仮面をつけたかのような白塗りと徹底的に飾り上げた象徴になってしまうのである。

エリザベスを演じたケイト・ブランシェットは申し分ない女王だった。イメージするエリザベス1世はやせぎすであまり女性的魅力に満ちてるようではないがその威厳を保ちながらも魅力あると思わせる美しさだった。
ところでさすがにエリザベス1世の話は有名で何かとエピソードを聞くことが多いが彼女と並んで語られ史実を映画化、といっても誰も真実を知るわけはなし、かなりの改変がなされていることは明らかだが、面白かった。
歴史問題というわけでなく一人の若い女性が一国の女王と変化するまでを描いているのだから色々と脚色されてしまうのである。英国と結婚しヴァージン・クイーンと呼ばれた彼女だが愛人は他にもいたようであるし(有名なウォルター・ローリー卿とか)
まあとにかく女王になるには想像を絶する覚悟と器量を必要とするのだろう。最初は長い髪を自然に垂らしあどけない表情だったエリザベスが、最後、仮面をつけたかのような白塗りと徹底的に飾り上げた象徴になってしまうのである。

エリザベスを演じたケイト・ブランシェットは申し分ない女王だった。イメージするエリザベス1世はやせぎすであまり女性的魅力に満ちてるようではないがその威厳を保ちながらも魅力あると思わせる美しさだった。
エリザベスといえばスコットランドのメアリー・スチュアートとの対比がよく語られるがここではその母親であるメアリー・ド・ギーズが出てくるだけであった。話が広がりすぎると思われたのか。

史実ではエリザベスとあまり年齢が変わらないはずのフランシス・ウォルシンガムをジェフリー・ラッシュ(「シャイン」の主人公デイヴィッド・ヘルフゴット役)が演じていて素敵である。
またその時共演だったジョン・ギールグッド氏は本作でローマ法王役。
そして本作を観る目的であったダニエル・クレイグはローマ法王から差し向けられたエリザベス暗殺者ジョン・バラードであるが実際はこの時の暗殺計画には参加してないらしい。はー。彼が加担したのは監禁されたスコットランド女王メアリー・スチュワートの救出とエリザベス殺害だがウォルシンガムにより未然に終わり処刑されたと。
ダニエルが堂々とエリザベスを暗殺しようと黒い法服をなびかせて歩いてくる所が実にかっこいい。ここでも拷問をうけていた。常に裸になる男、といわれるだけある。

だが実は本作で一番印象的だったのはヴァンサン・カッセルだったー!!
エリザベスに結婚を申し込むためフランスからやってきたお調子者のアンジュー公が彼。「オーシャンズ12」にも出ていた彼であるがあの独特の雰囲気。ステキです。
本作で落ち着いたエリザベスの対比として浮かれ者のフランス男を演じている、だけならまだしも女装姿まで見せてくださるとは。何をやってもセクシーでいい男なのである。うーん満足。

てなわけで思い切り楽しんだ「エリザベス」であった。無論衣装も美術も見ごたえ充分である。
ロンドン塔にブラッディメアリー。この辺りのイギリス史、楽しくてたまらないのだ。

監督:シェカール・カプール 
出演:ケイト・ブランシェット:エリザベス1世
ジョセフ・ファインズ:ロバート・ダドリー
ジェフリー・ラッシュ:フランシス・ウォルシンガム
リチャード・アッテンボロー:ウィリアム・セシル
クリストファー・エクルストン:ノーフォーク公
エドワード・ハードウィック:アランデル公
ファニー・アルダン:メアリ・オブ・ギーズ
ヴァンサン・カッセル:アンジュー公
ジョン・ギールグッド:ローマ教皇
ダニエル・クレイグ:ジョン・バラード
エミリー・モーティマー:カット・アシュレー、エリザベスの侍女
ケリー・マクドナルド:イザベル、エリザベスの侍女
キャシー・バーク:メアリー1世
エリック・カントナ:
ジェームズ・フレイン:スペイン大使
1998年イギリス
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2007年07月02日

ダニエル・クレイグ、ボンド役を離れる可能性示唆

ボンドは次で終わり? ダニエル・クレイグ、ボンド役を離れる可能性示唆

マット・デイモンも「同じ役ばかりやるのは同じ客とばかり寝る売春婦のようなものだ」(みたいな感じ)てなこと言ってましたしね。
好きなようにやってもらっていいんです(笑)

クレイグ、以前「スタートレック」のカーク船長やりたいって話読んだような。あれやるともっと長くなるぞー。
posted by フェイユイ at 22:54| Comment(8) | TrackBack(0) | ダニエル・クレイグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「10ミニッツ・オールダーGREEN(チェロ) イデアの森」

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正直に言うとこれの対になる「10ミニッツ・オールダー RED /人生のメビウス」の方が面白く感じられた。
だが、こちらの「イデアの森」は静かな思索の中にまた惹かれるものがある。

好きだったのは最初のベルナルド・ベルトルッチ「水の寓話」の奇妙な感覚と最後のジャン=リュック・ゴダール「時間の闇の中で」この作品だけは特別に素晴らしく、ぞっとするような美しさがあった。

ダニエル・クレイグ主演の「星に魅せられて」は宇宙飛行士の物語で不思議な静けさのあるSFがダニエルにはぴったりである。ダニエルの抱擁シーンは見逃せない。またダニエルが橋の上を渡っていく場面は物語を象徴しているように思えた。

監督:ベルナルド・ベルトルッチ マイク・フィギス イジー・メンツェル イシュトバーン・サボー クレール・ドゥニ フォルカー・シュレンドルフ マイケル・ラドフォード ジャン・リュック・ゴダール
2002年

ラベル:時間
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2007年06月23日

ダニエル・クレイグとマット・デイモン

今日は仕事が忙しかったせいもあって映画を観るには時間も精神力も足りないので、好きな人のことについて少し話してみます。
好きな人っていうのは勿論右サイドに出ているカテゴリでも個人名として出している男性4人。順番は好きになった歴史順であります。

多くの場合はそうでしょうが私はまず作品がいいと思った時点で好きになるので「好きなんだけど、作品は嫌い(または観ない)」ということはあり得ません。だからここに挙げた人たちの作品は好みなものが多いです。だから好きになると次々と観ていき、どれも面白いのでますます深みにはまる、と言うパターンが多いのです。カテゴリにはしてませんがレスリー・チャンがまさにそうで彼の映画作品のうち10本は本当に素晴らしいし(この数字は凄いと思うのですよ)他でもなかなかよいのがあると思います。

この4人を同等に語っていきたいのですが、何と言ってもジェイは歌手として素晴らしいわけで役者としてはまだ作品が少ないし(それでも「イニシャルD」は抜群だと思ってますが)張孝全は役者として活躍してますが好きになったのがドラマ「ニエズ」と映画「盛夏光年」でまだまだこれからという人なので(と言ってもこの2本で充分好きになるだけの価値がありますが)今回は後の二人、マット・デイモンとダニエル・クレイグについて書いてみようと思ってます。と言っても大したことは何もなくてただ何となく今思っていることをだらだら書くだけなんですが。
全くの個人の趣味なので同じように二人に興味がないと別にどうってことはない話なんですけどね。

私が二人を好きな理由は先にも書いたように出演作品が面白い、ということ。
とてつもなく凄い作品と言うわけでもないのかもしれないのですが、大通りではない微妙な位置にある映画が多い、というのがまた好きです。
と言ってもダニエル・クレイグは「007」という超人気シリーズを主演してるし、マットは(主演としては)「ボーン」シリーズがあってこれは新しい「007」などとも言われていたので妙な因縁を感じたりします(私だけですが)
他の共通点はなぜか二人ともスピルバーグ映画に出ている(-_-;)
スピルバーグはそんなに有名な人を出す人じゃないので出てなくてもいいのですが、なぜか出てる。二人とも有名じゃなかった時期なんでしょうが。
それぞれの作品にはそんなに似通ったとこはないと思うんですが、まだ気づいてないだけかもしれません。
別に探そうとはしてませんけどね。

本人達に目を向けてみれば金髪碧眼系ではありますが殆ど似てる印象はないですね。
筋肉質って言うかがっしりした体格は似てるかもしれません。私は細身はあんまり好きじゃなくて(ジェイは例外ですが)むしろ太めくらいの体つきが好きなんですよね。この点は二人とも凄く好きな体型です。
驚くのはこの二人印象的には随分年齢が離れている気がするのですが、実際はダニエルが2歳年上なだけです。ダニエルが老け顔でマットが童顔なので10歳くらい違う気がします。
役者としては年を取ってくるほど特に男性は童顔は損をすると思うのでマットはこの点大変かもしれないし、ダニエルはこれからより出番が増えそうです。
マットの映画で好きなのは前にも書きましたが今のところ最高は「ふたりにクギづけ」です。マットのイメージそのものの映画です。
ダニエル作品は「アークエンジェル」って映画じゃなくてドラマですが面白かったですね。

とまあ、以上です。ほんとに大したことは書いてませんが、特別に好きな人がいるっていうのは嬉しいことです。
但し血眼になって作品を追っていくために出費がかさむのは困りますけど。見境なくなる自分がいけないだけなんですけどー。


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2007年06月22日

「Obsession」Peter Sehr

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ベルリンを舞台にしたドイツ女性、フランス男性、イギリス男性の三角関係ラブストーリー。ダニエルのドイツ語が聞ける。
基本的字幕なしなのだが、登場人物がドイツ語・フランス語の時は英文字幕が付く。勿論私は眺めてるだけ。
今まで作品を観ていると「007」みたいなのは少なくて比較的静かな役が多かったのだが、本作は年齢的に若いせいもあるのかかなり活動的で衝動的である。「カジノロワイヤル」ばりの突っ走り場面もあり。
が、ミシンかけで象さんの刺繍をしたりして可愛らしい面も。

1997年製作なのでかなり若いダニエルである。結構黒髪にしてる作品があるのだが、この時は短いブロンドヘア。
好きになった女性に翻弄されてるのだが、どっちかというとオジサンにもててる気がする。

ワイルドなところもあるし、スーツ、コート姿がかっこいいのだが、ダニエルはこの辺観ててもやはり文句なしにかっこいいんじゃなくちょっと抜けてるっぽい駄目っぽい情けないとこがあるのだ。
必ず脱ぐシーンがある、という定説のようだがここでもちらりと披露。
表紙絵にされている毛布で彼女を包み込む場面はよくある演出かもしれないけどちょっと素敵である。

監督:Peter Sehr 出演:Heike Makatsch Charles Berling Daniel Craig
1997年ドイツ

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2007年06月21日

「Infamous」ダグラス・マクグラス

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日本版が出るのを待つ、と思っていたのにとうとう我慢できず購入してしまった。せめて中文字幕が出たら、と思ったが叶わず英文字幕で鑑賞。「Hi」くらいしか判らんのに。

せめてもの救いは今までに観た映画と原作と知ってる限りのカポーティ像。
だがどういうものか比較しようと思っていたベネット・ミラー版「カポーティ」が全く記憶から抜け落ちていてあのアメリカ南部遠景場面しか覚えていない。な、なぜ。
覚えているのはむしろその後見たリチャード・ブルックス「冷血」本作はかなり映画「冷血」を思い出させる場面が多く助かった(言葉がわかるなら感想は「助かった」じゃなく「似ていた」になるんだろうけど)
問題のカポーティは「カポーティ」で「思ったのと違う」という不満を吐いてしまったのだが、本作のカポーティは「これこれ」と言う感じだった。無論本人にあったわけでもなく写真で見ても瓜二つと言うわけじゃないが私としてはホフマン=カポーティよりこちらのとビー・ジョーンズ=カポーティが頷けたというだけ。というかもしかしたらフィリップ・シーモア・ホフマンを知っていたので却って入り込めなかっただけなのかもしれない。
ジョーンズ=カポーティはより猥雑でクイアな雰囲気が強くよりらしく思えた。

とにかく英語能力がない上、酷く饒舌な映画なので内容については語れない。結局日本版が出るのを待つしかない、が無論待たずに観たのは犯人ペリー役をダニエル・クレイグが演じていたからで確か(なにしろ記憶が)「カポーティ」で不満に思ったペリーとカポーティの関係を濃密に描き出していた。
カポーティが狭い牢の中で次第にペリーに惹かれていき、彼の話を聞きだすために自分の生い立ちも語って心を通わせ、彼のことを親身に思って語りかけ、ついにキスをするのだが、ホテルに戻ったカポーティは最初興奮気味に喜びを溢れさせるが次第にその表情は悲しいものと変わっていく。僅かなカットの間にカポーティの心の動きを表現した場面だった。
そしてカポーティの都会での華やかな生活と南部の刑務所でのペリーとの場面の落差の激しいことは。
だが前半に華やかな場面が多かったのが後半になるにつれペリーとのもの悲しい檻の中のシーンが多くなっていくのもカポーティの心を表している。
名声のために新しい試みをしているカポーティを最後まで「フレンド」と書いていたペリーの絵とカポーティに贈った歌を吹き込んだテープが悲しい。

この「冷血」を書き上げた後はカポーティはこれという作品を仕上げていないと聞いたが、この映画を観ればそうなった彼の心がわかるようである。
まあ、台詞が判りもしないのに感じたままを言っている。

だがこの映画、本当に日本で公開はなくともDVD化されるであろうか。どうあっても実現して欲しいのだが。

監督:ダグラス・マクグラス 出演:トビー・ジョーンズ、サンドラ・ブロック、ダニエル・クレイグ、シガニー・ウィーバー、グウィネス・パルトロウ
2006年アメリカ
ラベル:犯罪 同性愛
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2007年06月19日

「ジャケット」ジョン・メイバリー

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お説教されちまったぜ。娯楽と思って観始めたら実は道徳の教科書だったような苛立ちあり。

こういう時間が交錯する物語は大好きだし、拘束衣を着せられ死体安置所の如き引き出しに入れられるのが観てるだけでエコノミー症候群になってしまいかなりキツい体感があってしかも途中から拘束衣着せてくれーっていう拘束マニアになってしまいなかなか面白かったんだけど。ラストいい話に持っていてしまうのが脱力であった。
自堕落な母娘を更生させる話ってのはどうも受け付けない。正しいのかもしんないけど余計なお世話だ、ほっといてくれ、と言いたくなってしまうのだ。
ウェイトレスはいけないと?ふーん。で、看護士さんは好みなわけね。
悪い娘=煙草(しかもやたらと吸う)冷蔵庫汚い、濃いメイク、目つき悪し。いい娘=可愛いワーゲン車、三つ編み、丁寧な話し方。そりゃその通りだろうけどあまりにもそのまんますぎじゃないか。しかもジャックを助けたのは悪い娘の方じゃないか、セックスだってしたくせにさ。いい娘はやらせてくんないよー。

ちょっと注意されたくらいで禁煙、クスリ断ちできるものかどうか、火事になるよで禁煙できたら皆すぐ禁煙できるはずだけども。
クスリの快楽もそうたやすくやめられるのか、疑問である


監督はジョン・メイバリー 。ダニエル・クレイグ出演「愛の悪魔」を作ってるが、そこでも芸術家の才能のないジョージに冷たくて自堕落な生活を批判してたっけ。そういう基本姿勢の人なんだわ、この監督。
あちらではフランシス・ベイコンを表現する為、まるでデヴィッド・リンチのような映像を駆使していたが、こちらも映像には手をかけている。

一応これもダニエル・クレイグが出てるから観る気になっったんだけどもあんまり少なくて残念だった。それでも観てよかったとは思えたけどね。

ギャグっぽいのりのコメディならこういうオチでもいいけど、エイドリアン・ブロディみたいな顔のラストはもっと渋くキツメにやって欲しかった。
あ、じゃなくてコメディでやれば楽しかったんだね、この映画。ジム・キャリーで。じゃなきゃブロディさんにコメディやってもらう。キーラはそのままでよいし。ハチャメチャラブコメみたいなのだったらよかったのにな。

監督:ジョン・メイバリー 出演:キーラ・ナイトレイ エイドリアン・ブロディ ダニエル・クレイグ  クリス・クリストファーソン ジェニファー・ジェイソン・リー ケリー・リンチ
2005年アメリカ
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2007年06月13日

「シルヴィア」クリスティン・ジェフス

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今までのダニエル・クレイグとは全然違うイメージを持った。詩人、という知性的な役は今までも教授などあったのだが、今まで観たどこか頼りないようなちょっと抜けた役ではなく女性にモテて自我をしっかり持っているタイプなのだ。髪型も黒いやや長めの髪でした(「愛の悪魔」のパンフであの長め(って普通なんだけど短髪のイメージの人だから)の黒髪が自分で凄く嫌らしい、てことだったんでこの髪型も嫌いなんだろうな。しかもこちらの特典・インタビューでは坊主頭だった(笑)よほど嫌だったのか)
ヒロイン・シルヴィアの夫で何度も浮気をするという役でいわば悪役だがシルヴィアを見てる分には同情の余地あり。

詩人の才能を持ち、夫・テッドもその才能ある彼女を愛したのだが、結婚すれば結局家事育児は女の仕事となってしまう。その上やはり才能ある詩人で色男のテッドに異常と思えるほどの嫉妬心を抱くのだが、事実その猜疑心が当たっているという笑えない的確さなのであった。
とはいえ子供がいない時もスランプを感じて詩が書けずケーキを焼く妻を見て「ケーキよりもっと創作をするんだ」と言われてた時もそれがプレッシャーになっていたのだから、シルヴィアという女性は夫が誰であってもどんな家庭になっていたとしても不幸になってしまう人だったのではないだろうか。
シルヴィアがテッドと暮らすようになったとたん詩が書けなくなり、テッドが家を出て行くと素晴らしい詩が書けるようになる、というかなり露骨な性格だが、一人きりの方が詩が書けるというのはそうであろうとも思う。孤独な中にいた方が創作できるタイプの女性だったのだろう。

結婚し仕事をする女性なら詩という芸術ではなくとも多少は彼女の苦しみに共感できる部分もあるだろう。できるならこのような結末は迎えたくはないものだが。こういう気持ちになった事がないとは言えない。実はしょっちゅうある。
だもんで暗くて情けない内容ながら身につまされてしょうがない映画ではあった。
心優しい下階の老人に郵便切手がないか聞きに行き、そのまま暫く廊下の電灯を見つめ夢を見ていた、というシルヴィアはすでにこの世に生きていないようだ。
その切手は親へ宛てたものだと言うのがその後を物語っている。

グウィネス・パルトロウは「リプリー」でも作家志望の役だったがカーディガンできゅっと体を締め付けるようにする演技がか細く頼りない雰囲気を出す。涙が溜まっているような大きな目も美しい。金色の髪が古風な感じを持つ綺麗な女性である。

風の音が耳に残る悲しい映画であった。

監督:クリスティン・ジェフズ 出演:グウィネス・パルトロウ ダニエル・クレイグ ブライス・ダナー マイケル・ガンボン
2003年イギリス

グウィネスの母親役ブライス・ダナー、グウィネスにそっくりなんでよくもまあこんなに似た母親役を見つけたな、と思ってたら本当の母娘だった。凄い美人母娘。

死後ピュリッツアー賞を取った詩人・作家である、ということなのに初めて知った名前だった。夫のテッド・ヒューズと共に有名な人だったらしい。
調べてみると彼女の死後の夫と愛人もどろどろと大変だったようだ。愛人が子供と心中という最後は悲しいものがある。
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「永遠のアフリカ」ヒュー・ハドソン

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原語ではどうなっていたか判らなかったが物凄く広大な土地をアフリカの一言で片付けるとは。舞台はケニアなのだが、アフリカに憧れてと言っても範囲が広すぎるとは思うんだけど。

監督はヒュー・ハドソンで「炎のランナー」はよかったし「グレイストーク」も昔面白く観たが、こういう欧米人のアフリカに対する憧憬と生活というのをストレート過ぎるほどに描いたモノというのは何かむず痒かったり、或いはどこか醒めた目で観てしまうのはどうしてなのか。
もしかしたら自分には到底実現できないための嫉妬からくるものなのかもしれない。

母親が無理だというのを押し切って子供連れの身ながら新しい夫と共にアフリカ(ケニア)に渡った一人の女性の奮闘記、実話である。
だが彼女の悩みと言うのはアフリカそのものではなく家庭を顧みない夫に対するものなのでこれならどこでもある話である。
キム・ベイシンガー演じるクーキーはてんでで頼りない夫に歯噛みしつつもライオンやら象やらを追い返したり、畑仕事に家の改装、と物凄い大仕事である。映画だとその辺は端折られるが実際なら毎日毎日大変である。よく離婚しないものだと思うけど、こういうふらふらした男に女は弱いものなのかもしれない。やだやだ。
だもんでダンナが死んだときはなんとも思わなかったが息子のエマの死はさすがにこたえた。小さい時のエマも可愛いのだが17歳の時の彼は凄い美少年(ギャレット・ストローメン )なのである。私はあんまり美少年はいいんだけど綺麗な子だなーと思ってしまった。毒蛇をペットにしてるのも美少年らしい。しかもそれに咬まれたエマを助けようとする母親クーキーの姿はどうしてもぐっときてしまう。
叩いてでも毒蛇を捨てておくべきだったなどと言う後悔は結局先にたたないものである。
最愛の夫と息子に先立たれまだクーキーは娘と共にケニアに残り自然保護のために活動を続けているそうだ。

美しい大自然を眺め、現地の人と交流し、白人らしい生活を守りながら生活していくクーキーがやはりどこか羨ましく思ってしまっているのだろう。
息子を死なせてしまった時ですらどこか仕方ないというあきらめのようなものが感じられる。エマの飼っていた蛇を殺すのではなく放していく場面でクーキーのアフリカへの思いを感じさせる。

肝腎のダニエル・クレイグは土地の管理人といった役で登場。チョイ役なのだが一箇所だけじゃなくちょこちょこ出てくるのでしっかり観てる必要がある。
自由人という雰囲気でちょいむさくるしさがあってこれもなかなかすてき。
息子を助けて、という場面で颯爽と飛び出してくるが結局駄目だったという悲しい役。その辺もダニエルらしいのかも。

キム・ベイシンガーは硬質な美貌でケニアで息子を守りながら猛獣を蹴散らすパワー充分である。さすがに大自然にこの美しさは映えるのだ。
原題の「I DREAMED OF AFRICA」というのがまさしくぴったりの映画であった。

監督:ヒュー・ハドソン 出演:キム・ベイシンガー ヴァンサン・ペレーズ エヴァ・マリー・セイント ダニエル・クレイグ リーアム・エイケン ギャレット・ストローメン ランス・レディック エヴァ・マリー・セイント ギャレット・ストローメン
2000年アメリカ
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2007年06月11日

「ホテル・スプレンディッド」テレンス・グロス

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「魔の山」ならぬ「魔の島」という設定で単なるホテルじゃなく病人達を治療するためのホテルなのにますます重態になっていくようで怖ろしい。こんなに隔離された土地でなく案外自分たちの家でも同じような事が起きているのでは?という問いかけもあったりしないだろうか。

イギリス風ゴシックの味わいとおぞましい笑いに満ちた一作である。長男の狂気はいかにもサイコですよと口紅まで塗っていたりするから判りやすい。妹コーラは本当はどうだったんだろう、と気になったりもする。嘘だとは思うが意外とイギリスものってわかんないんだよね。ロシア人セルゲイとの愛が崇高と表現したくなる格調があってなのにどれもくすっと笑いながら作っているのが意地悪な仕掛けになっている。

とにかく奇妙で汚いとしか言いようのない映画なので頭を空っぽにして楽しんでしまうしかない。
なのに時々登場する暗い空の下の海辺の場面なんかが凄く印象的だったりするのだ。

しかし健康の為の煮物、と言っていかにも不味そうに作られていたが、日本の豆腐と野菜の煮付けなんかは凄く美味しくてご飯をたくさん食べてしまう、と思うがどうだろう。それだとこの映画が成り立たなくなるが。毎日同じじゃイタリア料理も食べたくなるだろうけど。

すでに亡くなった母親がホテルを支配してる様子は「シャイニング」のようでもある。その母親の影響を最も受けているのが長男。次第に狂気度が激しくなっていく。
母親に愛されていなかったという思いを抱き続けていた次男ロナルドをダニエル・クレイグが演じている。
ホテル唯一のシェフで母親の言いつけどおりの不味そうな健康食を
作り続けている。クレイグは自身も料理が得意ということだが、作る料理がこれでは可哀想であった。
かつてこのホテルで働いていたのに飛び出していった女性・キャスを一途に愛している。といっても他に女性もいないが。
肉体は逞しいが繊細な雰囲気のある男性であり、この映画にしてダニエル演じるロナルドはキュートで魅惑的でありました。

とダニエルファンとしてはいいんだけど、この映画の鍵を握るのはやはり妹コーラとセルゲイなんですねー。
コーラの存在はなんとなく「キャリー」を思い出させたりもするし、自分的にはコーラが主役だともっとおもしろかったんだけど。ロナルドとキャスよりセルゲイとコーラの愛の方が気になるし。
物語を明るい未来へ誘うキャスは素敵ではあるが、ゴシックロマンの主人公としてのコーラも見たかったのである。

監督:テレンス・グロス 出演:トニ・コレット ダニエル・クレイグ カトリン・カートリッジ スティーヴン・トンプキンソン ヒュー・オコナー ヘレン マックロリー
2000年イギリス
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2007年06月08日

「愛の悪魔 フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」ジョン・メイバリー

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さて困った。
というのは大変面白く観たのだが、ストーリーは他にないものであろうけど映像がまるでデヴィッド・リンチなのである。
リンチといえばそのおぞましくさえ感じる醜悪な映像を鮮烈な印象で作り上げる鬼才だが、その造形はフランシス・ベイコンの絵画からの影響が強く現れているといわれる。
なので本作はフランシス・ベイコンの物語であるし、リンチ映画と似通っていても不思議はないかもしれない。その映像はベイコンの絵画をそのまま映像化したようなものであるから。
ただ困ったことに私はベイコンの絵画は少ししか知らないので、この映画が純粋にベイコンの絵画から生み出されたものであるか、比較して論じる事はできない。
しかし私はリンチ映画は大好きな上、最近まとめて観ていたので強く記憶に残っているのである。
例えば変形した顔、独特のスローモーション、暗闇の中で煙草の火が見えている場面、襞の多い赤いカーテン、赤い部屋などがほぼ同じイメージで表現されている。そして背景にリンチ得意のあの闇から響いてくるようなコオオオという音や奇怪な音、はっきりしない時系列。死体への奇妙な愛着などは本作がリンチから影響を受けたのかベイコンとしてのイメージなのか判断しかねてしまう。特に「ロストハイウェイ」のイメージが強い。だがこの映画は「ロストハイウェイ」の翌年に作られているようでそんなに近くていいのかという疑問もある。
リンチ好きとしてはここまで似てるならリンチに作って欲しかったくらいだが、問題はこの映画のテーマはベイコンの伝記ということではなくベイコンの一時期を共にした愛人・ジョージ・ダイアーとの愛と死の記録なのであって、リンチにはホモ・セクシュアルなイメージがないので(あるのかな?)本作をそのまま作ってはくれないだろう。
この映画をいいと思ったのは実にその点であってよくある映画ではベイコンの人生をもっと描いていくものだが、ジョージ・ダイアーという一人の男との生活の部分だけを切り取って描いたという所こそがこの映画の美味い特性なのだ。

ベイコンを演出しているというのはいくつかあってエイゼンシュタインの「戦艦ポチョムキン」を鑑賞しているところと絵を描く時その映画のスティール写真で有名な口を大きく開けた目から血を流す「叫ぶ女」を側に貼っているところなど。ベイコンを演じたデレク・ジャコビが本人と驚くほど似ている上に素晴らしい演じ方をしていること(これをつい「カポーティ」のフィリップ・シーモア・ホフマンとつい比べてしまう。といっても演出法もあるが、ジャコビ=ベイコンは辛辣だが、女性的であるだけで性的欲求がどこへ向いてるのかさっぱり判らなかったあちらと違いゲイの雰囲気がはっきりと示されていた(特に強烈な行為があるわけではないが(ん、あるのか))

ダニエル・クレイグが演じたベイコンの10年近くの恋人であるジョージ・ダイアーは記録が残されているわけではないので多分に創作であったようだ。
なんとなく、ジャン・ジュネ風恋人というイメージで登場し、あっという間にベイコン氏とベッドを共にしてしまうがあっという間に飽きられているみたいである。なのにその後別れそうで別れきれないまま10年近くがたつのだが、映画的にはそんな時間がたったようには思えない(ように描いている)
完全なヒモ状態でベイコン氏について行動するだけの男。美しい肉体と顔立ちだけを売り物にしている男なのである。
ベイコンがあまりにも冷たいので(なんだかここだけ読むと不味そうな文章だな)観る者はジョージに同情してしまうだろうがとにかく何もない男なのだ。よくある小悪魔的な美男でもない。むしろベイコン氏に一途な愛情を持っていてけなげでさえある。
なんとなく映画で観たディアギレフに対してのニジンスキーのように思えたがどうだろう(ただしダイアーにはニジンスキーのような才能は欠如している、どころか何もない男として描かれている)
画家の寵愛を受ける男としての役柄でダニエルの演じ方も極めて挑発的に色っぽい。咥え煙草で服を脱ぐシーンは見惚れた。

映像的にはデヴィッド・リンチ的過ぎて少々とまどうが映画の主題であるベイコンとダイアーの道行きには心惹かれるものがあった。

監督:ジョン・メイバリー 音楽:坂本龍一 出演:デレク・ジャコビ ダニエル・クレイグ ティルダ・スウィントン アン ラムトン カール・ジョンソン ダニエル・クレイグ アン・ラントン エイドリアン・スカーポロー
1998年イギリス

フランシス・ベイコンの絵というと小説「ゲルマニウムの夜」の表紙が強烈な印象だった。
ベイコンのテーマである大きく口を開けた何の生き物かわからない怖ろしい何かである。どこに立ってるのかもよく判らない非常に動揺させるその絵を小説と同じように何度も眺めた。背景のオレンジ色も不安にさせる。気持ち悪いと思うほどその絵を見ずにはいられなかった。
ベイコンが宗教に対し強い反発心を持っていたことを知ればよりこの表紙に意味を感じることができる。
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2007年06月07日

ダニエル・クレイグの罠

あ〜あ、駄目だ。とうとうダニエルに捕まってしまいましたね。
ここんとこあまり誰かに深く入り込まずに冷静にやってたんですが。
誰かを好きになるのは幸せだけど辛い。特に今貧乏なのにあれもこれもと買いたくなってしまうのは。

レンタルだけで満足できてる間はいいんだけど、手に入らないものまで欲しくなってしまうともう駄目。

「愛の悪魔 フランシス・ベイコンの歪んだ肖像 」はついに購入して鑑賞。明日感想記事を書くけど。
この中のダニエルは昨日の知性ある教授とは真逆で、体だけが全てのような男。美しい。

追記:しかし今見たら私は最初にダニエルの「Jの悲劇」去年12月に観てるのね。それで今頃好きになったって・・・反応鈍すぎだー。
posted by フェイユイ at 23:30| Comment(2) | TrackBack(0) | ダニエル・クレイグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする