映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年01月10日

『悪魔のようなあいつ』第十七回/最終回 

悪魔のようなあいつddd.jpg

最終回となってしまった。

心中を望んだ静枝を一人だけで逝かせてしまった良は本当に気が狂ったかのように行動していく。
野々村は番号を記録されている紙幣だけを手元に置いて他の金を空き地に置かれた廃船の中に隠した。
良に脅された野々村は金庫に残した使えない紙幣を見せる。だがもう良はその金を使うことに躊躇はしない。
八村とつるんでいるやくざたちに金を渡し、密航の準備を始める。銃を購入した良はその足で野々村の店へやって来て野々村に銃を向けた。野々村が「お前に殺されるなら本望だ」と言うのを止めようとした恵い子が撃たれる。また止めようとした店員を撃ち良は野々村を連れて店を出る。
死ぬ間際に恵い子が言い残した金の在り処へと良は向かった。
廃船の中に3億円のはいったずだ袋が置いてあり野々村は良に言う「この金がお前を狂わせた」
八村は良について行く準備をしていたが、寂しげにするふみよを見て抱きしめようとした。ふみよが呼んだ名前は「良」八村はふみよのお腹の子供が良の子供だと感じてふみよを絞め殺してしまう。
そして良を殺そうと爆弾をぶら下げて廃船のところへ来たが、良からダイナマイトに火をつけられ爆発してしまう。
歩けるようになったいずみをつれた白戸刑事が廃船にたどり着いた。
野々村は船内に油を撒き火をつけようとして良に撃ち殺されてしまう。
応援に駆けつけた警官達が発砲し始める。兄に走りよったいずみは良の盾になって警官に撃ち殺される。
良も警官の発砲で傷ついてしまった。
3億円が風で舞い上がる中、血だらけの良は笑う。

主要人物の殆どが死んでしまい、良はどうせ病気で死ぬ。使われることのなかった3億円は風に舞って飛んでいった。

主人公が狂気に落ちてしまい、殺人を繰り返し、妹は警官に撃たれてしまうという怖ろしいようなドラマである。
それにしても当時、3億円強奪事件というのが庶民にとって「すかっとする」夢のような犯罪だった、というのが不思議でもあり、そういう時代だったんだ、と思うしかないんだろう。
夢を夢のままで見させてくれるかのように犯人はいまだ見つからずすべては謎のままなのである。

野々村さんは最後まで良のことだけを思って死んでいった。結局幸せだったんだなあ。本望だったんだから。
いくらなんでも女の子がいるのがわかってるのに発砲はしないよなあ。急に飛び出したって言う展開ならわかるのだが。
八さん爆発しちゃった。ばらばらだな。おばあちゃんだけ生き残ったわけだ。
店員さん、余計な一言で撃ち殺され。
壮絶な最期だった。

何はともあれ終わった。
実はこんなに面白いとは思ってなかった。もうちょっと適当なのかなあと。
3億円強奪場面なんて凄い力入ってて映画みたいだしかっこいい。
最初から最期まで野々村さんの熱愛は胸に迫る切なさに満ちていた。
最後、良が「他の奴は来なくてもあんただけが来てくれればいい」と言った時のうれしそうな顔。
良が野々村さんの白いシャツをナイフで引き裂く時、いつも迫真の演技のジュリーがケガさせないように気を使っているのがちょっとわかって微笑ましかった。
藤竜也の魅力がこのドラマを観てやっとわかった。
そしてジュリーの歌。
これは昔も今も同じようにやっぱり好きだしいい歌だ。良をやってるジュリーから歌を歌っているジュリーは突然変わってしまうのも不思議な感じだった。歌を歌う時はジュリーに戻ってしまうのだね。

3億円事件を扱ったドラマということもあるし、様々に時代の匂いを感じさせるドラマだった。

脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本


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2009年01月04日

『悪魔のようなあいつ』第十六回 

あら矢頭さん死んだわけじゃなかったのね。
てことで良は矢頭を刺した後、3億円を隠したはずのノノの小船へと走る。
野々村は良から見捨てられた衝撃で打ちのめされている。
船にはもう3億円は残っていない。良は王の仕業であることに気づき、すぐさま王の元へ行き、3億円を取り戻す。
だが王の家を出た途端、良を背後から襲った者がいた。

ついに野々村さんが耐え切れず良を監禁してしまった。無論、今まででも野々村がそうしようと思えばいつでもできたはずだが、彼は良を縛り付けてしまうことへの怖れがある。良が自分を束縛するものを憎むのが判っているからだ。それでもなおそうしなければ仕方のない切羽詰った所へきてしまった。
野々村は監禁した良に「助けてくれと言え」と電話する。そうするしか良を繋ぎとめられない野々村が切ない。
良を波止場の倉庫に監禁している間に野々村は3億円を調べる。2百万が足りない。その中には番号を控えられている紙幣が含まれているのだ。野々村は良が危機に直面していることに恐怖する。

初めて野々村が起こした良に対しての積極的な行為だった。監禁してしまうなんて隠微だなあ。野々村さんは結構電話で良に思いを伝えることが多いようだ。面と向かって言うのが恥ずかしいのだろうか。
良のためにせっせと3億円を調べるのもケナゲである。そして良が3億円を強奪した直後のことを思い出す。
自分がまだ現役の刑事で3億円事件を追って追っていた時、良の部屋で着ろキされた記録された番号の紙幣を見つけてしまう。
野々村さんは孤児院を出て大学へ進み警部にまでなったのだが良のためにその地位を捨てたのだ。
その後スナック経営してもあんなに金持ちになってるんだから何やっても才能のある人なんだねえ、かっこいい。
良に電話で「俺以外にお前を助けられる人間がいるか」と訴える野々村さんが可哀想でさー。

結局良は八が連れてきた王を刺し殺してしまう。王の遺体は川に沈める。
良は野々村に怒っているが3億円は野々村が握っているのだ。

白戸刑事と良が再び会い見える。良は鼻血を出す。病魔が彼の体を蝕んでしまった。静枝は彼の最期を感じ、心中しようとするが良はまだ死ねないと拒絶する。

今までにない野々村の良監禁という激しい行動と一緒に逃げようと言ってくれという願いはまた空しく消えてしまった。
良の死期は迫っている。
王は死んだが、彼が最後に3億円の記録された番号紙幣をわざと使ったことで良はさらに危機にさらされている。

脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本
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『悪魔のようなあいつ』第十五回 

かなり奇妙な展開である。
記憶を失った可門良は、暴走族とつるんでいる内に警察に捕まってしまう。偶然それを見た野々村はすぐに良を助け出した。
再び良を引き寄せられた野々村は良の記憶が戻ることをどこか怖れているようにも見える。
だがその様子を見た八村は野々村を騙して良を引き離してしまう。そして良の記憶が戻るように彼に関係した色々な場所へと行ってみるが効果がない。折りしもデパートで「3億円事件展覧会」なるものが催されていた。八村は早速良をそこへ連れていく。
良は強奪の時の服装や様々な使用物を見ているうちに記憶が蘇り、自分で作ったバイクにまたがってしまう。
良は記憶を取り戻した。

自分で起こした強奪事件の展覧会に行って失くした記憶を取り戻す、という不思議な話である。
それにしても良を取り戻した野々村さんはうれしそうだった。ほんとに良の記憶がもう戻らない方がいいと思ったかもしれない。適当に嘘ついてさ、「お前と俺はとても深い関係なんだよ」なんて言って念願のポールハーパー島(だったっけ)に連れていってしまってもいいしね。
ついうっかりして八さんに奪われたのがまずかった。
でなきゃ野々村さんと良がずっと一緒にいるのが観れたのに。惜しい。
おまけに展覧会で矢頭に良といるのを見られてしまい、また矢頭に絡まれることに。
この矢頭って一体どういう人格なのか、よくわからん。単にサドなのか、良のいじめ方に執念ありすぎなんだもんな。
だが今回はやりすぎたのか。ついに良は矢頭にナイフを突き立ててしまう。
しかし3億円は謎の中国人・王の金庫に入っている。王はホテル王を妹にまかせ旅に出ると言い出した。
そしていつもの姿と違い、リュウとした服装に身を包み3億円の中から一掴みを取り出した。

3億円はもう手元にないのに良は再び犯罪を犯してしまう。
記憶を戻した良は誰もいない野々村の店で一人歌を歌う「時の過ぎ行くままに」
今の人が聞けば別にただのいい歌なんだろうけど、何故か聞くとじわっと涙が出てしまうのだ。
なんだか酷くその時代を思い出させてしまうのだよね。自分自身はまだ何も判らない子供ではあったとしても。
歌というのはそういうものなのかもしれない。

脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本
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2008年12月26日

『悪魔のようなあいつ』第十四回 

今回もなかなか面白い一話だった。記憶喪失というのは映画でもよく使われる題材ではあるが、この一話を映画に作り変えることもできるような感じ。
つまり記憶を失った美青年が頭の弱い少女といるところを暴走族に絡まれてしまい、その中の1人の少女が美青年に興味を持って記憶を取り戻す手伝いをしていくうちに、青年の危険な過去がわかっていくというストーリーである。
『ボーン・アイデンティティ』の犯罪者版というところ。
肩に弾丸の痕があったり、暴走族少女の胡散臭い兄と関係があったことがわかったり、青年が持っていたマッチから訪ねたスナックでギターを手にして歌が蘇ってきたり、バイクにまたがったことで3億円強奪の場面が思い起こされたり、となかなか面白い映画になりはしまいか。
今回も野々村さんが良を守る為に恵い子と一緒に人芝居うって刑事を騙したり店の従業員を駆りだして良を探させたのに見つからず落ち込んだりと良への一途さを発揮している。

良は記憶を失ってノノの船に3億円を隠したことも忘れ、暴走少女マキの兄である王に3億円のありかを教えてしまう。
王はすぐノノの船に行き、邪魔しようとしたノノを殺してしまった。

良はぼんやりとしたままマキと仲間の暴走族とつるんで走っているところを暴走族狩りで捕まってしまう。
警官に追い立てられる良の脇を野々村が偶然通りかかる。大喜びで良の腕を掴む野々村だったが良はまったく何も思い出さないのだった。

ノノのお通夜だと言って店の子たちが歌う『ママリンゴの唄』
前にも歌われたけどいかにも昭和的な素朴に頭に残る歌である。

脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本
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『悪魔のようなあいつ』第十三回 

この辺の物語はなかなか裏社会的な隠微さがあってよいなあ。

ふみよが盗んだ3億円をなんとか奪い返した良。白戸警部には傷を負わせたうえ、手錠でバイクにつなぎ動けなくした。そしていつも困った時にはすぐ助けてくれる野々村を裏切り一人だけ車に乗って逃走。
「ホテル王」という名前の安宿の主人に密航の手配を頼んでいた良だったが折悪しく台風で船は欠航。
仕方なく「ホテル王」に身を潜めた良だった。

「ホテル王」の主人・王礼仁を細川俊之が演じている。怪しげな中国人というのが似合っている。
背中に赤ん坊(?)を背負っていて冷静沈着、殴られても抵抗しない、という人物。
良の受けた弾は貫通していたのだが何度も雨に当たったせいか高熱を出して倒れてしまう。
そんな彼を助けたのが頭の弱いノノだった。

すべての設定が胡散臭くてほんとに今ではできないドラマだろうなとつくづく思ってしまう。

良に裏切られ逃げられた野々村は荒れて酒に酔い、良の部屋へ行き、良の匂いが残る毛布に包まってしまう。
そこへ静枝が現れの野村から良の経緯を聞く。
静枝は良の体を心配する。
良の病気は高熱によって発狂するか記憶を失うのだと言う。

雨に打たれ高熱を出した良をノノが懸命に介護する。頭の弱い少女なので裸で洗濯物を干したり、良を体温で暖めようとしたり、これも今観ると結構驚く。
野々村と八村は別々に良を匿った王ホテルへたどり着く。だがそこには良はいない。
ノノが買い物に行っている間、良は苦しむ。いい男は苦悶の表情が色っぽい。
ノノが戻った時、良は記憶を失っていた。

3億円は手元にあるが記憶を失くした良。一体どうなっていくのか。

八さんのふみよに対する愛情も涙モノだなあ。ふみよってほんとに酷いのにな。

脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本
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2008年12月17日

『悪魔のようなあいつ』第十二回 

凄く内容が濃くてかっこいい一話だった。どうなるかとはらはらしたし、この回は見応えある。

潔白を示す為、自殺しようとした静枝はふみよが怪しいことを良に教える。
良はふみよをおびき出し、甘い言葉をかけたり脅したり殴りつけたりした。3億円を取り戻す為なら良は何でもする気になっている。
言い逃れようとしたふみよだが階段を踏み外し気を失ってうわ言で3億円の隠し場所を言ってしまう。
だが八村モータースには白戸警部が何も知らないまま居座っていた。

良は野々村に相談を持ちかける。白戸をおびき出し、その間に金を奪い返す計略だ。
野々村は二つ返事で良の要望を聞いた。車と拳銃。
良の誘い出しを白戸は受けた。だが八村のおばあちゃんが良が家の近くに来ていたことをしゃべってしまった。

相変わらずの野々村の良への耽溺ぶりが涙モノ。野々村は見返りは何も要求しないのだなあ。
その従順さをあてにした良の悪魔っぷりがすてきだ。
二人が計画を立て、白戸がどうやら気づいたのに良が八村モータースへ来てしまう。ここら辺の緊迫感は手に汗握る。
待ち合わせ場所にはいつもの見張り役刑事がやって来てすぐに野々村は状況を察知して刑事を撃ち、良の元へ走る。
良が3億円を見つけたところで白戸が声をかけた。
銃撃戦が始まる。良の撃った弾が白戸の腹に当たり、白戸は良の肩を撃った。
白戸がもう少しで良の手に手錠をかけようとした時、野々村が駆けつけ白戸を殴りつけ、手錠で彼の手をバイクにつなげてしまう。
3億円を袋に詰め込み用意した車で逃げようとした時、良は野々村の銃を取り上げ彼に向ける。茫然とする野々村。
良は野々村と八村を残し3億円を積んだ車で走り去った。

3億円強奪の場面が挿入される。この部分は凄くかっこいい。
何故良にとって3億円強奪が青春なのか、それはあまりわからないのだが、それはどうでもいい。
良のためなら殺人でもなんでも犯してしまうような野々村さんの一途さに打たれてしまう。
そして野々村さんはどこに走っていくのか判らない良を憎みながら愛しているのだろうな。
危険な二人である。

脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本
posted by フェイユイ at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 悪魔のようなあいつ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『悪魔のようなあいつ』第十一回 

鏡の裏に隠していた3億円が何者かによって奪い去られてしまった。
青春を奪われた可門良は彼に関係する者たちを疑い問いただすのだった。

今回も良と野々村さんの場面が危ない。
「今日で28歳になったよ」と昼間から野々村の店へ訪ねる良。野々村は自分と良が一緒に住むことを夢見ているポール・ハーパー・ジュニア島が地図からなくなってしまったと必死で探したあげく店で眠っていた。カウンターに座る野々村にいつもより甘えかかる良。「そこはどんなとこだい」「オレンジがたくさんなっていてとても美味いんだ。枝からもぎってこう・・・」と食べる真似をしたところを良が彼の首を締め上げた「俺の青春を返せ」
殴りあう内に二人は服が破れて裸になってしまう。店の女の子たちが良の誕生日を祝いながら入っている。殴りあう二人を止める。やがて笑い出す二人。
そこへ白戸警部が入ってきて「鏡の奥の金はどこにやったのか」と聞くのだった。

野々村、白戸、静枝、八村、皆を疑ったが3億円は出てこない。実は良が最初から疑いをかけなかったふみよが犯人だったのだ。
ふみよは3億円を箱に入れ、自宅の台所に隠したのだった。

女達に対する良の扱いの酷いこと。しかし女たちもなんだかうっとうしいんだよねえ。
ポールシーハーパージュニアはほんとにあるのか。
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2008年12月12日

『悪魔のようなあいつ』第十回 

悪魔のようなあいつa9.jpg

そしてこちらは大きく動いてきましたね。
白戸刑事の差し金で八村はいずみを誘拐。八村の悪戯だと笑う良に白戸は八村をそそのかしていずみの悲鳴をテープに録る。さすがに色を失った良だが録音の中に白戸の声を聞き、野々村に頼んで警察を八村の家へ向かわせる。そして八村の女房・ふみよに電話口で叫ばせ八村に聞かせた。
八村を脅かす為にふみよは良の作戦に乗ったのだが、自分を叩く良が本気だったことに傷つく。そしてそっけなく良が出て行くのを恨めしい目で見つめた。

良は白戸刑事の誘拐計画を阻止したことで安堵していた。
野々村が「ちょっと話をしていかないか」と誘っても「俺には明日があるから」と答える。
そこへ白戸が来て「お前の部屋が大変なことになっているぞ」と耳打ちする。慌てて部屋に戻った良は3億円を隠していた鏡がどけられ、3億円がすっかりなくなっているのを見たのだった。

いくらなんでも誘拐というのは酷いと思うのだが、良の切り替えしでなんとか妹は無事に病院へ戻った。
だがここに来て3億円が何者かによって奪われてしまったのだ。
犯人はふみよか、静枝か、他の誰かなのか。
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『悪魔のようなあいつ』第九回 

ありゃまた倦怠期。話が進まない1話だった。

こうなると観るのはとにかく野々村さんの悲哀だけですなあ。
藤竜也さんがだんだんかっこよく見えてきたし。いや、もともとかっこいいんですけどね。

良は妹の足の手術のためにとうとう時効前に3億円の一部を使うことを決意する。
3億円の中に200枚だけ警察が番号を控えている紙幣があるのだ。もし良がその紙幣を使ってしまえばすぐに3億円強奪犯人として捕まってしまう。
野々村は良に手術代を渡そうとしたが白戸警部の計略でその金を奪われてしまう。再び野々村が良に金を工面しないよう白戸警部は野々村を捕まえ拘置所に入れてしまった。

なんとか良を助けようとする野々村さんがまたもやいじらしい。良が3億円の一部を使うことで逮捕しようと目を光らせる白戸警部。良はもう少しで警部の目の前に金を出してしまうところだった。
が、野々村が元、警視だったことで上層部に圧力をかけ、拘置所から出て危ういところで良に200万円を届けたのである。

酒を飲みながらの野村に礼を言う良。だが良は野々村が良を手放したくないために3億円の紙幣番号の控えを隠しているのではないかと問いかける。
良の疑いは当たっていた。

野々村さんの恋のように苦しく辛いものを最近は見ないような気がする。こんな悲しい恋というのもいいものです。

もう少しのところで良の逮捕を逃した白戸警部。とうとう八村に良の妹を誘拐して3億円を引き換えにすることを計画する。
おいおい、いくらなんでも警部が少女誘拐計画しちゃいかんだろー。

脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本
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2008年12月01日

『悪魔のようなあいつ』第八回 

悪魔のようなあいつ3.jpg

野々村さんがたっぷり出てくるうれしい1話。
おまけに「こんな恥ずかしい場面、いいのかにゃー」と身もだえしてしまう。
良の病気のことを知った野々村さんがすぐさま良に電話をするが店の連中が良をスポーツジムへ誘っているとこだった。ジムで汗を流している良のところへの野村さんがいつものスーツ姿で登場。
しかしその前の場面でもわかるが野々村さんって何もしてない風なのに筋肉質のいい体なんですよねー。
で、野々村さんに声をかけられた良は一緒に屋外プールの方へと歩いていく。側にあるデッキチェアに腰掛けたふたり。
野々村さんは良に彼の病気を知ったことを伝える。
「良!」いつものように苦しげな声で呼びかける野々村さん。でも良は何も答えず野々村さんもそれ以上何も言わない。
二人は目の前にあるプールに二人が泳いでいる幻影を見る(このイメージ映像がやたらいやらしくてさ。別に何をするわけでもないんだが、プールで着衣のまま泳いでいる二人の男、っていうのはあまりにもいやらしいではありませんか。卑猥だあ)
そして二人は立ち上がり、無言のままプールへと近づいていく。帽子や上着だけを取って服をいたままプールへ飛び込んで泳ぎだすのである。
イメージだけじゃなく本当に泳いだふたり。
笑いながら上がってきて芝生の上で並んで横たわる。
今までにないほど二人が近づいたひと時だった。

この回で良は今までの絶望した暗さを忘れたかのように前向きでどこか希望を持ったかのようである。
この後、妹の手術のため明日までに200万円を、と要求され野々村に甘えるように電話をかける。
仙台から戻ってきた白戸警部の策略で野々村の金を手にすることができなくなった良はついに時効前の盗んだ金に手をかける。
野々村は白戸によって拘置所に入れられていた。
良はどうなってしまうのだろうか。

という今回であった。
前回に続いて見応えある。
野々村さんの優しさに甘える良もまた魅力的なのである。それがやりすぎじゃなくどこか今までどおり醒めているのも良のかっこよさだな。

八さんもいつもどおりずぶずぶに追い込まれていて情けなさがますます加速。
尾崎紀世彦さんの矢頭たけしってちょっとしか出ないと思っていたのにずっと出てくるしずっと嫌な奴のままである。尾崎さんもこんな役よくやる。
尾崎さんに絡まれる時、なぜか荒木さんがうれしそうな顔になるのだよ。

脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本
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2008年11月30日

『悪魔のようなあいつ』第七回 

悪魔のようなあいつ4.jpg

前回までやや沈滞気味だった物語がここに来て本道へ戻ったような。
良の妹に回復の兆しが見えたということで看護婦さんともども病院へ戻り、良がまた1人になったこともあり。

良が昔まだ八村モータースで働いていた頃のことがここで語られる。レースで事故ってしまった八村は本業のバイク店の経営も上手く行かなくなり従業員も良だけになってしまう。
良は1人きりになりながらすでに少しずつ犯罪で大金を手に入れることを考え続けていた。
様々なニュースが彼の中で一つの犯罪を形作っていく。警察の制服(偽物だが)を手に入れバイクを改造して白バイのようにみせかけ他の必要なものを盗んでいった。
雨の日の決行。
入念な計画を実行していく良。警官に成りすまし、白バイに乗って3億円を乗せた車を止め、爆弾が仕掛けられているかもしれないと言って搭乗者を降ろし、車に乗って走り出す。
単なるフィクションならいいが、この当時実際に3億円事件は時効が迫っている未解決の状態で(今でも未解決なわけだが)よくこんなドラマ企画が通ったものだと思う。
犯人を演じる沢田研二のとろんとした甘い眼差しがこの大胆な犯行と非常にアンバランスで奇妙な魅力を覚えてしまう。
この目というのはジュリー以外にないもののような気がするのだが。
そして犯罪だけでなく関わった女性たちにもうわべと本音の違う「悪い男」なのである。
こんな「悪」を主人公として演じてしまう沢田研二とそんな物語を作った当時の製作者たち、そんな時代はやはり特別なものだったんだろうか。

前回で八村は借金の肩代わりにしようとして良が3億円を持っていることをオカマ風やくざ倉本(伊東四朗)に教えてしまう。そしてあの事件の犯人であることもばらしてしまうのだ。
もう少しで倉本を殺しそうになった良を野々村が止めた。
その後、酷い怪我で入院した倉本はさらに執拗に野々村を脅しにかかる。
良が不治の病であることを倉本から聞かされた野々村は逆上して倉本を短刀で刺す。
もう毎回野々村さんには泣かされます。
いいなあ。この切なさ。
なんでここまで一途なのか。なんで良をここまで愛しているのか。
男の純情、というものでしょうか。
野々村さんもまた悪の匂いを持つ男でかっこいいんですよねえ。良のためならどうなってもいい、という命を捨てている感じがたまんないです。

当時の歌や風俗がたっぷり見れて楽しい。
荒木一郎さんの髪型は相変わらず風に吹かれまくってますが衣装も奇抜です。特に「若い頃」はかなりいってます。
ジュリーのファッションも「美少年」というかんじなのでしょうかねええ。ファッションというのはほんとに時代が変わると恥ずかしくなるものです。
伊東四朗さんのオカマやくざ凄かったのにね。

脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本
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2008年11月18日

『悪魔のようなあいつ』第五回 第六回

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この時代は鍵ってもんがないのかね、って思うくらいいつでも誰かが勝手に入ってくるなあ。そのくせいかにも前フリで「鍵はかけないでね、閉じ込められているみたいでいやなの」ってそんな無用心なことを平気で思える時代なのでもある。

一番最初に主人公・良が「3億円事件の犯人」であることとそれにたかろうとする男・八村がいること、良を愛する野々村、そして良を慕う女がたくさんいることが語られてからほぼ何も進展しないと言っていいドラマである。
とにかく3億円事件の時効が少しずつ迫ってきていることと良の命が少しずつ危うくなってきてどちらが先に決着するか、ということのみが変化であって、白戸警部と八村と野々村が常に良につきまとい、女たちも代わるがわる良につきまとう。
良はそれらと結構やんわり付き合っているのだが時に感情が爆発してしまう。その辺がまた良の魅力にもなっているのだ。

したがって感想も同じ言葉の繰り返しになってしまうのだが、とにかく野々村さんの描き方は他にないほどかっこいい。
良が隠し持っている3億円は何枚かが番号を控えられている為に使うとばれてしまうという。そのことは元刑事であった野々村自身が知っているのだ。
死が近づいていることに焦りを感じた良は3億円の中の一枚を使ってみようかと思う。そして野々村の店で「前、使えない金があるって言ってたよね」とそれを見せるのだ。野々村はすぐにその金が何かを悟りライターで火をつける。野々村が手に持ったままに燃やすその1万円がもう少しで燃え尽きようとした時、突如現れた白戸警部が野々村の腕をつかんだ。野々村は火のついたままの札をその手で握りつぶす。白戸が手を開かせた時、小さな燃えカスだけがあった。
良のことを心配して何の躊躇いもなく火をつけ握りつぶす野々村の異常といってもいい深い愛に眩んでしまいそうだ。
良は野々村の気持ちを知ってつかず離れず甘えるような目をしては「邪魔をするならあんたでも殺す」と言ったりする。雨の中で男を半殺しにしようとする良の残忍性とそんな良に「お前のためなら何でもする」という野々村。
良に出会った女はみんな良を好きになってしまい、良も悪魔のようなささやきで女を虜にする。野々村も良を愛しているが女と同じように良と関係をもつことはできない。良を見つめる野々村の目は絶望しか見えないのだろう。その思いは切なく苦しい。
そして他の女たちも良を愛するがために皆絶望を感じている。妹いずみもふみよも看護婦も恵い子も。

八村が賭け麻雀をやる店のやくざがオカマっぽいのであるがこの人がこともあろうに伊東四朗さんだった。伊東さんがおかまでやくざなんて怖すぎる。
そして再び登場、矢頭たけしの尾崎紀世彦。またまた酔っ払いの嫌な奴である。よくこんな嫌な男の役を引き受けたものだ。TVなのにここまでえげつないなんてなあ。
そして相変わらず放送禁止用語も出てくるが今回よっぽど駄目だったのかDVDにも拘らず女性が八村を罵った言葉が削除されていた。かなり酷い言葉だったんだろうなあ。想像つかない。

ところでこのDVDを観出してから知った上村一夫の『悪魔のようなあいつ』原作というのではなく同時進行のような形で描かれていったものらしい。内容もTVとはちょっと違っている。良は沢田研二とは全然違うタイプになっているが何故か野々村さんはそっくりである。八村は外見は似てはいないがイメージ的に情けない感じは同じ。特にこの辺の八村はしょぼくてみっともない感じがよく出てる。荒木さん、ますます髪が四方八方に入り乱れています。

ドラマでも今回何故だか登場人物紹介みたいに顔が出て名前と年齢が表記された。名前はわかるとして年齢まで書かなくても?
まんがでもしつこいくらい年齢が書かれるの。これも当時の感覚なのかなあ。

脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本
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2008年11月17日

『悪魔のようなあいつ』第四回

akuma.jpg

野々村さん、切ないですね。
うーん、確かにこの時の藤竜也はいいですねえ。これを最初に観てたらやっぱり好きになってしまっていたことでしょう。

野々村さんと良が孤児院で共に育った関係で一緒に脱走した、なんていう過去がまた昔の物語らしくてとてもいい。昔は孤児院て話が物凄く多かった。無論戦災孤児という歴史的な事実があったわけで。マンガでも孤児院だとか両親がいないという設定が溢れていたのだよねえ。
そういう他に頼るものがない二人が強く結びついている、という話にはとても弱い。今でもありうるとは思うのだけどね。

少しずつ謎が解けていく。
特に今回突然に良が3億円を隠し場所から取り出してみせた。うーむ。3億円って結構重いだろうに、こんな場所だったら重くて看護婦さん大変だったでしょう、ていうかいずみちゃんだってこんな重いもの動かし続けてたら筋肉隆々になりそうだ。

ジュリーって目が凄いよね。この目、悪魔だよなあ。野々村さんが恋するのも当たり前だ。
藤竜也氏は笑い方が上手い。いい笑い声だ。
荒木一郎さん、しょぼさがたまりません。
それにしても今このドラマを観ていると「放送禁止用語」を連発していることに一番驚くのかもしれない。そう昔は今はあんまり公に言わない言葉をTVでもがんがん言ってたんだよね。そういう言葉は差別的だから使ってはいけない、というのが当たり前になってしまった今、ここまで使われるとかなりびびる。
八郎さんの歩き方だけでも今TVではやれないだろうなあと思ってしまう。
全然これと関係ないけど、「日雇い」という言葉を最近よくTVで使うので「使っていいんだ」とびっくりしている。若い女の子に対して使うことは昔はあんまりなかったんだろうけどね。
時代が移っていくと色々感覚は変わっていくものだと思うのだった。
posted by フェイユイ at 22:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 悪魔のようなあいつ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月16日

『悪魔のようなあいつ』第三回

悪魔2.jpg

安普請で歩くたびにぎいぎい言うセットといっこう先に進まないだれた雰囲気がたまんないっすね。

とはいえ今回も野々村(藤竜也)の良(沢田研二)への愛情だけは深く深く嵌まり込んでいくようであります。
良がいなくなった部屋へいきなりぶらりと入ってきて丹念に周りを見回したかと思うとまたもやシャツを脱いでます。
そしておもむろに先ほどまで良が寝ていたベッドに横たわりまだ体温と匂いも残っているであろうタオルケットを愛おしげににぎりしめ頭からすっぽりと被って幸せそうにまどろんでいるのでした。
そこへなんと八村八郎(荒木一郎)が入ってきて(つまり誰でも入ってこれるわけね)こともあろうに三億円についてべらべらしゃべりだすのでした。
ここはさすが野々村氏。良には弱いがそつがない。八郎に対して三億円のことは知っている。俺も良をゆすっているんだがここは二人で手を組んで3等分にしようぜとしゃあしゃあと言ってのけるのだ。

それにしてもやはり不思議世界のドラマだなあ。これはこの当時ならではの感覚なのか。ドラマっていうのが今でもこんなものなのか、あまり観ないのでいまいちわからないがやっぱりおかしい。
白戸警部(若山富三郎)とおばあちゃん(浦辺粂子)が談笑している隣の部屋に女房を追いやっていきなりメイクラブしようとする八郎だとか、自分の病気が不治の病だと死って電車の乗客に当り散らす良だとかしまいには宗教勧誘までされてしまうという変な展開なのである。
この辺のめちゃくちゃさは今のアジア系ドラマに似ているような。
病院で医者にも八つ当たりし、日夏恵い子に対して悪魔的美青年ぶりを発揮し良は彼を待つ野々村の店へと戻る。
やっと来た良を野々村は優しく迎える。着替えのシャツを着せてやり遠い島へ行かないかと誘うのだ。大西洋のはずれにポールシーハーパージュニアというちっぽけな島があってそこへ一緒に移住しようと言い出す。良の返事は邪険なものだったが野々村はあっさり話をそらしてこの曲覚えているか、とピアノを弾き出す。良は「孤児院であんたが毎日ハーモニカで吹いてた。昔から嫌いなんだその曲」というのだ。なんて言い草だろうか。しくしく。野々村さんがーん。美青年とはこういうものでありますねえ。

車椅子の妹とも危ない関係であることを見せて、三億円事件の時効までの時間が近づいてくる。そして良の命もまた。

演出:久世光彦 脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本
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2008年11月04日

『悪魔のようなあいつ』第一回 第二回

悪魔のようなあいつ.jpg

この作品、噂には聞き観てみたいとずっと思っていたものである。確かに子供が観るにはとんでもない内容で大人が観るにしてもこの表現は今はもうTVではとてもやれないだろう代物。
ジュリーや藤竜也の若い時を知らずに直でこのドラマを観たらば若い世代はどうこれを感じるのだろうか。

といっても自分も初めてこのドラマを観るわけで。いくら歌手としてのジュリーのかっこよさを知っている年齢と言っても物凄い衝撃であった。
これは一体、一種のMVとして観たほうがいいのだろうか。当時の大事件であった3億円強奪事件をもとに沢田研二演じる加門良という青年がその真犯人だったらという物語。実際にこのドラマどおり時効が半年後だったとか、今みても驚くような過激なエロっぽいシーンがあるとか放送禁止用語またはこの設定はまずいだろうみたいなのがどんどん出てくる。無論、このドラマが話題になったのは沢田研二の危険なまでの色っぽさ、美しさ、藤竜也=野々村と沢田研二=良との観てはいけないような危ない関係なのだ(ろう)

私はTVドラマにはまったく詳しくないが多分ここまでゲイな雰囲気に溢れたドラマは他にないのではないか。それもあくまで隠微に妖しい美しさで表現して。
このドラマファンからは鉄拳をくらいそうだが藤竜也と沢田研二のあまりの妖艶な卑猥さに体中に怖気が走ってにやにや笑いが止まらなくなり「やめてくれ〜」と(「やめないでくれ〜」でもいいんだが)叫びそうになったものだ。
沢田研二はもう可愛らしい良くんそのものでいたいけで綺麗で危険すぎる。藤竜也は良が近づくたびに「その体に触れたい」てな目で見てるし、実際物凄く接近して顔やら髪やら体やらに触って話しかける。野々村は元刑事のやくざでとある酒場の社長をやっていてそこの専属歌手らしき加門良を10万円で金持ち女に世話しているのだ。ところが良が女の所へいっている間、苦い顔をして酒を飲んでいる。
そして良が家へ帰ったところへ電話して「疲れたろう。服を脱げよ」とか言いながら自分も服を脱ぎだすのだ(ぶぶっ。とても我慢できん)
もー本気なのか、冗談なのか、大の男がこういうことやってていいわけ〜?と叫びたくなるもの無理ないだろう。

大体もう背景が全部セットなのか。それもチープなのですべてが嘘の世界のようで不思議な感覚に陥ってしまう。
物語もこれがまかり通るのかと思うような変てこ極まりない設定筋書き演出ですべてが虚構のための虚構。ただ沢田研二と藤竜也の危険な関係を描くためにあるような。感じとしてはファスビンダーの『ケレル』みたいである。しかも『ケレル』のほうが後にできているから真似ではない。
沢田研二の良は美青年はこうあって欲しいと思うようなすべてを纏っているかのようだ。兄を慕う病気の妹、大それた犯罪者であり、年上の金持ち女に愛され、彼を愛する男がいて、不治の病にかかり後僅かの命である。
いつ死んでしまうか判らない体と美しさをあわせ持っている。それと半年後の時効で自由になる3億円もしくは利息がついて6億円(かなり金利がよかった?)という今は使えない金を使えるようになるのと彼の死とどちらが先なのか。
チープでハチャメチャなのにも関わらずどうなるのか知りたくなるし、観るのが恥ずかしくて怖ろしいのにもっと観たいと思わせる。
確かにこれを観ずして日本のゲイストーリーは語れない。

とろんとしたジュリーのあの眼差しがたまらない。で、彼は酒場の歌手なので『時の過ぎゆくままに』を歌うのだがここだけ急に歌手沢田研二になってしまうの。可愛い良くんじゃなくて歌ってる時だけめちゃかっこいいんですよ。やっぱ歌手なんだなあ。ジュリーの歌は凄く好きなのでここだけはマジでウットリ。キキホレマシタ。
藤竜也氏。ほんと言うと藤竜也っていいと思ったことがなくて(すみません)かっこつけているのが今も昔もほんとに?なのである。このドラマでもキメキメに決めてるんだけどさ。全然かっこいいとは思わないんだよ。でもこのかっこ悪さっていうかぞわってするようなかっこつけ方がなんともいえないゲイな感じで(ってゲイの方に申し訳ないが)きもければきもいほどたまんない麻痺感を産むのである(なんのことやら)
良くんをつけ狙う刑事に若山富三郎。ここだけびしっと締めてきましたね。この方のおかげでこのドラマが観れるものになっているのではないだろうか。好み的には藤竜也より富三郎さんのほうがいいんだけどなあ。
八代八郎(どういうネーミング?)役に荒木一郎。小さなバイク屋「八代モータース」を経営している。彼は自分の女房ふみよ(安田道代(現:大楠道代))を使って良を探っている。三億円強奪事件に関与していて彼がどこかに隠した金を狙っているらしい。八郎と良がどういう関係だったのかはまだ不明。良は自分を探りに来たふみよに「ずっと好きだったんだ」とか言って押し倒すが発作が起きてしまう。
荒木一郎、昔何故か好きだった。歌も歌っていたんですよね、この方。八郎さんは髪型が物凄い風に吹かれているようだ。白戸刑事(若山富三郎)に疑いをかけられ酷い目にあう。その後、良から埠頭に来てくれといわれ傷だらけの体で行くのだが、そこに良の姿が見えない。そこで何故だか突然ズボンのファスナーを開けて中に手を突っ込むとこで「ハチさん」と良に声をかけられ飛び上がるのだが。一体なんでまた何をしようとしてたのかなー。八郎もまた良にべたべたと触るのが気になる。

不思議だらけのドラマだが良が発作で苦しむ時いつも画面に大きく現れる「GLIOBLASTOMA」という病名という演出はどういうものだ。その頃の流行なのか?
けったいである。

噂どおりというかそれ以上の凄まじさで虜になってしまった。こういう面白さ、異常さ、妖艶さ、今は望むべくもない。

犯罪者、オートバイ、社長(船長)に気に入られている、などという色々が『ケレル』と重なる。手塚治虫の『MW』もこのドラマの影響を受けているのではないかなとも思う。

演出:久世光彦 脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本
posted by フェイユイ at 23:23| Comment(13) | TrackBack(0) | 悪魔のようなあいつ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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