
最終回となってしまった。
心中を望んだ静枝を一人だけで逝かせてしまった良は本当に気が狂ったかのように行動していく。
野々村は番号を記録されている紙幣だけを手元に置いて他の金を空き地に置かれた廃船の中に隠した。
良に脅された野々村は金庫に残した使えない紙幣を見せる。だがもう良はその金を使うことに躊躇はしない。
八村とつるんでいるやくざたちに金を渡し、密航の準備を始める。銃を購入した良はその足で野々村の店へやって来て野々村に銃を向けた。野々村が「お前に殺されるなら本望だ」と言うのを止めようとした恵い子が撃たれる。また止めようとした店員を撃ち良は野々村を連れて店を出る。
死ぬ間際に恵い子が言い残した金の在り処へと良は向かった。
廃船の中に3億円のはいったずだ袋が置いてあり野々村は良に言う「この金がお前を狂わせた」
八村は良について行く準備をしていたが、寂しげにするふみよを見て抱きしめようとした。ふみよが呼んだ名前は「良」八村はふみよのお腹の子供が良の子供だと感じてふみよを絞め殺してしまう。
そして良を殺そうと爆弾をぶら下げて廃船のところへ来たが、良からダイナマイトに火をつけられ爆発してしまう。
歩けるようになったいずみをつれた白戸刑事が廃船にたどり着いた。
野々村は船内に油を撒き火をつけようとして良に撃ち殺されてしまう。
応援に駆けつけた警官達が発砲し始める。兄に走りよったいずみは良の盾になって警官に撃ち殺される。
良も警官の発砲で傷ついてしまった。
3億円が風で舞い上がる中、血だらけの良は笑う。
主要人物の殆どが死んでしまい、良はどうせ病気で死ぬ。使われることのなかった3億円は風に舞って飛んでいった。
主人公が狂気に落ちてしまい、殺人を繰り返し、妹は警官に撃たれてしまうという怖ろしいようなドラマである。
それにしても当時、3億円強奪事件というのが庶民にとって「すかっとする」夢のような犯罪だった、というのが不思議でもあり、そういう時代だったんだ、と思うしかないんだろう。
夢を夢のままで見させてくれるかのように犯人はいまだ見つからずすべては謎のままなのである。
野々村さんは最後まで良のことだけを思って死んでいった。結局幸せだったんだなあ。本望だったんだから。
いくらなんでも女の子がいるのがわかってるのに発砲はしないよなあ。急に飛び出したって言う展開ならわかるのだが。
八さん爆発しちゃった。ばらばらだな。おばあちゃんだけ生き残ったわけだ。
店員さん、余計な一言で撃ち殺され。
壮絶な最期だった。
何はともあれ終わった。
実はこんなに面白いとは思ってなかった。もうちょっと適当なのかなあと。
3億円強奪場面なんて凄い力入ってて映画みたいだしかっこいい。
最初から最期まで野々村さんの熱愛は胸に迫る切なさに満ちていた。
最後、良が「他の奴は来なくてもあんただけが来てくれればいい」と言った時のうれしそうな顔。
良が野々村さんの白いシャツをナイフで引き裂く時、いつも迫真の演技のジュリーがケガさせないように気を使っているのがちょっとわかって微笑ましかった。
藤竜也の魅力がこのドラマを観てやっとわかった。
そしてジュリーの歌。
これは昔も今も同じようにやっぱり好きだしいい歌だ。良をやってるジュリーから歌を歌っているジュリーは突然変わってしまうのも不思議な感じだった。歌を歌う時はジュリーに戻ってしまうのだね。
3億円事件を扱ったドラマということもあるし、様々に時代の匂いを感じさせるドラマだった。
脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本